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ホテル雅叙園東京宿泊記


1. 概要

ホテル:ホテル雅叙園東京
宿泊日:2024年8月7日(水)より1泊
部屋:728 エグゼクティブスイート<ツイン>【80平米】
予約経路:一休.com
宿泊人数:4人

90年以上の伝統を受け継ぎ、2,500点もの日本画や美術工芸品に彩られた唯一無二のミュージアムホテル「ホテル雅叙園東京」。ホテル雅叙園東京の前身の目黒雅叙園のルーツは、創業者・細川力蔵が1928(昭和3)年、東京 芝浦にあった自宅を改築し開業した純日本式料亭の芝浦雅叙園。 創業当時は、日本料理に加えて北京料理メインとし、お客様に本物の味を提供することにとことんこだわった高級料亭でした。2017(平成29)年、目黒雅叙園からホテル雅叙園東京へリブランドいたしました。絵画や壁画の知識がなくても、ひと目で"すごい"と思わせる絢爛豪華な装飾美は、ホテル雅叙園東京のおもてなしの精神として今も生き続けています。和敬清心」をテーマとした茶室に見立てた全60室の客室は、全室80㎡以上の広さのスイートルーム。全客室にスチームサウナとジェットバスを完備し、シンプルさと日本の気品ある美しさを兼ね備え、目黒駅から徒歩3分とは思えない静寂に包まれた上質な空間で寛ぎのひとときをご堪能いただけます。ホテルオリジナルの「雅叙園アートツアー」など、館内のアートを楽しめる宿泊者限定アクティビティもご用意しています。ラグジュアリーな空間で、ゆったりと癒される至福の時間をお過ごしください。

公式HP:https://www.hotelgajoen-tokyo.com

2. 事前メール

予約は一休.comで行なった。予約の際、特段ホテル側からの質問などはなかったが、キャンセル不可のプランであったためか、宿泊5日前に宿泊部宿泊予約担当者より確認のメールが届いた(図1-5)。

図1 ホテル側からのメール(1往復目)
図2 ホテルへの返信(1往復目)
図3 ホテルからの返信(2往復目)
図3 ホテルからの返信(2往復目)(続き)
図4 ホテルへの返信(2往復目)
図5 ホテルからの返信(3往復目)

まず、予約プランの確認があったため変更ない旨を伝え、それと同時に東京駅近辺での夕食で推奨の飲食店があるか問い合わせた。2,000円程度の予算で気軽に入れる店と伝えたところ、立ち食い寿司を紹介されたことは興味深い。その他には予算を数千円超過する店が紹介され、ある程度様々なジャンル、予算を網羅する返答であった。加えて、飲食店が集まる商業施設のホームページを伝えられるなど、あくまでこちら側が主体的に店を決めることができるような返答であったと解釈できる。送られてきたリンクは多くが公式ページであったが、メニュー表に辿り着くまで時間がかかるリンクであることがあり、ホーム画面とメニュー画面の2つが伝えられると最適だったのではないかと考えられる。ホテル側のメール対応は終始同じスタッフが対応し、やり取りに一貫性があったことは評価が高い。また、文面もなるべく同じ文章にならないよう配慮していることが伝わり、自然なやり取りを行うことができた。

