百鬼夜行
今昔物語集
『今昔物語集』などの説話で、百鬼夜行について紹介されています。この百鬼夜行に会うと命を落とすと言われ、当時貴族を中心に恐れられていました。室町時代には、この百鬼夜行絵巻が作成され、その様子をうかがい知ることができます。見出しの画像は、百鬼夜行之図です。画像出所:岩瀬文庫 https://iwasebunko.jp/stock/collection/entry-198.html
ただ、説話と絵巻には大きな違いがあります。説話では、鬼や幽霊が行列を成しますが、絵巻では、古くなった鍋や傘とといった日用品が歳を経て「付喪神」と呼ばれる妖怪が夜行します。そのため、絵巻が説話にそって書かれたかどうかはわかりません。
尊勝陀羅尼(そんしょうだらに)
それでは、誤って百鬼夜行に遭遇してしまったら、どうすれば良いのでしょうか。効果があるとされているのが、尊勝陀羅尼です。元々、尊勝仏頂(そんしょうぶっちょう)は、如来の肉髻を神格化したもので、これに捧げられたのが、尊勝陀羅尼です。この陀羅尼は、滅罪、延命息災、煩悩消滅などの御利益があるそうです。とくに、鬼や妖怪から救ってくれます。『今昔物語集』では、大納言左大将の藤原常行が、百鬼夜行に遭遇したことが載せられています。彼は、間一髪のところで、衣の襟の裏に縫い付けてあった尊勝陀羅尼のおかげで、この難を逃れることができました。
画像は、京都東寺にある尊勝陀羅尼の碑です。亀が石碑を背負っていますが、これは亀ではなく、「贔屓」という竜の子です。この贔屓は、重いものを背負うことを好みますので、大切な陀羅尼を背負っているのでしょう。
大将軍商店街
百鬼夜行に関する説話で、京都の一条通りが出てきます。そのため、この一条通りにある大将軍商店街では、この通りを妖怪ストリートと命名し、妖怪に関するイベントを行なっています。