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【将棋】小駒を使いこなす-1-

〇はじめに

対局開始と同時に私たちに与えられた武器、すなわち駒は全部で20枚。そのうちの玉将・飛車・角行を除いた17枚もの駒が小駒として活躍してくれます。大駒ほど能力が高くないからと甘く見ずに、歩兵1枚でもしっかりと活用し、意味をもたせてあげることが重要です。

小駒は金将・銀将・桂馬・香車・歩兵の5種類に分けられます。必ずしもそうとは限らないものの、金将は守備担当、銀将は攻撃担当、それ以外の3種の駒は攻守両方をサポートする、といった具合に使われます。

役割のない駒を作ってしまうことを「遊ばせる」と表現することがありますが、小駒を価値の低い駒だと侮って軽々しく交換したり、「遊ばせて」おいたりすると一気に劣勢に立たされることがあります。駒同士の連携を取りながら、ときには大駒のサポートをする形で配置していきます。

攻撃の前線に出向いて敵陣に切り込んでいく、玉将の周辺で護衛を務める、勝利のために自ら犠牲となる、といった小駒ならではの小回りの利いた多種多様な使い方が可能です。

この「小駒を使いこなす」シリーズでは、金将・銀将/桂馬・香車・歩兵という2つにパートを分けて、具体的に効果的な使い方を検討していきます。

〇守備の金将

今回の記事では、金将にフォーカスしてみていきます。先述の通り、金将は基本的に守備で使われることの多い駒で、玉将の周辺に位置してどっしりと守りを固めます。

最も簡単な図で比較してみると金将の存在感が分かりやすくみえてきます。<第1図>と<第2図>を比較してみると、例えば、横から飛車を打たれたときに<第1図>であればすぐに王手がかかり、危険な状態になるのに対して、<第2図>では王手はかからず、安全に守ることができています。

<第1図>
<第2図>

<第2図>のように玉将の周りに金将を配置して守備を固めるのは基本中の基本になります。

〇一段金

「金将は下段にいるほど強い」という特徴があります。これは金将の動ける範囲を考えれば自然と分かることです。金将は斜め後方が死角になっており、下段にいるほど隙がなくなるのです。

<第3図>

例えば<第4図>をみてみると、6九のマスにいる金将はまったく隙がありません。☖5八銀と打たれても☖6八銀でも☖7八銀でもすべて☗同金が成り立ちます。このように一段目にいる金将を「一段金」と呼び、玉将と同じ動きができるため強力に働きます。

<第4図>

一方の4七のマスの金将は隙があります。例えば☖3八銀と打たれるとどうでしょう。3八のマスは斜め後方で完全に金将の死角になっています。これでは、金将と飛車の両取りがかかってしまい、非常に厳しい一手となります。

<第5図>

金将が前進するのが必ずしも悪い手というわけではありませんが、斜め後方のマスに弱点ができることは常に念頭に入れておいた方が良いでしょう。


今回は守備に優れた金将をみてみました。次回の記事では、銀将についてみていきたいと思います。

それではまた次回の記事で。

             ―B.―

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