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湯宿を照らす四季の宿 太陽館


太陽館の入り口にて

プロフィール

林 正史 さん
1975年12月8日生まれ。湯宿温泉出身。高校卒業後に上京し、専門学校で勉強した後、千葉県で働く。25歳の時に湯宿温泉に戻り、35歳で太陽館の4代目になる。休みの日には、地元の少年野球や中学校の硬式野球クラブチームを指導する。ゴルフが趣味のスポーツ好き。


スポーツマンオーナー率いる太陽館

太陽館の外観

夏が来たなぁという快晴の日、国道沿いに面した趣ある旅館「太陽館」に伺った。正面から見ると2階建てのように見えたが、実は奥に建物が続いており、最も高いところで4階建てであることを、後から館内を見学したときに知って驚いた。昔から増築を繰り返していった為に、現在のようなちょっと不思議な形になったそうで、歩くと迷路のようで楽しい。正面玄関で「こんにちは!」と元気な声で出迎えてくれたのは、見た目からして何かスポーツされているのだろうなという、はつらつとしていて、優しい目元が印象的な方。有限会社湯宿温泉太陽館の代表である、林正史さんだ。


35歳で若くして代表に

インタビューの様子

1300年前から温泉が湧き、湯治場として栄えていた湯宿温泉街。そんな湯宿温泉の中に、明治初期から建つ老舗の旅館が太陽館である。
4代目になる正史さんは、高校卒業後に上京して学生時代を過ごした後、千葉県で働いていた。30歳くらいまでは千葉で過ごそうと考えていたが、25歳の時に太陽館を営む両親から湯宿温泉に帰って来るように言われた。2人の姉がおり、唯一の男だった正史さんは、小さい頃から呪文のように太陽館を継ぐことを刷り込まれていた。子どもの時からすでに継ぐことを受け入れていた正史さんは、素直に従い地元に戻ることを決めた。戻ってからは太陽館の従業員の一人として働くこととなった。そして10年後、35歳の時にお父さんが亡くなり、若くして太陽館の代表になる。代表になった時のことを伺うと、

「代表としての責任は重かったですね。借金の書類にハンコを押す訳だから。」

と苦笑い。コロナ禍での影響についても伺うと、

「うちだけじゃなくてこの辺みんな同じだけど、コロナの時は大変でした。飲食店に比べて補償も手厚くは無かったので。コロナの2年半で1億は売上が落ちたんじゃないかな。お客さんが来ないから、どうしようもないもどかしさがありました。」

と、振り返った。時期は限定的ではあったが、国の旅行支援のキャンペーンは、そんな大変な数年間を乗り越える助けになったそうだ。また、ヒノキが香る家族風呂やテラス付きの貸切風呂は、持続化給付金を活用して2023年に新設された。

貸切風呂

魅力は源泉かけ流しと地元の食材を使った食事

源泉掛け流しの温泉

太陽館のアピールポイントはずばり、源泉かけ流しと地元食材を使った食事。ホームページにも掲載されている食事は、どれも地元の野菜とお肉を贅沢に使った豪華なメニューである。個人的には山菜釜飯が気になる…。
温泉は内湯、家族風呂、貸切露天風呂が2つある。貸切露天風呂の広々とした陶器の浴槽は、高級車が一台買える程のお値段であるという、こだわりの特注品だ。昼間に実際にお湯を張ったところを見せて頂いたが、テラスとの一体感があり、外を眺めながら入るのはさぞ気持ち良いことだろう。夜にはテラスで椅子に座りながら星空を眺めることもできるという、、、素敵すぎる。掃除の時間以外であれば日帰り入浴も対応して頂けるということなので、今度登山帰りに寄ってみよう。

星空も眺められるテラス

余談だが、太陽館で使用している温泉の源泉は周辺のいくつかの旅館と共有しており、湯宿温泉配湯株式会社という一つの会社を組織して管理している。各旅館が源泉の使用量(1t当たり)に応じて会社に支払い、そのお金は修理やメンテナンスに充てられているそうだ。

