役者は色んな演出家についた方がいい理由
どもども。キリコです。
演出家とかやってます。
ところで、演出家をやってると常々思うのが、
役者を独占したい
って欲望が出てくる事です。
自分の作品に特化した役者を育て上げたくなる、みたいなゲス欲望みたいなの、ありますよね(同意を求める)
でも、キリコさん、とても理性的な変態なので。
役者は色々な演出家に着いたほうがいい
という理念に従って、劇団のメンバーには好きに活動してもらってます。
役者に大切なこととは何か?
突然ですが、役者に最も大切なことは何だと思いますか?
うまく台詞が言える事?
台本の理解が早いこと?
体のキレがいいこと?
どれも大切ですが、何より大切だと思うのは
演出家の求めたものを表現できること
に尽きると思います。
演出家は「関所」みたいな役割をします。役者の「自由」とは、その「関所」を必ず通った上で成立します。
役者が「演出家なんてクソだ。俺の考えてる方が絶対に面白い」と言って、演出家無視して表現するのは、役者としては最も稚拙な行為の1つです。
つまりそれは、「演出家」というポジションそのものの否定に過ぎないからです。それなら演出家なんて最初から居なくて構わない。
さて、では何故様々な演出家に触れた方がいいかと言いますと。
演出家は人によって価値観がまるで違うからです。
昔、他の劇団でやってた子を演出した時があるんですけど。
「~からはそんなこと習ってません」って突っぱねられたことがあります。
ちょっと驚いてしまったのですが、かなり真面目な目をしてたので、構え直して一から説明しました。
1人の演出家に寄り添い続けると、その人の価値観がルールになっていきます。
それがどうして不味いかというと、「相対化」が出来なくなるからです。
僕自身、長らく1人の演出家のやり方で頑張ってて、他の劇団のお芝居に出た時に全く通用しなくて驚いた事があります。
様々な演出家に触れることは、「演出家同士を比較して、評価できる」ようになるということです。
1人の演出家についてると、「相対化」しづらいのです。そして、「演出家の言うことは全部正しい」に陥ってしまったりします。
様々な演出家に触れると、どの演出家にも共通する自分なりの対策が見えてきます。
僕の場合ですと、役者として参加した時にはまず、「この演出家はどう考えてるのだろう?」「この人は何を大切にしてるのだろう?」「僕が大切にしてるもので、この人からすればどうでもいいものはなんだろう?」と考えてみます。
役者の「こだわり」や「クセ」は、演出家にとって必要なものとは限りません。
余談ですが、こんな話を聞いたことがあります。
「演出家の言ってることをやらないのは三流」
「演出家の言う通りにやるのは二流」
「演出家の意図を組んだ上で、演出家の予想してない表現を持ってくるのは一流」
役者は決して演出家の言いなりではなく、役者の工夫1つで、演出家に「気付き」を与える事も出来ます。ただしそれは、演出家の用意した「型」を無視しては決して産まれないものなのです。
役者は様々な演出家に、触れることで、新たな発想や、今まで知らなかった自分に出会ったりもするのです。
そして、その中で「この人の作品に出るの好きだな」という人に出会えたら、それはとても素敵なことなのです。
それに、「俺の作品にしか出るな」みたいなのって、何だか自分に自信が無さすぎてクソだせーなって思うのです。
自分の作品の求心力は、常に練磨していかなきゃならないなと自戒しております。なので、多少ハラハラしながらも、黒ヒゲは「いろいろやろうぜ」のスタンスを崩さないのです。
余談ですが、黒ヒゲの「オムニバス」は、演出家が沢山いるので、かなりいい刺激になります。
役者はたまったもんじゃないですけどね(笑)
ではでは、次回公演も三人の演出家が色々やってみます\(^_^)/
日々成長する皆をどうぞご覧あれ~
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