五島列島から東京まで、車で横断してみた
はじめに
私は五島列島、福江島(五島市)で食品メーカーを営む者であるが、東京でしばらく車を使用する必要があり、いろいろと悩んだ結果、五島列島から東京まで車で移動してみることにした。
普段は島でしか運転をしないので、高速道路を利用することも少なく若干恐怖はあったが、「休憩は多めに」「スピードは法定速度で」という決め事を守りながら実行。
終わってみれば、道中でさまざまな気づきを得たり、日本の美しい景色なども印象に残ったので、自分の備忘録として、また今後誰かの参考になれば、、ということで記録を書いてみる。
【初日】五島市(福江島)~長崎市~兵庫県神戸市まで
10:20 @五島市福江島、福江港ターミナル。
五島列島・福江島は「離島」なので、当然ながら福江島から本土に渡るには船に車を乗せる必要がある。
調べた結果、五島汽船協業組合が運航する「フェリーさくらⅡ」と、九州商船株式会社が運行する「万葉」が、車を乗せて長崎まで運んでくれるとのこと。
いつも福江から長崎に行く際には九州商船のジェットフォイルに乗っていたので、「万葉」のほうが安心感があったが、料金が25,000円(車長5M以内)するとのことで少し高い。
一方、五島汽船の「フェリーさくらⅡ」は16,000円(車長5M以内)ということ、また出発時間も11時30分ということで都合が良かったので、「フェリーさくらⅡ」を利用することに。
予約は電話で、とのことだったので、利用予定の2週間ほど前に電話予約をしたが、余裕で取れた。
当日。
事前予約をした際、「五島汽船の受付に来てほしい」と言われていたが、場所がわからない。(九州商船と同じ「ターミナル」にあると思っていた…)
ジェットフォイル窓口の方に聞いたところ、同じ港でもだいぶ離れたところに五島汽船さんの受付があるということで、車で移動。
(のちほど公式サイトの「乗り場案内ページ」の存在に気づく)
受付の女性に声を掛け、名前とナンバーを記載。
出港予定は11時30分だが、「11時前までに船の前にいてほしい」ということだったので、ターミナルに戻り、腹ごしらえに浜口水産さんの美味しい揚げ物を食べることに。
10:50 「フェリーさくらⅡ」乗り込み
フェリーの後端から伸びる板に、バックから乗り込む必要がある。それなりに幅はあるが、やはり「海に落ちてしまったらどうしよう」と思わなくはない。
船内はほぼトラックで埋まっており、乗用車は私を含め3台ほどであった。
船内に客室は2部屋あり、その他、喫煙室やサロンと書かれた部屋がある。
「サロン」は船員さんが使用中なのか、書類と飲み物が残されていた。
トイレは男女別れており、ウォシュレット付きで綺麗。
甲板にも出られるが、それほどスペースは広くない。
椅子などもないので、長居するには向いていない構造となっている。
客室はそこそこ広く、毛布と枕が4つずつ置いてあったので4人が想定されているだろうか。(毛布がとてもキレイで、失礼ながらイメージと違って嬉しい誤算であった。)
コンセントも4つあるのでスマホの充電も可能。
11:15 「フェリーさくらⅡ」出港
出港予定時刻は11:30頃となっていたように思うが、おそらく予定の貨物と人が全員乗り込み終わったということだろう。予定よりも早く出港した。
航行中最も心配していたのは「船酔い」であったが、この日は天気がよく、風もなかったので、3時間半の航行の間、酔いを感じることは一度もなかった。
一点とても困ったのは、スマホ(私のキャリアはdocomo)の電波がほぼ通じないこと。
いつも福江→長崎間のジェットフォイルに乗っている際はキャリア電波は通じていたように思うが、、航路の違いなどに因るのだろうか。
テレビはあったが、航行中にずっと映るのはNHKとNIB(日テレ系列)だけであった。
あまり面白い番組もなく、他にすることがないので、kindleに落としていた本を読む or 寝ることで時間を潰した。
15:00 長崎港着 「ながさき出島道路」出入り口から高速へ
長崎港、大波止で下船。路面電車の電停「出島」横のローソンでコーヒーとガムを買い、長いドライブをスタート。
「ながさき出島道路」の出入り口に入る。
16:00 川登SA(佐賀県武雄市)着
出島→川登SAは北に向かって走るため、西日が若干眩しい。それ以外は快適な行程であった。
小腹が空いたので、カレーグランプリで金賞を獲ったという「佐賀牛カレーパン」を購入。運転席に衣が落ちてしまうのは誤算だが、美味しい。
他にはちゃんぽんや佐世保バーガーなど、長崎or佐賀の特産品がラインナップされていた。
愛車「C-HR GR SPORTS」が運転しやすい
古賀SAに着く頃までに感じたこと。
