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あやとり家族69〜日本の母と海外の母〜

やっぱり連絡が来た

自分から連絡しないと言ってきたのに
ものの数週間で連絡が来た
「一人暮らしで楽しんでいるんでしょう、随分変わったのね、あなた」
こうやって連絡をすれば
「違うよ」って返事が来ると思っていたんだろう
逆撫でする発言で私を挑発する

こういうやりとりが一番疲れる、精神的にだ
相手の気持ちを汲んで、自分が悪いのではという考えに陥ってしまう辛さ

発達障害、アダルトチルドレン

この時は自分がそうとは知らなかったけれど
思い返すと我慢して、自分のが悪いと思い込み
「ごめんね」の回数が増える
ごめんねと言った分だけ自分に嘘をついているのと同じこと

なんでわかってもらえないのかな
英語で生活するだけでも思いを伝えるのは難しいことなのに
全く生きた心地がしなかった

そのうち無視し続けることに自分が苦しめられていくのがわかった
自分が決めたことだけど、相手のペースに飲み込まれてしまう

そうでなければ自分が自分でいられない
見捨てられてしまうのではないかという不安
孤独感に苛まれる
という小さい頃からの学び、母からの教えだ

そして、定期的に嫌味なメールが来ることに耐えきれなくなり返事をした


「アルバイトが見つかった、仕事とバイトで忙しくやっている
だから大丈夫」
アルバイトがようやくみつかり良い言い訳ができた

そうすると人が変わったように
「よかったじゃない!どこで働いているの?」
と機嫌が直る

人間って怖い

そこからまた怒涛のメール攻撃が再燃
自分が返事できる時にはするけれど、できないこともあると最初に伝えて
時には嫌味なメールも来たが流すことを覚え始めた

いつもそう、大したことない内容
”自分に頼って欲しいという思い”がひしひしと伝わる
ホストマザーは私の手助けをしたいと全面に出してくるが、
実際は自己満足の世界
”あなたがいないと私はだめなの”
という共依存関係を作り出したがっているように思えた


海外に来てから10ヶ月
全く楽しめていない

夫の不倫、連絡が取れないこと
ホストマザーの執拗な干渉
生理も止まってホルモンバンスも崩れる
コミュニケーションがうまく取れず
仲間でワイワイと楽しめることができない
何をするにも脳内多動で自分を苦しめる

アルバイトを探しても見つからない
気づけば貯金も底をつき、日本に帰るしか方法が見つからない
航空チケットの安いのを探したが、それでも手持ちのお金では買えない

ここまでなるまで自分でも気が付かなかった
「えっ帰れないじゃん」
自分でも驚いた、相当疲弊していたんだろう

日本の母に連絡した


母の返事は

「日本に帰らないといけない。お金がなくなってしまって飛行機代もないからお金を貸してほしい」

「えー、急に言われても」だった
「日本を出る時に、お金が足りなくなったらすぐに使えるように100万円くらい用意しておくからって言ってたじゃん」
「でも、急に言われても」

返事のしようがなく、自然と涙が出てきて
「もういい」
と言い電話を切った

どうしよう、日本にも帰れない
アイデアも浮かばずただただ呆然とするしかなかった

そんな時だった、履歴書を配り歩いていた1つのレストランから連絡があった
母との電話を切って1週間後のことだ

そこは地元でも老舗のトルコ料理レストラン
オーナーは女性だった、こんな私を受け入れてくれた恩人
”こんな私”としか自分を表現できなかった自分の長所に目を向けてくれた

働き始めてからその長所が発揮された
覚えるまでは多少時間がかかるが、知覚統合・処理速度が異常に速い
仕事に慣れてからは、お客様が入口の前を通るだけで
何人入ってくるのかを予測し、その分の水を用意する
自分でもなぜわかるのかは、わからなくて
でも動きが断然早かった

私はここで働くことが何よりも楽しく
特にチーフの女性とは気が合い
海外に来て初めて楽しいと思える毎日だった
学校が終わり、バイトに行って
お金がないから賄いを持って帰って次の日のお弁当にする生活

好きなものは買えないけど
海外で働くなんて凄い経験しているって
それだけでも嬉しかった

2週間ほど経ち母から電話が入る
「大丈夫?」
何が大丈夫?なんだと思った
「お金ないんでしょ?」
送金するとは言わない、ただの現状確認だ
「もういいから」と電話を切った

普通の親ならすぐに送金するだろう
やっぱりこの人はそういう人なんだと再認識した

こうして日本の母とホストマザーに良いように扱われていたが、バイトがそれを救ってくれた



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