髪を切るだけじゃない癒しの空間「トコヤホンダ」床屋を超えた、湯宿の相談窓口はここにあり。
プロフィール
本多工(ほんだたくみ)さん
1967年10月22日生まれ。湯宿温泉出身。沼田でサラリーマンとして働きながら、33歳から理容師学校に通う。床屋さんを営んでいたお父さんが亡くなったのをきっかけに、トコヤホンダを継ぐ3代目。
本多駿也(ほんだとしや)さん
1995年10月1日生まれ。湯宿温泉出身。沼田高校を卒業後、4年間アメリカの大学に通う。その後、日本でサラリーマンとして働くが、父と同じく、働きながら理容師学校に通う。2023年にお子さんができたのをきっかけに、家族で湯宿温泉に戻り、トコヤホンダを父と一緒に切り盛りしている。
おしゃれな建物は床屋?
5月末の気持ちの良い風が吹く日、湯宿温泉の通りに突然ここだけ海外のような外観の「トコヤホンダ」に向かった。この道を通るたびに、アメリカンでおしゃれな建物があるなぁと気にはなってはいた。ただ、床屋というものに女性の私はなかなか馴染みがなく、入れずにいたので、今回の取材を楽しみにしていた。
玄関ドアを開けると、フィギュアや看板などのビンテージ品がお出迎え。カレンダーも壁に貼られたPOPも、ひとつひとつにこだわりが詰まった店内に、思わず「めっちゃおしゃれー!」と声が出る。アメリカンながら、クールすぎない雰囲気で、個人的にとっても好き。こんなテイストが好きな方は、勝手にイケイケな方かと思いきや(偏見)、店主の本多工さんの印象は、とても穏やか。息子の駿也さんも、気さくな雰囲気で迎えてくれた。
今回は、そんなお二人に、「トコヤホンダ」のこだわりや、湯宿温泉の魅力、そして地元出身者としての想いを伺った。
33歳での転機と、新たな挑戦
最初に床屋さんを始めたのは、工さんのおじいさん。湯宿温泉出身だったおじいさんは、東京で床屋を始めた後、疎開をきっかけに湯宿に戻り、「トコヤホンダ」を創業した。その後、工さんのお父さんがお店を継ぎ、工さんが3代目、駿也さんが4代目になる。工さんは小さい頃から地元に愛され、家業であるお店を残したいと、継ぐことは決めていたが、一度は経験してみたいとサラリーマンとして働き始める。仕事の面白さになかなか辞めるきっかけを得られなかった工さんだったが、33歳になった年にお父さんが亡くなった。工さんは、意を決し働きながら職場には秘密で、理容師学校に通い始める。当時について、工さんは
と笑って話す。学校での実習が増えてくると、仕事を休む言い訳も尽き、いよいよ仕事との両立が難しくなり、仕事を辞め地元に戻ることを決めた。その頃、駿也さんは小学生になる頃。工さんは、家族を養う父としての覚悟をもって、真剣に「トコヤホンダ」に向き合うこととなった。
田舎だからって妥協したくない、癒しの床屋さん
お店について、工さんは、
(危うくまんまと寝かせられるところだった私。ヘッドスパの体験談は後ほど)
と話した。トコヤホンダは、カット以外にも、癒し系のメニューも充実させ、都会に負けないクオリティでお客さんをもてなしている。
さらに、トコヤホンダのこだわりについて、
と語った。また、それまでは一般的な床屋さんだったお店のテイストを、工さんのセンスでアメリカンな雰囲気に一新した。このテイストは若い方だけでなく、「このうち来るとおもしれぇんよなぁ!」と、年配の方からも好評なそうで、老若男女問わず話のきっかけになるそう。
トコヤホンダには、群馬県内だけでなく、東京や新潟からもお客さんがやって来ることも聞き、地元に限らず幅広くの方に愛されている床屋さんであることがうかがえた。Googleマップのクチコミを見れば、絶賛するコメントがあふれ、人気もピカイチ!
そんなお店を今後継ぐ予定の駿也さん。大学卒業後に理容師学校に入ろうと考えていたが、一度社会を経験しておきたいと、サラリーマンとして働いた。そして父と同じく、仕事をしながら理容師学校に通った。駿也さんの場合は、結婚してお子さんができたのが、地元に戻るきっかけになった。奥さんとも相談し、地元である湯宿温泉を盛り上げたいという気持ちを胸に、昨年湯宿温泉に戻ってきた。
直接「ありがとう」を言ってもらえる仕事
この仕事をしていて良かったと思う瞬間を伺うと、駿也さんは、
と話した。それには、工さんも納得なようで「例えば商品を販売しても、『ありがとう』を言うのはお店の方だし、お客さんの方から直接お礼を言ってもらえる職業はなかなか無いですよね。」と続ける。「あとはお客さんから自分が知らない面白い話や情報をたくさん聞かせてもらえるのも魅力ですね。ここが情報の拠点のようになっていて、お客さんから極秘情報を教えてもらったりすることもあります。」お二人の話しやすい人柄に、ついつい会話が弾んでしまうのだろう。その気持ちわかるー。
ちょうどいいサイズ感と、人の親しみやすさと、豊かな自然
お二人の地元である湯宿温泉の好きなところを伺うと、「一言で言うと、ちょうど良いサイズ感だよねえ」との答えが。
加えて、自然が多いのも湯宿の魅力のひとつ。駿也さんは、休日に庭で家族や友達とバーベキューをしたり、畑で野菜を育てたりしているそうで、田舎ならではの過ごし方をしている。工さんはDIYをしたり、近くのお店にご飯を食べに行ったり、店舗の前にあるガレージに同級生がやっているキッチンカーを呼んで月1回イベントもしたりするそう。(ガレージについては今後の記事をお楽しみに!)
本多親子の湯宿温泉おすすめスポット!
夏の赤谷川の河原:ホタルが観察できる。
ゆじゅく温泉ゆうえんち:子どもと遊ぶのにちょうどよい公園。冬は雪でちょっとした山ができるので、ソリで滑ったりもできる。
忠霊塔:広場になっていて、桜が咲く時期にお花見したり、新緑の時期に行くのがおすすめ。
湯宿温泉で頼れる人になってあげたい
一度都会へ出て地元に戻ったお二人には、「湯宿温泉を盛り上げたい」という気持ちが共通していた。
そう言う工さんのところには、物件を紹介して欲しいとの依頼も来るそうで、もはや床屋さんを超えて、何でも屋さんだ(笑)
一方で、湯宿温泉のこれからの取り組みについても伺った。
記事を読んでくれた方へメッセージ
お店体験レポ!
「トコヤホンダ」で人気のヘッドスパを体験。温かい泥パックでしっかり毛穴の汚れを落とした後に、癒しのマッサージ。じわじわと確実に、もみほぐされます。寝たらせっかくの気持ちよさを忘れてしまう!!と必死に眠気と戦いました(笑)それくらい気持ち良いです。耳も首も肩もマッサージして頂き、自分でも気づいてなかった疲れがすっきり。施術後、「ええ?私の髪の毛無くなった?」ってなるほど頭が軽くなって驚きました!
トコヤホンダ~Hair&HealingBARBER
この記事を書いたライター紹介!
小柳奈々恵
1995年7月3日生まれ。神奈川県海老名市出身。岩手の大学で林業を勉強した後、木材業界で働く。2021年から地域おこし協力隊としてみなかみ町に移住し、谷川岳インフォメーションセンターで働いている。趣味は登山とタップダンス。食べるのも好き。
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