「また来るねー」という言葉が嬉しい

インタビューの様子

正史さんに太陽館で働くやりがいを伺うと、

「やっぱりお客さんに喜んでもらえると嬉しいよね。特に「また来るねー」と言ってもらえると本当に嬉しいです。」

と答える。常連さんも多いようで、関東だけでなく大阪など遠方からの常連さんもいるそうだ。「夏には合宿の受け入れもしています。今後は個人のお客さん向けにシフトしていく予定ではありますが、前からの常連のお客さんは団体も喜んで受けさせて頂いています。」ロビーにはたくさんの色紙が飾られており、中には箱根駅伝の強豪チームのものもあった。かの有名な瀬古選手のものもある。正史さんは、「瀬古さんがオリンピックで履いた靴もありますよ。その当時は何度も泊りに来てくれていました。」と嬉しように話す。
また、取材中に地元の方が予約を取りに来る光景も見られ、そのお客さんと正史さんとの親しげなやり取りを見て、旅行者だけでなく地元の方にも愛される宿であることが垣間見えた。


「全てが好きかなぁ」

インタビューの様子

湯宿温泉の好きなところを伺うと「全てが好きかなぁ。」と完ぺきな回答が。ここまでストレートだと聞いている方もなんだか嬉しい(笑)

「気候も良いし、雰囲気あるし、病院もあるし、温泉もあるし、国道沿いだし、近くに新幹線もあるからアクセスも良いですよね。派手さは無いけど。良いところだと思います。移住者の方にとっても、車さえあれば生活の便も良いから生活しやすいんじゃないですかね。」

と続けた。


田舎ならではの当たり前がある

そんな魅力的な湯宿温泉に移住を考える人へ、正史さんのアドバイスを伺った。

「例えば、家賃が安いなと思っても、それ以外に区費や温泉費といった都会ではあまりかからないような、毎月の固定費がかかったりします。都会の人からすると違和感があるかもしれないけれど、ここに住む人たちからすると支払うのが普通。そういうのが嫌で一度移住して来ても、出て行ってしまう人も中にはいました。また、地区の掃除など、地域の行事があるから近所付き合いも求められる。そういう都会と違う当たり前があることを覚悟できてさえいれば、ほんとに良い場所だと思いますよ。」

場所は違うが、移住者である私も同感だった。

今後の湯宿温泉に期待するについては、

湯宿温泉にお客さんがたくさん来て、この通りに飲食店がもっと増えていくのが夢かなぁ。

と話した。詳しくは書かないが、今後新しい施設ができる計画もあるそうで、これからの湯宿温泉が楽しみだ。


記事を読んでくれた方へメッセージ

太陽館の館内

最後に読者にメッセージを頂いた。

ぜひ湯宿温泉に来てください。温泉と、自然と、食を味わって、まったりして帰っていただけたらと思います。この周辺ではホタルを見れるスポットがいくつかあって、今の時期は宿の近くでもホタルを見れますよ。」

みなかみでホタルというと上毛高原裏のイメージがあったが、この周辺はやっかいなヤマビルもまだいないそうで穴場スポットかもしれない。

じっくり湯宿温泉を味わいに、ぜひ次は泊りで来たいと思う取材であった。そして泊りに来たときは正史さんのオススメスポットもセットで行こっと。


正史さんの湯宿おすすめスポット!

そんな湯宿温泉大好きの正史さんのおすすめスポットをご紹介。食べるのが大好きな私としては興味津々なので、湯宿温泉じゃない場所もありますが紹介!
①「やまいちや」さん。
「味噌カツ御前が好き。この辺りのちょっと甘めの味噌がいいよね。」


②「Plants & Coffee ね」さん。
「おすすめはやっぱりコーヒーでしょ。あと小さい植物に癒されるよ。」

③「本多果樹園 ふれあいの家」さん。
「後輩がやっているお店です。お蕎麦が美味しい!野菜もたくさん取れます。」

④「伍猿」さん。
「こちらも後輩がやっているお店。なんでも美味しいけど、酒のつまみになる、餃子と四川麻婆が特に好きかな。」


湯宿温泉 太陽館

客室の様子
  • 部屋数:13室

  • チェックイン:15時〜

  • チェックアウト:10時

  • 駐車場:無料

  • 日帰り入浴あり:大人700円、子供500円



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