恐怖のトンネル
北陸新幹線開業までは北越急行ほくほく線の普通電車は、在来線特急「はくたか」をトンネル内の信号所で待避し、その通過を待っていた。
在来線の最高速160Km/hで走行するはくたか。
このトンネル内ではそこまで出してはいないが、かなりの高速でトンネル内に突っ込んでくる。
高速がゆえにさらに単線だけに断面積の小さいトンネル内の気圧が高くなり、気密性の薄い普通電車はその影響を受け、乗客の耳に圧力が来てガーンとなるのだった。
耳がガーンとするのは嫌いだったので、乗っている普通電車がトンネル内で減速して待避線に入ると、いやな気持ちになったものだった。
そして、いま来るか今来るかとドキドキしながらガーンと来るのを待っていた。
普通電車の車両が音を立てて空気圧で押されると同時に耳にガーンと来た。
恐怖の瞬間だ(笑)
そして、はくたかのヘッドライトがトンネル内を照らし高速で近づいてきたかと思うと、あっという間に通過線を高速で走り抜けていった。
いまや、はくたかは廃止され、そんないやな感覚さえも懐かしく感じる。
そしてもうひとつ、通過列車待避の際にいつもちょっとだけ心配してしまうのが、もしポイントが故障していたら…。
ついつい、ポイントそのものを確認してしまうことがある。
もしもがあったら、トンネル内では逃げ場がない。
恐怖のトンネル(笑)
絶対ないとは言えないだけに笑えないんだけどね。
ちょっと気にしすぎ…。
さて、ほくほく線の運営ははくたかの走行時に多くの利益を上げ、はくたか廃止に備えストックしていたという。
そのため、はくたか廃止後、20年は安泰と聞いていた。
しかし、その20年のうちもう8年近くが過ぎ去ってしまった。
地域住民にとっては重要な足、果たしてほくほく線の将来はどうなるのであろうか。
※タイトル画像は北越急行ほくほく線のトンネル内信号所 2010年3月撮影