ここまで2時間走ったが、とにかく道路の振動をほぼ感じないのだ。速度を上げても楽で、全く疲れが溜まる気がしない。もしやこの車は素晴らしいのでは…?と思ったので、ここで愛車の紹介をしたい。
私の愛車は「トヨタC-HR GRスポーツ」というものである。
コンパクトSUVであるC-HRのスポーツグレードなわけだが、なにしろ五島・福江島では高速もなく、建前上は時速60km以上出す場所がない(たまに"ヤンチャ”な人はいる)。
そもそも私は車にあまり興味がなく、この車も姿かたちの好みだけで選んだので「スポーツグレード」だろうがその能力を感じたことはなかったわけだが、ここでようやく理解した。購入して2年以上、能力を持て余させてすまなかった…。
(後ほど車専門サイトの解説を読んで、その機能・理由をよく理解できた)
17:15 古賀SA(福岡県古賀市)着
ということで、福岡県の古賀SAに到着。
途中、福岡市周辺などは会社の退勤時と被っているのか、台数が増えてきた。
そこで感じたのが車の乱暴さ。急な車線変更や後続車がベタづきしてくるなど…正直恐怖を覚える場面が多かった。
以前どこかで「福岡、特に筑豊ナンバーの車には近づいてはいけない」と言われたことがあるような気がするが、、正直どんなナンバーでも怖かった笑
逆に私が島ばかりで運転していたため感じただけで、都会の運転はあれくらいがスタンダードなのかもしれない。
古賀SAでは「梅が枝餅」という太宰府の名産のおやつを買ってみた。お茶と合いそうだったので、お茶も買えばよかったな。
18:40 美東SA(山口県美祢市)着
福岡→山口の行程では、門司港と下関を渡す「関門橋」の景色が、夕焼けにも映えて素晴らしかった。観覧車が美しい。(走行中写真を撮れないのが残念)
山口県に入ってからはすぐに日が落ち、ずっと山の中を運転することになったため、目が慣れない中の怖さがあった。
美東SAにて休憩。おすすめの一覧にあった「利休饅頭」は、宇部市の名産であり、あの千利休にちなみ茶会の際のお茶請け(茶菓子)として出されたことが由来であるとのこと。
運転中のBGMについて
ここで、運転中のBGMについてお話したい。
2日間合わせて20時間前後のドライブとなるため、景色の移ろいを見るなどを除けば、基本的に運転中は暇である。
そこでBGMは必須になるわけであるが、「音楽」「YouTube」「ラジオ」といった選択肢があるなか、YouTubeを選択。
YouTubeチャンネルは、いろいろと迷った上で、やはり「運転中にスマホを触って違うチャンネルに切り替えられない」という制約があることを踏まえ、長尺でおなじみ、オリエンタルラジオ・中田敦彦先生の「YouTube大学」とした。
そのなかでも特に1本1時間を超えるような動画がよかったので、それぞれ2時間超え動画ばかりの「デスノート」や「ハンター✕ハンター」「ジョジョ」などの漫画・アニメシリーズが中心となった。
いやーやっぱり凄い、この人。「ハンター✕ハンター」に至っては、6時間(3時間動画✕2本)のボリュームがあったので、2日目の神戸で聞き始めて、静岡入ってからもまだ終わってなかった(笑)
しかもホワイトボード1枚で台本なしでノンストップ。私は画面を見られなかったわけだが、ラジオ感覚で頭に描写がちゃんと入ってきた。
それぞれ昔に漫画は読んでいたものの、魅力を改めて理解した。大変お世話になりました。
19:40 下松SA(山口県下松市)着
ずっと峠を走っているので疲れてきた。身体を休めるため下松SAで10分ほど休憩。
下松市は「星降るまち」というブランディングを行っていた。由来は「北辰降臨伝説」という推古天皇の時代(609年)の伝承など諸説あるらしい。
今回の長旅の副産物として、各地の歴史や名産に直接触れられたことが、個人的に大きな学びとなった。日本は広く、面白い。
20:40 宮島SA(広島県廿日市市)着
「宮島」という名前ではあるが、厳島神社は結構遠いらしい。(晴れていれば望遠鏡で見えるとのこと)
ということで、ここで晩ごはん。丼メニューコンテストで準グランプリを獲ったという「安芸のよくばり丼」が気になったが、牡蠣はちょっと重たく感じたので、あなご丼に。
最初に写真を撮るのを忘れており、食べかけの写真ですいません。穴子は柔らかく、タレとの相性もばっちり。非常に美味しかった。
22:10 福山SA(広島県福山市)着
山陽道はほぼ道路が直線ということもあり、走りやすい。昼なら瀬戸内海も少しは見られるのだろうか?
21時をすぎるとかなりトラックが増えてきた。福山SAで休憩。
街の花が「バラ」ということで、大きなバラの柄が描かれていた。
ここまで書きそこねていたが、私は現在の実家が兵庫県神戸市近くにあり、初日はそこで泊まる予定である。ということで、あとは岡山県と兵庫県の西側を攻略するのみ!
