香水を知ってQOLが爆上がりした話
全人類香水にハマらないのおかしくないか? といいたくなるくらい楽しい。こんなに楽しいと思っていなかった。ようやく自分の中で多少の整理がつき始めたので、香水に興味がある気がするというひとの背を押したいと思って記しておきます。
きっかけ
2021年の12月、偶然ネットで香水ガチャというものを見かけた。この頃の私は香水といえば「マダムがつけているアレ」という低解像度しか持たず、無知も無知だった。しかしその香水を同年代のひとが持っていて、しかもガチャがあるときた。画像を見るとなにやら小さいボトルが映っている。なんだそのかわいいボトルは! え、それが香水なの?
「香水 ガチャ」で調べたら一発ででてきた。面白そうだったので、経験のひとつになればいいなと思って引いた。オタクはガチャが好きだとよくいわれているが、それは私もそう。こういうのはわくわくする。
今思い返せば、ここでこれを引いたのは幸運だったのだと思う。引いたのはMyLo(マイロ)という名の香水で、超ざっくりいうと「花のいいにおいがする」系の香水だ。好みの香りで秒で好きになった。
「え、香水ってこんなにいいにおいがするもんなの?」と思ってびっくりした。もっとにおいがキツいものだとばかり思っていた。幼い頃に乗った電車にいたマダムの影響を受けて生まれた偏見だった。
香水に触れ始める
その後香水ガチャを引いたお店のホームページをまじまじと見てみた。下記にリンクを置きます。prとかじゃないです。
世間で香水といえばやはりドルガバなのだろうか。あいにく私はその曲をほぼ聴いたことがなく、初めて香水に触れたのがいわゆるニッチフレグランスといわれるものだった。万人向けのいいにおいから、ちょっとひとを選ぶような面白いにおいまで色々ある。バラエティ豊かですね。
商品のそれぞれにテキストが掲載されていて、ひとつひとつの香水がどんなイメージで作られているのかとか、どういうストーリーがあるのか、などの情報を閲覧できる。こういう香料が入っていますよというだけでは初心者の私には全く香りの想像がつかなかったので、こういった商品コンセプトの存在はとても助かったし面白かった。
そしてなによりもエモい。とってもエモい。エモいというと価値を軽んじているのかとお叱りを受けそうだが、率直な称賛です。
例えばこれ。
エタリーブルドオランジェ、というフランスのブランドがあって、そこから出ているラファンデュモンドという香水がある。
商品名の邦訳は『世界の終わり』。世界の終末をイメージした香りらしい。いやそれどんなにおい? 以下にブランドHPの引用をする。
要するにこの香水は、厳密にいうと世界の終わりの香りではない。「世界の終わりを映画で観ている時」の香りを再現したものがこの香水で、それがまあべらぼうにとんでもなくいいにおいがするのだ。めちゃくちゃにいいにおいがするのである。
であれば次は映画を観ている時のにおいってなんぞや? となるわけだが、ざっくり回答するならそれはポップコーンのにおいです。ふわっと香ばしい甘い香りで、肌にシュッとひと吹きした瞬間好きになった。まじでいい。最高~!
香水を肌につけて試すことを「肌乗せ」といったりするが、肌乗せした時の香りの印象と、ムエット(香りを確かめるために香水をつける紙のこと)での印象と、漏斗とかに吹きかけた時の印象がまるっきり違っていることは割とざらだ。漏斗やムエットで試した時よりも肌に乗せた時の方が甘さが強く出るとか、爽やかな印象が強くなるとか。そのあたりの変化は人によるので一概にはいえなくて、そういうところも香水は面白い。時間経過によって香りが変わるのも面白い。ひとつで色々な香りを楽しめる。
レビューによると、ラファンデュモンドはまじでポップコーンのにおいだ! と感じる人もいるらしい。ただ私の肌ではポップコーン感はそこまで出ない。でもめちゃくちゃいい。やわらかい雲みたいで、甘い、そんでちょっと香ばしいあたたかみのあるにおいだ。誰かと一緒に並んで座る時に似た温度感がある。
入っているメインの香料は以下。正直全然わからないです。ガンパウダーアコードってなんだろう。軽く調べたがわからん……火薬みたいなってこと? 少し粉っぽいのかな。
実際ラファンデュモンドには粉っぽい印象がある。粉っぽいというかなんというか、ポップコーンって食べた後くずくずが残ると思うんだけど、あの感じ。砕けた甘いにおい。個人的には秋冬の涼しい~寒い季節に嗅ぎたいにおいです。
香水のここが良い
本筋に戻ろう。香水のなにがいいって、こういうめちゃくちゃエモくて面白いコンセプトを身に纏えるのが最高だと初心者の私は思うのであった。ちょっと考えてみてほしい。それってめちゃくちゃ良くない?
コンテンツの楽しみ方ってそれぞれで、時間や金銭などを対価として楽しむ時間を得られる。音楽なら聴いて楽しめるし、本なら読んで楽しめるし、映像なら観て楽しめる。他にも世の中には色々な楽しめるものがあって、楽しみ方もひとによって違うだろう。素晴らしいことだと思う。
そこで香水をどうやって楽しめるかといったら、シュッと自分に吹きかけるだけで楽しめるのだ。つけさえすれば、歩いてる時も座っている時もSNSを眺めている時も寝る前も香りを堪能できる。超お手軽では?
