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二胡発表会、やらかしました
二胡は、中国民族楽器の一種で、二本の弦を弓で弾く擦弦楽器です。
先日、発表会がありました。私の通う二胡教室は、発表会が年に2回あります。習い始めて3年半、発表会に少し慣れてきたところです。
この「慣れ」が災いしたのか、痛恨のミス、やってしまいました。
緊張はもちろんありましたが、いつも通り弾けば大丈夫!と思って本番に臨みました。
順番が来て、自己紹介と曲目を言い、座った瞬間に、はたと気づきました。
左手にベビーパウダーを塗るのを忘れたことに!
二胡は、左手を上下に動かして弦を押さえます。手に汗をかくと棹に引っかかり、正しい位置に手が戻らず、結果わずかに音がズレてしまいます。これを防ぐために、ベビーパウダーを手に塗るのです。
しかし、手に汗をかいても、正しい位置で弦を押さえる練習をするように、先生から言われているので、なんとかしないといけません。
落ち着け、私。多少、汗で手がひっかかっても、音を合わせられるように、練習してきたじゃないか!こんなの、ミスのうちにならん。大丈夫や。このまま、いけ!と、心のなかでつぶやいて、弾き始めました。
弾き始めて、すぐに手に違和感を覚えました。手がものすごくネバつくのです。
何だコレ?このネバつき、汗だけのせいじゃない。音がズレる!しかも、弦から指がはずれる…
背中に冷や汗をかくと同時に、手の汗も倍増です。
わかった!松脂(まつやに)だ!
バイオリンと同じように、二胡も弓に『松脂』を塗ります。松の樹液を油で固めたもので、見た目は琥珀(こはく)色の石けんのようなかんじです。粉状になった『松脂』が棹について、汗と混ざってネバついているのです。
練習中に手がネバついたら、手を洗って棹を拭くなどしますが、今は本番中。そんなこと出来るはずもありません。私は松脂を、たまにしか塗らないので、塗った直後に手がネバつくことをすっかり忘れていました。
前日の夜、
「そういや松脂、そろそろ塗っとこうかな、明日発表会やし。」てな軽いノリで塗ったのを思い出しました。
めったに塗らないのに、なーんで昨日塗ったかな。アホや私!
ネバつく左手に気を取られ、右手に意識がいきません。
アカン、右手もコントロールしないと!
焦りのせいで、左右の手が、それぞれ勝手に動いているような錯覚に陥りました。さらに、耳の奥が詰まったような感覚になり、音がいつもより小さく聞こえます。こうなると、力加減もわかりません。
ダメだ。今日の演奏はボロボロだ…。
弾きながら気が遠くなり、演奏をやめて逃げたくなりましたが、曲の後半に入っていたので、
ここからはテンポもゆっくりやし、慌てなければ指は動く!落ち着いてがんばれ!
自分を励まし、なんとかエンディングまでたどりつき、よし!最後の山さえ越えれば終わりだ!
しかし、その山もビミョーに音ズレ…
…終了(涙)。
ハァ…やっちまったな…。肝心な時に、雑な準備しかやらなかった自分を呪うわ。
打ちひしがれながら自分の席に戻りました。
後日、発表会の動画が先生から送られてきましたが、怖くてすぐには見られませんでした。2、3日たって、やっと見てみると、
緊張しすぎて手が固まっているのかな、というふうに見えないこともない…。やっぱり、音はちょっぴりズレてるけど。
先生に、この話をすると、「それは、よい経験になりましたね。」とポジティブに言って下さいました。「本番で100%の力を出そうと思ったら、練習と準備で300%くらい頑張らないと、出ませんね~。」とも。
というわけで、
本番前に、いつもやらないことをやっちゃだめ、いつもやっていることは、ちゃんとやる!ということを学んだ経験談でした。
発表会の曲目『北京有個金太陽』