23:50 龍野西SA(兵庫県たつの市)着
22時を超えたあたりから、高速を走る95%の車がトラックになった。
渋滞はないものの、前後左右をトラックに囲まれることも多く、気を遣う運転となった。
岡山県を一気に超え、兵庫県に。龍野西SAで休憩。
ここで困ったのが、乗用車の停まるスペースにまでトラックが溢れて停まっていること。なんならSAの入口や出口でも車線の半分を占めるようにトラックが停まっている。
いろいろ調べると、理由は、
①:0時~4時に高速を利用すると通行料が3割引になるため
②:物流量が一気に増加しているため
③:②に加え、「配送指定」が増えているため
④:高速道路のPA/SAはシャワー施設などが整備されており、代表的な休息施設として機能しているため
とのこと。
いずれもニュースで得ていた知識ではあったが、実際に目の当たりにすると考えさせられるものがある。
全国の長距離ドライバーの皆さま、本当にありがとうございます。
01:10 神戸到着
五島を出てから14時間、長崎で運転を開始してからは10時間。
初日の目的地に到着。
風呂で脚を揉みしだき、疲れをとる。ただ、愛車のおかげかそれほど疲れはない。
どちらかというと慣れない長距離運転やトラックとの距離の取り方で「気力」のほうが疲労している。。
初日、お疲れさまでした!
【二日目】兵庫県神戸市~東京都23区まで
10:00 出発
昨晩は心身の疲れにより、よく眠れた。
体力万全で挑む二日目は、快晴で気温も高く、走りやすそうな気候である。
そして結論から書くと、二日目は渋滞もなく、スムーズに東京に着いたため、初日に比べ薄い内容でお届けすることになる。
11:40 モテナス草津PA(滋賀県草津市)着
神戸→草津間は、やはり関西の中枢を通っていくだけに通行量が多い。
ただ車は流れているので、特に何事もなく草津PAに到着。休憩。
13:20 刈谷PA(愛知県刈谷市)着。
三重から名古屋に渡る際は「伊勢湾岸自動車道」を通ったのだが、ほぼ名古屋港の真上を通っていく湾岸ルートなだけに、日本の工業の中心「中京工業地帯」の凄さをまざまざと見せつけられた。
埠頭に並ぶ車・車・車、石油コンビナート、そして突如現れるレゴランド。非常にダイナミックな景色の連続であった。夜景も見てみたい。
昼食は、個人的に「名古屋めし」が好きなので、少し時間は遅くなったが刈谷で昼食を取ることに。
人気NO.1という「厚切りロースの味噌カツ丼」を注文。またも食べる前に写真を撮り忘れたので、メニュー表を撮る。
15:00 浜名湖SA(EXPASA浜名湖)着。
豊田から海老名まで、新東名と東名のどちらを走るか迷ったので、色んなサイトでチェックしてみた。
新東名のメリットは10年前にできたばかりであり、「120kmで走れる期間がある」「東名よりも神奈川までの距離が短い」といった内容。
東名のメリットは「海側を走れるので、景色が開けている」「浜名湖や富士山がキレイ」といった内容であった。
走ったことのない新東名にも惹かれたが、2日目は時間に余裕があることもあり、景色が良いといわれる東名を選んだ。
そのまま、浜名湖SAであるところの「EXPASA浜名湖」に着。
そういえば、長崎から神戸の行程ではSA名は「美東」「下松」などシンプルであったが、関西以降は「モテナス草津」や「EXPASA浜名湖」など、愛称?のような名が付けられていることが多い。「NEXCO中日本」の方針だろうか?
そんな「EXPASA浜名湖」では、事前調査の通り、浜名湖がとても美しかった。
また、地元名産として「うなぎいも」が売られていた。芋屋の社長たる私としては以前から気になっていた存在だったのだが、あいにく本日は売り切れとのこと。ただ、品種や育成方法について店員さんに詳しく聞いてしまったので、熱心な芋マニア客として覚えられたことだろう。
17:00 EXPASA富士川(静岡県富士市)着。
神戸から聞き続けていた中田敦彦先生の「ハンター☓ハンター」がこのあたりでようやく終わる。
そして東名で一番の楽しみ、富士山を見るために富士川SA休憩。
ただ、このあたりから雲が多くなり、また日も若干沈んできたこともあって、富士山の姿は山頂付近だけしか見られなかった。
それでもやはり、美しい。。
おみやげコーナーにやたらレトルトカレーが多い。レトルト屋の社長でもある私はやはり気になったわけだが、水谷隼の出身と、「ゆるキャン」というアニメ聖地が静岡である、という情報だけを得て、引き続き帰路についた。
19:00 海老名~東京着。
途中、海老名SAで、有名な「ぽるとがる」のメロンパンを購入しようと降りたが、なんと「下り線」のみの販売ということで、特に何も買わずトイレ休憩のみ。
「世界一のアップルパイ」には惹かれたが、時間が時間なので、帰って普通に夕食をとるために帰路についた。
まとめ
2日行程合計で、
・福江島~長崎市(フェリー):4時間
・長崎市~神戸市(休憩7回):10時間
・神戸市~東京都(休憩5回):9時間
合計:23時間、
かかったこととなった。
ただ前述の通り、休憩を多めにとったこと、高速の運転速度がほぼ法定速度だったことにより、おそらくもっと速く行程を追えられる人も多いかとは思う。
以上、今後どなたかが同じ行程をたどる際にご参考になれば、また私自身の備忘録として書いてみました。
閲覧ありがとうございましたm(_ _)m
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