考えついた
不思議な話をひとつ
その病室は、1号室と呼ばれる部屋で、大部屋、つまり複数人がカーテン越しの区切りでひとつの部屋に入院している状態の部屋だった
病院では当たり前のことだが、ナースステーションという、看護師が拠点にしている場所の近くの部屋には重症の患者が入室する
急変などがあった際、いち早く駆けつけたり、あるいは重症の人の状態を常に最短距離で観察できるようにしてあるわけだ
心電図モニターという機器がある
これは、文字通り対象の患者の心電図をモニター上に出力できるもので、例えば心停止になれば、ドラマや映画なんかでよくある「ピーーー」という音と共に、脈打っていた線が横一直線になる
加えて心停止が起こると、先程話に出たナースステーションでは、その患者の名前が乗ったモニターがけたたましくアラームを鳴らす。緊急事態だぞ、と
本題です
1号室のベッドは4つ
その中の一人が心電図モニターをつけていた
ある日の夜、緊急のアラームがなった。モニターを見ると、心停止。急いで部屋に駆けつける
必要であればその場で胸骨圧迫や人工呼吸などの一次救命措置を行う必要もあった
だが、駆けつけるとその患者はスースーと寝息を立てており、心臓ももちろん動いていた
機器の不具合か、と、電極(体に3つの電極をつけており、外れているとデータが送信されない)を確認するが、どれも不備なく着いていた
「元々モニターを付けなきゃダメなような患者さんなら、心臓が一旦止まっちゃったけど、また動き出しただけでは?」という説は残念ながら有り得ない。止まった心臓は勝手に動き出さない
だが実際にはこの時点で、アラームは止まっておりモニターには普通に脈打つ線が表示されていた
これと同じようなことが、1晩に4回も起こる
はっきり言って異常
全く原因が分からなかったが、電子カルテを見ていく中で気になることがひとつあった
以前、1号室で心停止し、亡くなった方がいた
その夜は、それからちょうど48日目
49日という話があるように、魂はまだ残っていて、この世を離れる最後の最後に、その存在を示していたのかもしれない
もちろん、この話はフィクションです、よ