3. チェックイン

 当初のチェックイン予定時刻は16:30であったが、それまでのスケジュールの遅れから予定時刻での到着が難しかったため、15:50に電話より到着が17時〜18時に遅れる旨を伝えた。特にホテル側から伝えられることはなく、事務的に時刻を伝えるにとどまった。実際には17時過ぎにホテルに到着した。この時ホテルへは徒歩で向かっていたが、入り口にはポーターが待機しており、我々を見掛けるとすぐに荷物カートをこちらに運んでくると同時に名前を聞かれ、その後レセプションまで案内された。レセプションまでの移動中には雅叙園宿泊は初めてなのか、食事では利用はあるのかなどポーターから尋ねられたり、こちらからホテルの第一印象を伝えたりするなど、長い移動距離で沈黙が生まれないよう配慮があり、ホテルに関する話題で雑談をしながら8階のレセプションへ向かった。その際、バー利用について営業時間など質問もしたが、手元のメモを見つつ、本格的なものはないがアルコールが楽しめる場所はあることは伝えられた。レセプションでは待ち時間はなく椅子へ案内された。到着時にフルネームで名前を聞かれたため伝えていたが、レセプションでも改めてフルネームで名前を聞かれた上でチェックイン手続きが始まった。その際、フロントスタッフからおしぼりが提供されたが、おしぼりの袋は出されていない状態であり、袋は自分で開ける必要があった。チェックイン手続きでは宿泊者全員の名前を漢字で記入する必要があり、比較的時間を要したが、その後それらの名前が使われることはなかったため、緊急時を想定してのことと思われる。また、ターンダウンがあることを伝えられるが、サービスが行われる時間帯を伝えられるのみでこちらが部屋を出ている時間などは確認されなかった。一方で、夕食のため部屋を出る際もスタッフとの接触はなかったため、どのタイミングスタッフが部屋に向かったのかは不明である。チェックイン手続きが終了し椅子から立ち上がると、こちらが探すことなく到着の際のポーターが我々を誘導し、エレベーターに案内した。部屋に到着までの間、チェックアウト時のバゲージダウンについて尋ねると、必要の際にスタッフに声がけするよう伝えられた。部屋に入ると部屋紹介があり、電動カーテンやスチームサウナの使用方法、風呂の設備は古いため温度加減に注意が必要なこと、風呂場は大理石のため濡れた状態では滑り注意が必要なこと、エアコンの温度が現在のままで快適かどうか、うちわのプレゼントがあること、ミニバーの有料・無料の案内、ベッドサイドの照明の操作方法など一通り案内を受けた。最後に、4人の宿泊であるが1人到着が遅れているがどのようにしたら良いか尋ねると、エレベーターにはカードセンサーがないため、こちらが部屋番号を伝えて直接部屋に向かって良いという返答を得た。リノベーションをしたもののエレベーターのカードセンサーを取り付けることはなかったようであり、宿泊者以外の結婚式利用者や飲食で利用する人が多い雅叙園において、誰でも部屋の前まで行くことができるのはセキュリティ上好ましくない。到着直後から部屋案内までは同一のポーターが対応したが、中華圏の方と思しき人物で実習中と書かれたプレートをつけていたため、言葉に若干の辿々しさはあったものの、終始笑顔で対応され、こちらとのやり取りもマニュアルらしさのない自然な会話で堅苦しくない対応をされ、実習中という不慣れをむしろ長所に変えるような対応であった。

4. ベッド・リビングルーム

 部屋は最もベーシックな80平米のエグゼクティブスイートの部屋であったが、本来テーブルが置かれているスペースにエキストラベッドが2台設置されていた(図6)。

図6 エキストラベッド
図7 テーブル

それに伴って、本来テレビ前に置かれていたテーブルは窓近くのソファ前に置かれていた。メインベッドは図8に示すように設置され、図9に示すように各種のスイッチがあるが、通常のコンセントは両サイドにあるものの、USBのコンセントは片側にのみあった。また、Bluetoothスピーカーは置かれていないようであった。

図8 メインベッド
図9 ベッドサイド

5. 水回り

 水回りは図10、11に示すように非常に広く、他のホテルでは珍しいスチームサウナが備わっている。サウナはボタンを押すと30分程度で使用可能になるが、温度は45℃程度で十分なものであった。

図10 水回り その1
図11 水回り その2

バスマットは洗面台とシャワーブース・スチームサウナの前には予め設置されていた。バスタオルは浴槽付近に2つ、洗面台に2つ設置、棚に2つ、フェイスタオルは洗面台に4つ、棚に2つ、ハンドタオルは洗面台に4つ、リビングルームのトイレに4つ設置されていた。バスローブは洗面台に4つ設置されていた。バスマットは予め設置されていたり、ハンドタオルはハンカチのように四つ折りにされていたりすることから、利用する際の利便性を高めつつ、タオルを畳む時間を短縮する効果があるのではないかと考えられる。なお、タオルは今治製であった。タオルの枚数は十分な数があり、滞在中不足に感じることはなかったが、ボディタオルがなかったため入浴中は不便さを感じる場面があった。次に、図12に洗面台の一部を示す。

図12 洗面台

アメニティはレザー、ヘアバンド、歯ブラシ、櫛、綿棒、洗顔料・化粧水・乳液の入ったスキンケアセット、ボディミルク、マウスウォッシュであった。事前情報ではアメニティはオムニサンス・パリであるとされていたが、実際にはボディミルク、ハンドソープ、シャンプー、コンディショナー、ボディソープはNATURAL FAUNDATION であった。そのうち、シャンプー、コンディショナー、ボディソープは備え付けであったため、アメニティとして持ち帰ることができるのはボディミルクとハンドソープのみであった。コストや環境への配慮によりこのような提供スタイルになっていると思われる。レザー類は一つ一つがホテルのネーム入りの紙箱に入っており、評価できる。また、コップの近くにはミネラルウォーターが配置されており、口を濯ぐ際にも水道水を使わせない配慮が見られた。ドライヤーは復元ドライヤープロというものであったが、洗面台の上の置き台に直に乗せられており、袋に入れられている方が良いだろう。また、価格帯としては安くも高くもないというところであるが、アメニティの後ろに使い方を含めた広告のようなパネルがあり、ホテルの格を考えると似つかわしくない。

