見出し画像

車窓風景:相模灘と根府川駅

東海道本線根府川駅直前の下り列車左車窓 2019年12月撮影
個人的に、東海道本線の駅の中で一番素敵な場所が根府川駅(神奈川県小田原市根府川)だと思っている。
下り線ホーム最後部から眺める相模灘、その先に見えるのは湘南から三浦半島へと続く海岸線。
東海道本線において海がこれだけ広々と見える駅はほかにないだろう。

根府川駅。
1923年9月1日の関東大震災で。山津波地滑りにより流されてしまった駅。
根府川駅にやってきた下り旅客列車も地滑りによって、後部2両を残し海中へ沈んでしまった。
今でも海中に当時の駅の一部が沈んでいるという。
100名以上の犠牲者を出した天災による大事故だった。
駅を出てすぐにある根府川橋梁も山津波によって、その下にある集落とともに流されてしまったという。

美しい風景の裏に悲しい災害があったことは、少しでも頭の片隅に置いておきたい。

根府川駅ホーム 熱海方面を望む 2022年6月

上記写真撮影位置からこ線橋のあたりまでが地滑りで流された部分かと思われる。
その先の根府川橋梁も山津波で流された。

昨今、野生の猿の出没が多いらしく、注意書きが張られている。

根府川駅名標と猿に注意 2022年6月

山ですべて生活する猿などは、こちらが何かを仕掛けない限り、たいていはスルーしてくれる。
しかし、人里に出没する猿は、人の持っているものを狙ったり、人を見ては威嚇してきたり、時には攻撃してくることもあるので怖い。

根府川駅 2022年6月

根府川駅前にはかつて小田原と熱海を結ぶ豆相人車鉄道が走っていた。
小さな客車に客数人を乗せて、人力で走らせる鉄道だった。
のちに動力は人から蒸気機関車(軽便鉄道)に変わったが、関東大震災の前年に鉄道省(国鉄→JR)熱海線(現東海道本線)が小田原ー真鶴間で運行され、根府川を通る軽便鉄道は廃止された。
熱海線は1934年に丹那トンネルが開通すると東海道本線となり、根府川駅は大動脈路線の駅となった。
ホームは長く2つあるが、駅舎そのものはローカル線の駅のようだ。

暗い過去のある駅ではあるが、ホームから海を眺めていれば気分も爽快になる。