「日本の戦後を知るための12人」(池上彰著)の読書感想(評価:★★☆)
◆購入のきっかけ
中田敦彦YouTube大学にて紹介され、興味があり購入。
◆本を読んだ気づき
時代を変えてきた変革者は、「戦い続けていること」が分かった。
戦い続けて成功を収めるうちに、注目される。
すると、その手法に異議を唱えるものが現れ、表舞台から姿を消すことになる。
大衆の心や時代の変化をつぶさにキャッチすることができれば、功罪者としてではなく、功労者として名を遺し、現代においても発展し続けることができたのだと思う。
私は、田中角栄・中内㓛の2人の話がとても印象に残ったので、略歴や自分の思ったことを書いていきたいと思う。
・田中角栄(政治家)
私はこの名前を聞いて、ロッキード事件を起こした悪者という印象しかなかった。
また、総理大臣であったことを知らなかったが、名前だけはテレビなどのメディアでよく取り上げられている。
田中角栄とは、後世にも名を残す凄い人物であった所以を知りたいと思った。
田中角栄は、新潟県刈羽郡という豪雪地帯の農家の次男として生まれる。長男は、亡くなってしまったため、実質的に角栄が長男。
高等小学校を卒業して、上京してから工事現場などで働きながら中央工学校に通い、19歳で建築事務所を設立。
私は、どうせ政治家系の人だろうと思っていたが、そうではなく農家の息子から成り上がりで、政界に進出し総理大臣まで上り詰めた。
まさに究極の努力家であることに読んでいて驚かされた。
田中角栄が最も成し遂げたかったものは「日本列島改造論」であった。
日本各地に中核となる都市を作って、それを高速鉄道網で結ぶことによって、均衡ある発展を遂げることができると考えた。
それは、北海道、東北、北陸、九州など、今になって実現されていることが多くあるので、田中角栄のイズムが後世にも受け継がれ、私たちに享受されているのだと思った。
・中内㓛(ダイエー創業者)
私はダイエーと聞いて、そういえば前はあったのに今はなくなってしまったなと思う。
幼少期はダイエーに行って、お菓子を買ってもらった記憶がある。
そのダイエーの創業者である中内㓛は戦時中に「お腹一杯すきやきを食べたい」という思いから、「安売り」の商売がしたいと考えた。
今のeverydaylowpriceの走りがダイエーだったのだ。
ダイエーは安売りを断行したため、既得権益業者からの反発をくらってしまったが、消費者から支持されたこともあり発展を遂げた。
しかし、駅前中心に出店していったダイエーは、郊外に大規模出店をするイオンに押されることになる。
また、国道沿いにユニクロやビックカメラ、ニトリが進出してくるとダイエーで購入する動機が薄れ経営破綻に陥ってしまった。
中内㓛は、カリスマ性のある創業者であったことから、部下が意見を言えない雰囲気や過去の成功体験にしがみついてしまったがために、世間の変化をうまく読み取ることができなかった。
しかし、こうして高品質な食料品を安く購入できるのは、中内㓛のおかげでもある。
◆まとめ
強く理想を掲げることはとても重要。
しかし、それによって周囲を圧倒させてしまったり、画一的な人物ばかりを揃えてしまうと、いずれ衰退してしまう。
時代の変化を読み取ったうえで、周囲の意見を聞ける人物が今後のリーダーに求められると思った。