6. 備品・小物

 図13に示すように、テーブルにはアルコール除菌シート、日本語・英語のアンケート用紙、お知らせ、リモコンが置かれていた。

図13 テーブルの上 その1

コロナ禍が落ち着いた今でも除菌シートがあるのは通常使うものであり重宝するだろう。アンケートは2カ国語で置かれていたが、事前に住所や名前で明らかに日本人であることはわかっていたはずであり、英語の用紙は不要であることも容易に想像できただろう。リモコンは箱には入れられず置かれていただけであった。また、リビングルームと寝室に2つテレビがあったが、ある時からこのリモコンが寝室のテレビしか操作することができないようになり、使用方法にもそのことについては言及されておらず、チェックアウトまで解決方法は不明のままであった。

図14 テーブルの上 その2

また、テーブルには出迎えの鶴のような折り紙とうちわが置かれており、日本らしさを感じられる粋なサービスであった。うちわに関しては、もう1つ欲しいということになり、フロントに電話で尋ねたところ、快く応じてもらい、数分後にはスタッフが部屋まで届けに来た。一部ホテルではうちわまで有料のホテルもある中、良心的なサービスであった。

図15 テーブルの上 その3

さらに、図15に示すように、テーブルの上にはティーストレーナーを使う急須と内部に茶漉しが組み込まれている急須がそれぞれ1つずつと、ティーバッグに入った茶葉が入った茶筒があり、カップは4つあった。ティーバッグの茶葉であるにもかかわらずティーストレーナーがあるのは不可解であるが、必要になる場面があるのかもしれない。茶筒は中蓋があまりに硬く、開け方が間違っているのかと思うほどであったが程なくして開けることができた。料亭発祥の雅叙園らしい茶のサービスであった。

7. ミニバー

 図16に示すように、ミニバーは全面鏡になった空間であり、上部にはワイングラスとシャンパングラスが2つずつ、下部にはネスプレッソのコーヒーと紅茶のティーバッグ、江戸切子のグラスが置かれていた。

図16 ミニバー その1

紅茶はTEARTHであり、ホテルのアメニティとしては比較的標準的なブランドであった。コーヒーは2種類が2つずつと4人で利用するにはやや使いづらい個数であった。

図17 ミニバー その2

図17に示すように、残りの2人分のグラスは隣の棚に置かれており、グラスの口には蓋がされるなど十分な配慮があった。カップはNARUMI製であり、日本ブランドを使用していた。

図18 ミニバー その3

図18に示すように菓子類も日本のものにこだわられており、徹底したものを感じるところであった。

図19 ミニバー その4

冷蔵庫内は基本的な飲み物のほか、ここでは写っていない範囲にもジュースが置かれていた。ビールは東京クラフトがあり、ここにも東京のものを提供するという方針が感じられた。

8. ターンダウン

 ターンダウンは夕食で外出中に行われた。ただ、事前に外出時間を伝えていたわけでもなければ外出の際にスタッフに接触したわけでもないので、どのようにして部屋不在の確認をしたかは不明である。ここではターンダウン前後を比較する。

図20 ターンダウン前のベッド周り その1
図 21 ターンダウン前のベッド周り その2
図22 ターンダウン前のベッドサイド その1
図23 ターンダウン前のベッドサイド その2
図24 ターンダウン後のベッド周り その1
図25 ターンダウン後のベッド周り その2
図26 ターンダウン後のベッドサイド その1
図27 ターンダウン後のベッドサイド その2
図28 ターンダウン後のベッドサイド その3
図29 ターンダウン前の水周り その1
図30 ターンダウン前の水周り その2
図31 ターンダウン後の水周り

