エリア・カザン『波止場』
イーストウッドの影響か、はたSNS上の畏友の刺激によるものか、愚生もボクシングなるものを一度は見てみたいような気になってきたのだ。
否、そう思ったのは決して最近ではなく、実は50年も前、暗闇の中で『波止場』を目にした故ではなかったか、と今更に思い至った。
マーロン ブランドがエヴァ マリー セイントに兄殺し加担の告白をし、それが強烈な汽笛の唸りで覆われる様を、遥かに見届けたカール マルデンが、よくぞやった、と興奮して頷く。
それこそ一生一代の魂の試合を見るような感動が、画面から溢れてきたのだ。
あれは、飯田橋佳作座の片隅だったか。