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【おれが干すぞと】フトン記念日【言ったから】

朝、外に出たときには雨が降っていた。

1時間ほど窓のない部屋で過ごし、外に出てみたら快晴。
突然の晴天にびっくりする。

ここ最近ずっと天気が悪かったので、テンションが上がる。

青空だ!
太陽だ!
紫外線だ!!

かわいさ余って憎さ百倍。

太陽よ、お前も久しぶりの好天にテンションが上がっておるな?
はしゃぐな。

右手に雨が止み不要となった傘を持ち、
左手に気温が上がり邪魔となった上着を持つ。

要らんものを両手に抱える人生。
足手まといを手に抱えるとはいかに。

雨傘よ、せめてお前が日傘だったらよかったのに。

顔の皮膚が太陽に焼かれる感覚を味わいながら思う。

ていうか雨傘よ、ぐっしょり濡れたお前を乾かすのがめんどうなんじゃ。
お前を乾かすために部屋で干すと、ただでさえ狭い我が家に足の踏み場がなくなるんじゃ。

そこまで思ってから気づく。
現在晴天。
サンサンと降り注ぐ太陽。

今傘を差せば、あっという間に乾くのでは…?

雨が降っていないのに雨傘を差すとはいかに。
紫外線カットの効果がまるでない傘を差すとは何事か。

「ママ―、あの人雨降ってないのに傘差してるよー」
「あら、あれは普通の雨傘。紫外線カットできないのにかわいそうに。ぼうや、見ちゃいけません」

脳内の意地悪親子がおれを責める。
だがしかし、おれを責めるのはこの仮想敵2人だけだ。

差そう、傘を。
乾かそう、お前を。

せっかくの太陽エネルギーだ。
使わなければもったいない。

いったん傘を広げると、みるみるうちに水気がなくなっていく。

太陽すげぇ。
エネルギーの塊じゃん。
おれはお前に生かされている。

このエネルギーを無駄にしてはいけない!と妙な焦りを覚え、足早に帰宅する。

そう、布団を干すのだ!
とうとうその時がやって来た!!

夏になったときにさよならした羽毛布団。
ここ1週間くらい、ずっと(さむい、さむいな…)と思いながらも毛布1枚で凌いできた。
羽毛布団を干すタイミングがなかったから。

今から普通の洗濯をするにはちょっと遅すぎるし、まさに布団干しのチャンス!
押入れの奥に眠る羽毛布団を引っ張り出し、開封の儀式。

羽毛布団よ、目を覚ますのです。

最近、パンプスやらホームベーカリーやら、やたらと我が家の眠れる獅子たちを目覚めさせている。
みんなが勇者だったらどうしよう。
パンプス、ホームベーカリー、羽毛布団の3勇者。
おれがゼルダで、きみたちはリンク1・リンク2・リンク3。
令和のトライフォース3銃士は我が家に集結していたのか。

カンカン照りのベランダにリンク3こと羽毛布団を放り出す。
太陽エネルギーを無駄なく利用できている気がして気持ちいい。

掛け布団用のシーツも洗濯乾燥して、すっかり気分が良くなる。
良い気持ちのまま快適に昼寝。

明日は資格の試験だ。
今おれの前には天日干しされたふかふかの羽毛布団が、洗いたてのシーツにくるまれて横たわっている。

誘惑に勝つことができるのか。
はたして。

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