もちろん他にも楽しみ方はある。香料、調香師、ブランド、ボトル……挙げればきりがないので割愛するが、ともあれなによりも香りなくしては香水は成り立たないだろうと私は思う。名は体を表すというし。
お気に入りの香り(あるいはコンセプト)を身に纏って、しかもそれが何時間も続く。いや楽しすぎる。あまりにも楽しい。今の世の中はインターネットという便利なツールが普及しているので近場には売っていない香水を探すことだって簡単だ。無限にネトサできる。
身だしなみのために香水を使うというひとも多いだろうし、それを否定するつもりは一切ない。それもまた用途のひとつ。ただし正解はひとつじゃなくて、私は自分が楽しむために使っている。
とはいえ香水はハードルが高いといわれることがままある。なにせそれなりの値段がするものは決して安くはない。ボトル1本を買うのと同じ金額で3000円のフルアルバムが5枚買えたりする。もちろん全部が全部そうじゃない。手を伸ばしやすい価格帯の香水だってたくさんあるし、長く使えることやボトルの完成度、香料などの原価とか色々なことを考えたら「高いけど妥当かな」「むしろこの値段は安い」など思うこともあるだろう。
でも香水に触れ始めた時に抱く印象はそういう理屈はあまり関係なくて、単純な話、好きかどうかわからないものに1万円は出せない。そりゃそうだ。どれだけコスパがいいといわれていても、それ以前の話である。コスパがいいといわれたところで、使い続けられるかどうかわからないものに何千円も出せないのはおかしくない。あるいは、少しずつ色々な香りを知りたいからボトルを買うのはちょっと……というパターン。確かにねと思う。5種類知りたい香りがあるからといってボトルを5本買えるかといったらそうじゃない。
もし買った香水のにおいが好みじゃなかったら? ボトル1本が数百円ではないから悩むし、そもそも、せっかく買うなら好きな香りを買いたいと考えるのは当たり前だと思う。
だから香水にはサンプルという存在があるんだろうなと思う。国内で買いやすいブランドサンプルといったら個人的にはこれが頭に浮かびます。
手っ取り早いのは店舗に行って試すことだろうけど、近くに店なんてない! というひとの方が多いと思う。もしくは買うかもわからないのに接客を受けるのは気が引けるとか。
そういう時は色々な香りがちょっとずつ入っているサンプルセットだとか、気になるもののサンプルを試してみるのがいいかもしれない。フリマを漁れば安価なボトルが中古で売っていると聞くが、偽物の可能性があるそうです。
幸いサンプルはインターネットで購入できる。ちょっと調べてみれば色々出てくるし、サンプルだからといって侮ってはいられない。使う頻度によるけどかなりもつ。最初に引いた香水ガチャも1.5~2mlのサンプルサイズだが、これを書いている2022年7月になってもまだ残っている。毎日使っても1週間~2週間ほどもつらしいですね。
結論
まあここまで長々つらつら述べてきたが、結論としては香水のことをなにも知らなかった時よりも知ってからの方が生活が楽しいという話である。タイトルそのままだ。香水を知ってから生活の質そのものが爆上がりした。ふとした時に好きな香りが自分からするって最高だし、コンセプトを考えながら香りの移り変わりを感じるのも凄く楽しい。
なによりも香水のいいところは、専門知識や知見がなくてもいいところだと思う。「これ、いい匂いだなあ」という気持ちだけで楽しめる。それだけ考えるならハードルも幾分かは下がるのでは? どうでしょうか。
もちろんそれだけで物足りないのなら、香り以外にも色々と深堀りしていけばいい。どんな香料が使われているのか? 誰が調香したのか? どんなブランドがあるのか? 楽しみは尽きないぞ~! と思います。
何か買ってみたいけど悩んで決まらないなら、私のように香水ガチャから入るのもありでしょう。知り合いに詳しいひとがいるなら頼ってみるのもいいと思います。ネットでちょっと調べてみれば詳しいひとのブログ、ツイート、まとめ画像……まじでたくさん出てくる。
気になっているなら手を伸ばせる範囲から試してみるといいと思います。香水が身近にある生活はとても楽しい。
おまけ
手持ちの中で一等やべえ! と思っている香水はこれ。知った時は「そんなものまであるの?」と思った。
大麻の香りを再現しているらしい。本物を知らないので再現度についてはわからんがこれはヤバいとわかる。
噎せるほど重みのある煙の奥深くにずっしりとした仄暗い甘みがあると思います。けれど時間が経つにつれてその甘みは徐々に消えていって、まるで焼かれるかのようなにおいに変わる。火で焼くというよりかは化学物質で焼かれる印象。しかも24時間余裕で香りがもちます。本当にすごい。めちゃくちゃ気分を上げたい時とか発破をかけたい時に使っている。
万人受けするか? というとかなり際どいが、こういうのがあるのも面白いなあと思う。これからも色々な香水に触れたいです。