レールバスの記憶
1982年12月、人生初の東北4泊1車中泊6日のひとり旅をした。
このことは以前の記事にも書いたかもしれない。
その時に、乗ったのが南部縦貫鉄道のレールバス。
東北本線(現:青い森鉄道)三沢駅より、十和田観光電鉄に乗り十和田市駅へ。
そこからバスに乗り七戸へ。
南部縦貫鉄道七戸駅は、バス停の七戸から少しばかり離れたところにあった。
バスの運転手に駅の場所を聞きたどり着いた七戸駅。
古くさびれた駅だったが、え?と思うほど立派なものだった。
ここから東北本線(現:青い森鉄道)野辺地駅までを結んでいるのが南部縦貫鉄道。
普通の気動車も所有していたが、主に運転されるのはレールバスと呼ばれる小さな車両。
バスのように小さく、ギアやバックミラーまでついている。
そして、通常の鉄道車両は車輪が4軸だが、このレールバスは2軸。
だから、揺れやすい。
そのうえ路盤もそんなに整備されているわけではないので、走り出すとことのほか揺れる。
太った運転士さんが、座席上で上下に飛び跳ねながら運転するさまが面白かった。
どんよりと曇り、時折雨が降る。
冬の東北らしい風景。
寒かったという記憶はない。
多分、若かったからだろう(笑)
七戸駅で発車時間を待つ間、私以外唯一の乗客のばあちゃんを横目に、運転士はレールバスの客席に横たわり、煙草をぷかぷかふかしていた。
寝たばこかよ。
現代ならSNSにアップされて炎上するかもしれない(笑)
ちなみに、その時の写真を私は撮っている。
なんかのどかすぎるローカル線の風景だったから。
雨の中、レールバスは走り出した。
前述のとおり、ゆれるゆれる。
途中で客の乗降があったかは記憶がない。
牧場の脇を走ったり、林のふちを走ったり、のどかな風景が広がるが、雨なのが残念だった。
西千曳駅からは東北本線(現:青い森鉄道)の旧線上を走る。
もともとは南部縦貫鉄道と東北本線の接続駅だった千曳駅は、東北本線の路線付け替えによって西千曳駅と名を変え南部縦貫鉄道のみの駅となった。
そして西千曳から東北本線旧線を利用して南部縦貫鉄道は野辺地まで延伸した形になった。
国鉄と接続しなければ不便極まりない鉄道となってしまう。
その時点で廃止になっていたかもしれない。
とはいうものの、私が乗車して十数年後には、廃止されてしまった。
一時は東北新幹線延伸に伴い、新幹線アクセス路線として復活させるような話もあったようだったが実現しなかった。
三沢から乗った十和田観光電鉄も消えてしまった。
廃止寸前に再訪した。
車内はごった返していた。
いつもそんな状況なら、廃止もされなかっただろう。
ローカル鉄道の最期は空しい。