図20〜31の様子を踏まえて、確認した項目を列挙すると

・枕が横向きに置かれる
・パジャマがクローゼットからベッドに移動される
・スリッパが揃えられている
・ゴミ箱のゴミが取り除かれている
・ターンダウンチョコとメッセージが置かれている
・デイベッドのクッションが揃えられている
・カーテンが閉じられている
・照明が暗くなっている
・使用したタオルは取り替えられている
・使用したコップはおそらく取り替えられている
・移動したミネラルウォーター(=使用した)はその数だけ補充されている
・ベッドのしわはもう少し伸ばしておきたい
・ターンダウンマットは置かれず
・両隣のベッドの枕カバーの蓋のある方向が、お互いに向かい合うように置かれている
・パジャマは1台のベッドの上ではなく、ミネラルウォーターのある側にそれぞれ置かれている(全員男性での利用だったためか)
・カップの位置が動いているものは直されず(あえて触らない方針の可能性)
・冷蔵庫の中の置き方の乱れが直されず(冷蔵庫内は確認していない可能性)
・使用していないスリッパはクローゼットに置いたまま
・ゴミ箱に入れていないスリッパの袋はおそらく取り除かれている
・空気清浄機は灯りのついたまま(ベッドサイドから離れていたためか)
・浴槽の水は拭き取られず(バスタオル類を使用していないため風呂は使用していないと判断したためか)
・ミネラルウォーターに加えて、江戸切子のグラスが置かれている

60室という小規模の部屋数とはいえ、全ての部屋にターンダウンがあること、価格帯も1部屋6~10万円程度とそこまで高額ではないことを考慮するとその質は総じて高いものではないかと思われる。また、特筆すべきはミネラルウォーターのそばに置かれた江戸切子のグラスである。到着にそのグラスの存在は認知していたものの、使用機会があるかわからなかった中、このように枕元に置かれることでせっかくだから使ってみるという流れが生まれ、ただ水を飲ませるだけではなく滞在価値を向上することに貢献している。東京の特色ある文化をより感じさせるようなホスピタリティはよく考えられたものである。

9. 追加事項

・夕食からホテルに戻り、24時前後に館内を散策していたが、その間全くスタッフに会うことがなく、フロントも含め、広大な館内に部外者の侵入があっても気が付かないのではないかという様子であった。
・朝、一時的な外出の後部屋に行くためにエレベータに乗るため近づいたところ、傍にいたスタッフがすぐさま駆け寄り、ボタンを押してエレベーターに我々を誘導した。一方で、部屋の階数を聞いてそのボタンを押すことまではなかった。何度かエレベーターに乗ることがあったが、スタッフのこの動きがあったのはこの時だけであった。

10. チェックアウト

 チェックアウトの前には図31に示すように雅叙園スタッフによるアートツアーが行われた。車椅子の参加者に対する振る舞いも、段差に配慮するなど十分に気を使ったものであった。

図32 雅叙園アートツアーの様子

チェックインの際に言われた通り、バゲージダウンをスタッフに伝えるため電話をかけたが、ベルキャプテンに直通の電話はつながらず、フロントにかける事態となった。当時電話の付近に不在だった可能性がある。フロントに先の件を伝えると、受け取りに行く旨と同時にレセプションへチェックアウト手続きに行くよう言われたため、荷物の引き渡しは同行に任せ、チェックアウトに向かった。チェックアウトではチェックインと同様待つことなく椅子に座り手続きが始まったが、事務的なやり取りに終始した。その後チェックアウト完了を伝えられるも、特にスタッフは立ち上がることなく見送る様子もないため恐る恐るその場を去ることとなった。部屋に戻ると部屋の前でポーターが2人待機していたが、一向に部屋に入ろうとしないため、何事かと思ったが、ベッドサイドのDon’t disturb ボタンが押されていたようであった。荷物を引き渡し、フロントに到着すると、特にこちらの乗るタクシーを聞いてくる様子はなかったため、こちらからタクシーの車種とナンバーを伝えることになった。図33、34のように乗車するタクシーが到着すると、すぐにスタッフが後続のタクシーとの位置の調整を行い、スムーズに荷物が乗せられるよう動いていた。

図33 タクシーが到着した時の様子
図34 ポーターが荷物を運ぶ様子

最後は数名のスタッフに見送られ、ホテルを後にした。

11. 総括

 都内のホテルに宿泊するのは初めてであったため、どのような滞在になるのか期待していたが、フォーブストラベルガイドで4つ星を獲得しているだけあり、十分なホスピタリティをもって我々の滞在を演出してくれた。それも価格帯を考えればかなり高いレベルにあるのではないかと思われる。一方で、わずかに力足りない部分はもし改善することができれば5つ星に近づくこともできるかもしれない。

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