妹の誕生日
天国の妹へ
まめちゃん、お誕生日おめでとう。
まめちゃん。
貴女が天国へ旅立ってから、もう二十数年経つのですね。
そちらでは元気にしてますか。
貴女と一緒に旅立ってしまった、パパもママも元気にしていますか。
今年は...そう、天国からも見えるよね?
今年は世界中、コロナウイルスの猛威で大変なことになってます。
このコロナウイルスのおかげで、日本中、
いや、貴女と私がパパ、ママと共に過ごした東京も本当に変わったよ。
貴女との思い出の場所も、お店も、風景も。
そして、人々の心も考え方も価値観も。
まだ一年も経ってないのに本当に変わってしまった。
オットと姉ちゃんはここ千葉県に来てもう10年以上経つけれど。
引っ越してきてから通いなれたお店も、
古くから人々に愛されたお店も
都内同様に閉店してしまったお店が多いんだよ。
ねえ、まめちゃん、
これからこの世の中はどうなるのかな。
たまにね、オットと話すんだ。
まめちゃんにもパパにもママにも生きててほしかったし
一緒に行きたいことも、したいことも、話したいこともいっぱい、いっぱいあるから。あったから。
でもね、いつもオットは姉ちゃんに言うんだよ。
「まめちゃんも、パパもママも生きてたら、もしかしたら辛いこともあったかもしれないよ」
その度に、その通りかもね、って頷くし
本当にそう思うんだ。
オットは本当に、まめちゃんのことも、パパのことも、ママのことも未だに自分の家族のように愛してくれてるね。
まめちゃん
会いたいよ。
会いたくてたまらないよ。
もちろん、まだまだ姉ちゃんはオットと共に生きなきゃいけない。
まめちゃん達が旅立ってから
色んなことがあったよ。
色んなことがあって。
姉ちゃんは敢えて昔からの知り合いとも幼なじみとも友達とも縁を切った。
寂しくなかったとはいわないけど。
うわべでしか馴れ合わない人達との付き合いに疲れたの。
結婚してから色々知り合い、友達?もできたけど
結局のところ、やっぱり姉ちゃんが心の底から
信頼できる人はオット以外にはいないかな。
でもね。
最近改めて思ったの。
孤独や寂しい気持ちを紛らわそうと
本音を押し殺して、心から信頼できない人と馴れ合うのはやっぱり姉ちゃんらしくない。
まめちゃんもそう思うでしょ?
姉ちゃんの学生の頃のこともまめちゃんならよく覚えてるはずだもんね。
だからね、姉ちゃんはこれからも
オットと過ごす以外の時間は一人。
一人の時間を姉ちゃんなりに楽しむよ。
一人で過ごすことには慣れてるからね。
もう、これ以上訳のわからない人間関係に巻き込まれたり
陰口聞くのも見るのもうんざり。
本当に人間として好きだと思えない人と友達でいるのもうんざり。
大切な存在を失ったことのない人にはわからないらしいこと。
喪失体験は、何年、何十年経っても消えないし
悲しみも消えない。
未だにふと涙することもある。
でもね
オットも私も大切にしている言葉があるんだ。
【人はいつ死ぬ?(中略)人に忘れられた時さ】
マンガ/アニメ ワンピースの、ドクターヒルルクの最期のシーンでのヒルルクの言葉ね。
誰もがまめちゃん、パパ、ママのことを忘れても
オットも私もこれからもずっとずっと覚えてる。
だから、これからも安心してね。
そして、もう1つ安心してほしいのは
まめちゃんもパパもママも、天国へ旅立った時のままの年齢。
年は取らせてないよ。
まめちゃん。
まめちゃん。
まめちゃん。
生きてるときに何度も、いつも言えなかったね。
姉ちゃんは、まめちゃんのことが大好き。
姉ちゃんの妹がまめちゃんで良かった。
本当に良かったよ。
まめちゃん、姉ちゃんの妹に産まれてきてくれてありがとう!
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