体育とスポーツ/『体育がきらい』坂本拓弥
新年あけましておめでとうございます。
年末年始は狂ったように刺身のつまを巻いていました。
めちゃ上手くなりました。
そう、なんでもやり続ければそこそこ上手くなる。
継続は力なり。
思わぬところで学んだ年末年始でした。
自分の身体、うまく使えます?
そうは言ってもどうにもこうにもしがたいものに「自分の身体をうまく使う」があると思う。
これが壊滅的にできないと体育ができない。
ヒャダインさんが『体育科教育』に体育教育批判の記事を寄せたことはXでも話題になったので、記憶にある方もいるのでは。
『体育科教育』はこの大反響を受けて2月号にこれに対する体育教師のエッセイが掲載されるそうだ。
ヒャダインさんがどのくらい体育ができないか知らないが、バレーをやればサーブが入らず、持久走をすれば周回遅れになり、高3の体育で生まれて初めて10段階の7などと言う好成績を取り感動したのに担任から「そうか…ただ…7はクラスで最低だ」とのコメントを引き出したようなワタクシはヒャダインさんに負けないくらい体育ができない自信がある。よって、このヒャダインさんの「放っといてくれ」がよくわかる。
女子になると、「できないクラスメイトを応援するわたし」に酔い、ゴールした人の群れの中から「〇〇ちゃん頑張ってー!」と大声で叫び同級生の注目を周回遅れに集めさせると言うトンデモちゃんがいるので更にタチが悪い。
はっ、話がそれた。
体育がきらい
さて、今年最初にご紹介する書籍は坂本拓弥『体育がきらい』です。
『体育科教育』には体育教師のアンサーエッセイが掲載されるそうですが、この『体育がきらい』もある意味アンサーブックなのではないかと思う。
プリマー新書のページに書かれている書籍紹介はこちら。
本書によると体育は嫌いな教科第3位なのだそうで、「体育嫌い」がどのように醸成されるのかを以下のような観点から考察しています。
規律の問題
恥ずかしさの問題
体育教師の授業への関わり方の問題
体育教師のルーツの問題
「体育」と「暴力」の問題
「部活動」と「体育」の問題
基本的に「体育」についてフラットな立場で書かれていて読みやすい。
ヒャダインさんも『「体育」と「スポーツ」は同義ではありません。(中略)しかし、小学生が「体育」と「スポーツ」の違いをわかるでしょうか。』と述べていますが、本書ではまさに「体育」と「スポーツ」が同義ではないこと、からだが私を形成すること、「運動をする」のではなく「身体の力を抜く」ことを学ぶのも体育であることなどがわかりやすく述べられています。
体育が嫌いでもいい、でも、自分の身体で豊かな経験をしていくことを諦めないで欲しいと言うのが本書のメッセージ。そういうことを、大きい声で言ってくれる人がいることは、体育嫌いの希望ではないでしょうか。
そして願わくば、こういう立場の体育の先生が増えて欲しい。
「教えて」くれよ
わたしは体育とその他の教科の大きな違いのひとつに、「やり方を教えないままやらせる」があると考えています。その辺に関する言及がなかったのが残念かな。
数学は方程式の解き方を、国語は漢字の書き方や古文単語を、英語は文法を、教える。ところが体育で走り方も、ボールの投げ方も、教わったことがない気がする。ただ頑張れって精神論言われましてもな。頑張ってるし!
スイミングスクールの先生は泳ぎ方のコツや手の動かし方、自分の身体の使い方のおかしいところを直してくれる。そういう指導、体育の授業であんまりなくないですか。
わたしが学生だったのはもう大分昔なので時代が変わっているのかもしれないけど、そもそも小学校なんて全科教えるし、体育の先生だって自分の専門外の種目は教えられないだろうし、教科の在り方に問題があるのかもしれないけど。
体育は嫌いだったけど
でもね、体育は大っ嫌いであらゆる種目で追試になったけど(体育の追試があるので部活遅れますって言うあの恥ずかしさよ!)、高校1年生の時の体育の先生は好きでした。
成績の基準が明確で、言われた通りにできないけど言ってることが分かったので、追試に呼ばれることに不満はなかった。結局最後は担当教員の人間性ってことか。
体育は嫌いだけど、身体を動かすこと、スポーツは嫌いじゃないのです。職場の送別会のダンスも一所懸命練習するしなんだかんだで出来るようになるし、ジム通いだって時間とお金が許せば再開したいし。
最近話題になっているドッヂボールも嫌いじゃないよ。逃げの技術を磨いたからね。
うまくできない→恥をかく(または優劣がつく、思い通りにならなくてイライラするなど)→嫌い、のループをなんとかしたいね。だって人生長いんだし、やっぱり健康な身体を維持するのに運動は必要だもの。
今回ご紹介した本はこちら。
ついでに『体育科教育』も。
件のヒャダインさんのエッセイが寄稿されたのは2019年3月号。そんな古いものが今頃話題になるの、SNSっぽい!