上高地1970 ⑵
島々駅跡から島々宿方面へと向かう。
その途中にあるのが東京電力竜島発電所。この写真を撮った前年に稼働したらしい、当時はできたばかりの発電所。右下に見える建物は東京発電の竜島第二発電所で、こちらの歴史は相当古いらしい。東京電力と、東京発電、なんかややこしい。
そして下の写真が最近のもの。基本、そんなに変わらない。
松本電鉄は、この発電所の先辺りまで路線を伸ばす計画もあったらしい。島々駅とは名ばかりで、実際は波田町(現松本市)前渕にあって、島々そのものは3キロ先にある野麦街道の宿場。
梓川対岸の発電所を過ぎれば、かつての上高地への玄関口であった島々宿。残念ながら、1970年の写真は一枚もない。それどころか、沢渡に至るまでの写真がほとんどない。
釜トンネルができるまでは、この島々宿から島々谷沿いに徒歩で進み、徳本(とくごう)峠を越えて上高地へ向かっていた。
下の写真は国道158号から望む島々谷。奥の橋は旧国道158号線の橋。その下を流れる島々谷川に沿って上高地への登山道は続く。距離が長いだけに初心者には向かない道。ただ、長時間歩いて徳本峠から見る穂高連峰は素晴らしいと言う。
島々集落を過ぎるとトンネルになるが、この辺りはかつて崩落事故があって、一時、道路が付け替えられていたことがあった。梓川の対岸の橋場集落側にう回路を取っていた。1990年代のことだと記憶している。
ということで、ここから先は昔はさぞや難路であったと言うことを想像させるような道となる。
国道は山の中腹を等高線に沿うように通っている。安曇三ダム(稲核、水殿、奈川度の三ダム。1969年~1970年に完成)が完成する前に付け替えられた道であろうから、おそらくこの道を通って上高地へ向かったと思われる。
(道路の拡幅や改良はあったかもしれないが)
下の写真は安曇三ダムで、下流から上流に向かって掲載。
三ダムのうちで一番奥にあるのが一番大きい奈川度ダムだ。ダム湖である梓湖の湖底には旧国道158号と、奈川度の集落が沈んでいるはずだ。このダムの下流側には旧国道が一部残っていて、ダムに向かって水殿ダムの作るダム湖の中へ沈んでいる風景があると言う。
トンネル内に分岐のある入山トンネルを抜けると、そこは奈川度ダムの上。ダム上を渡り、梓川左岸側へ。すぐに長いトンネルとなる。このトンネルから、沢渡付近までの国道は1970年には新しい道になっていたと思われる。
とにかく、この辺りの1970年時の写真は一枚もないのが残念だ。
沢渡に近づくと左手の梓川対岸沿いに石垣が見えてくる。水位が上がれば水没するような場所だが、これは旧国道のあとかもしれない。
1970年当時に国道は使用されていたのかはわからない。