
こんな本読み終えました。(2025年上期)
最新
1/30
渡辺淳一『長崎ロシア遊女館』読み終えました。
医師である著者による幕末から明治にかける近代日本黎明期の医学秘話五篇を収録。
体験、知識以上に小説家として必要な想像力の欠如を克服しなければなりません。
1/29
星亮一『偽りの明治維新』読み終えました。
天皇を利用した薩長が官軍で尽忠報国の会津が賊軍となった日本史上稀に見る悲劇。
歴史は勝者の記録だからこそ、その裏に何があったか語り継ぐ必要性を感じました。
1/25
横光利一『上海』読み終えました。
金融界から風俗業まで轟く排日排英の足音、国際都市を新感覚派の手法で描く問題作。
共通の敵「全体主義」は幻影で、本質は「資本主義」対「共産主義」及び「人種差別」だと感じました。
1/25
板橋興宗『良寛さんと道元禅師~生きる極意』読み終えました。
托鉢の返礼として所感を配布した『道標』のちに『大乗』を中心とした解説書。
先に読んだ晩年の書籍と比較すると筆者も若く、血気盛んであるのを感じました。
1/23
板橋興宗『混沌に息づく~禅の極意』読み終えました。
天の巻~混沌に息づく、地の巻~「いのち脳」に目覚める、人の巻~天地の道理に感応する。
大本山總持寺貫主、曹洞宗管長を歴任した筆者による能登半島からの警鐘に恥じ入るばかりでした。
1/23
小和田哲男『戦国軍師の合戦術』読み終えました。
数千の寡兵を以て数万の大軍に挑むことを可能にした合戦術の謎を戦国史研究の第一人者が解き明かす。
困ったときの神頼みではなく、人事を尽くして天命を待つことが大切だと思いました。
1/21
三木卓『はるかな町』読み終えました。
過ぎ去った少年の日を詩人、作家である著者が磨かれた感性で豊かに綴る青春の日の賛歌。
時間、場所等を共有していない筈なのに、なぜか懐かしく感じるのが不思議でした。
1/21
青木玉『幸田文の箪笥の引き出し』読み終えました。
着物を愛した幸田文の美意識と日本人が共有していた生活感を愛用の着物の写真とともに伝える。
舗装された道路、空調管理された住居、失ったものは取り返せないことを最認識しました。
1/20
ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』読み終えました。
「俺を生み出したのはこの国の不満や」令和のダークヒーロー善か悪か決めるのはあなた。
正直者が報われる社会を取り戻す必要はあるが、目的と手段を間違えては本末転倒です。
1/20
スタンダール/大岡昇平訳『パルムの僧院(下)』読み終えました。
宮廷に生きる人々の情熱的な姿を鮮やかに描き、ルネサンス期イタリアを愛したスタンダールの名作。
常識は時代と共に変遷するので、階級社会特有の習慣を理解することは難しいと思いました。
1/18
スタンダール/大岡昇平訳『パルムの僧院(上)』読み終えました。
専制君主制度と政治的陰謀を克明に描き、痛烈な風刺的批判を加えるリアリズム文学の傑作。
現在の常識とは異なり、時代背景等を理解しなければ、堪能できないことを痛感しました。
1/16
長谷章久『江戸・東京歴史物語』読み終えました。
東京に現在も息づく、江戸三百年、市民が培い残した気風や生活の余情を描き出す東京案内に格好の書。
高度成長期の反動で低迷期になっても、無計画な大規模開発が続くことを憂慮しています。
1/14
松本清張『黒革の手帖(下)』読み終えました。
夜の世界に生きる女の野望と情念、政財官との癒着、闇の世界を描くサスペンス長編。
上り詰めた栄華から急激な没落、「図る図るは図られる」を凝縮した壮大な構図を堪能しました。
1/13
松本清張『黒革の手帖(上)』読み終えました。
横領金で銀座のママに転身した女性行員、夜の街に君臨する女たちの野望の行き付く果ては。
銀行員の横領、医師を取り巻く裏金に群がる政治家、昔も今も構図は変わりません。
1/11
黒岩重吾『影刀~壬申の乱ロマン』読み終えました。
歴史のうねりに翻弄されつつ、信じる道を貫いた武人、女人、無告の民の、清冽にして哀切なドラマ。
無味乾燥な歴史の教科書でなく、血沸き肉躍る古代小説にもっと早く出会いたかった。
1/10
野村旗守+高英起+夏原武+李策ほか『現代日本の闇を動かす「在日人脈」』読み終えました。
もうひとつの「国家」、日本の闇に浸透してきた権力とカネの裏のコネクションをえぐる禁忌を超えたルポ集。
不可解な部分が多く、既得権益者によって、分断と憎悪が維持されていると思います。
1/9
スウェン・ヘディン/岩村忍『さまよえる湖』読み終えました。
スウェーデンの探険家が、四十年の歳月を費やし、神秘的な遭遇を遂げる勘当の一大探検記。
文明の発達による不感症の弊害で、先駆者の偉業に対して、敬意を失っている自分を発見しました。
1/8
一ノ宮美成+グループ・21『同和と暴力団~公金をしゃぶり尽くした日本の闇人脈』読み終えました。
部落解放同盟と反社会勢力の接点をあぶり出し、闇社会膨張に切り込む裏面史ノンフィクション。
正直者が報われる社会を取り戻す鍵は、近現代史の学び直し、教育勅語の復活しかありません。
1/7
芝木好子『洲崎パラダイス』読み終えました。
無知で愚かだが、積極的に生き抜いていく洲崎の様々な女たちを、細やかな筆で描いた短編集。
戦後復興を達成した筈であるが、得るもののよりも失ったものの方が遙かに大きいように感じます。
1/5
岡潔『春風夏雨』読み終えました。
生命とは何か、自己とは何か、情緒とは何か、縦横無尽な思考の豊かさを堪能できる幻の名著。
世界的な天才数学者である著者の警鐘は、残念ながら省みられることなく、現在に至っています。
1/5
全訳注青木正次『雨月物語(下)』読み終えました。
江戸中期の国学者上田秋成による卓抜な怪異描写で人間の執念のすさまじさを描く傑作。
邪淫、愛欲、金銭を巡る執念、妄執、執着は避けられない業だと観念せざるを得ません。
1/2
全訳注青木正次『雨月物語(上)』読み終えました。
古今東西の怪異小説中、秀抜傑出、深い感銘を与える上田秋成の内的力動を伝える代表作品。
此岸と彼岸の境界こそ、人間の知性による産物であり、怪しさと恐ろしさが存在しています。