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単発バイトでパンプス博打

昨日は単発バイトの日。

バイトはジャケット着用でよろ!と言われたので実家に探しに行ったが、結局見つからず。過去の自分、真面目な服という服をすべて処分していた。

我ながら徹底してる。こわい。
でもそこがおれのいいところ。

どうせ買うならテンションがあがるジャケットを、と思い服屋をまわったがピンと来るものなし。ピンと来るなら捨ててないしな。

結局UNIQLOで買う。安いし、なんなら形も素材も一番好み。UNIQLO様々。

そして、バイト当日の靴を悩む。力仕事であればスニーカーだし、お客様相手に接客をするならパンプスだろう。

バイトの内容は集合場所とイベント名以外なにも聞いていない。もちろん質問すれば教えてくれるはずだが、なにも分からない状態で参戦するのも面白そうだと思い、詳細を知らぬまま臨むことにした。

ジャケットで来てねと言われたし、会場はフォーマルな雰囲気っぽいし、パンプスが正解な気がする。

よし、パンプス博打だ。
パンプスでいこう。いったれ。

パンプスなんて久しぶりだ。眠れるパンプスを靴箱の奥から引っ張り出す。パンプスよ、目を覚ますのです。

シンデレラのごとくうやうやしくパンプスに足を通し、お姫様気分で出発。踵がある靴を履くだけで己の中のメスが目覚める。魔法がかかったみたいだ。

わらわはシンデレラぞ、皆のもの道をあけよ。

だがしかし魔法は5分で解けた。

痛てぇ。

え、こんなに痛いことある?

靴は歩くためにあるのに、歩くたびに足が痛くなるって不合理すぎない??

不安しか無い。いまさらチェンジとかできない。今日一日パンプスと付き合わなきゃいけない。大丈夫かおれ。

不安を抱えたまま朝の通勤電車に乗り込む。

座れない、という現実がダメージを負った心に追い打ちをかける。心だけならまだしも、足にもクリティカルヒット。

そうか、これが労働者の月曜日か。イヤすぎる。働きたくない。

いけない、このままでは負のスパイラルに飲み込まれてしまう。

気分を上げるために本を読む。本泥棒の話。現代人が持つ倫理観とかけ離れた昔の本泥棒たちの理屈&行動力がおもしろい。

おもろい、おもろいなぁと思っていたら乗り換え駅を通過していた。

えっ…!

車内アナウンスで流れる聞き馴染みのない駅名。

どこ…??

一気に脳汁が噴出。

脳汁ってパチンコのフィーバー音聞いたときとかに流れる楽しい汁じゃないの??こんな面白要素ゼロの状況で出ないでくれ…!!

だがしかしここは大都会東京。しかも今まさにおれは都心に向かっている。別ルートはいくらでもあるはず。あってくれ。

………あった!!

都会万歳!!!

予定外の駅で大慌てで乗り換える。
なんとか間に合いそうだ。リカバリー完了。

こういうとき、現代に生きてて助かった〜と心底思う。リカバリー方法をすぐにスマホで検索できるもの。己の力だけだったら絶対に野たれ死んでいる。時代に甘やかされている。ありがとう時代、ありがとう技術革新。

無事集合時間に間に合い、何食わぬ顔でみんなの足もとを見る。

めっちゃスニーカー。
なんならジャケット着てない人もいる。

どうやら、イベント本番の前の準備として、会場の設営を行うらしい。

バイトに誘ってくれた方が、恐縮そうに何度も謝ってくれる。靴について連絡せずに申し訳ありません、と。
いえ、確信犯です。パンプスが吉と出るか凶と出るか、博打がしたくなっちゃったんです。今日一日だけのバイトなのにそんな博打すんなよ自分。

さらに「ジャケット、邪魔なら脱いじゃってくださいね!本番だけ着てれば問題ないですから!」と気を遣ってくださる。

ありがとうございます!

でもジャケット下はババシャツの上に袖なしのブラウスを重ねて着ておりまして、脱ぐとババシャツが丸見えになるので脱げないんです!!

とは言えず、うふふ〜ありがとうございます〜と適当な返事でその場をしのいだ。

ジャケットの代わりに靴を脱いだ。
素足って動きやすい。
令和の大発見。

服はハリボテだし電車も乗り過ごすけど、今日も元気に生きている。

明日は元気に就職活動。

無職脱出できるかな?

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