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威風堂々よ、私に勇気を
Pomp and Circumstance Marches
-by Edward William Elgar.
エドワード・エルガー。近代英国を代表する偉大な作曲家である。
英国一の作曲家と称えられ、最高の栄誉であるサーの称号まで与えられたエルガーだったが、1899年に出世作「エニグマ」によって、名声を得るまでは全くの無名だったという。この時、42歳。遅咲きの人であった。
彼の代表作といえばやはり「威風堂々」第一番だろう。
時の王太子アルバート・エドワードはいたく気に入り、戴冠式用の歌にこのフレーズを使わせたという。以後、「希望と栄光の国」として歌詞がつけられ、現代では第二国家的な歌として親しまれている。
未だに英国民から愛され続ける曲だ。
同時に日本でも最も有名なクラシックの一角である。
入学式、卒業式、年の瀬、旅行先。
人生の節目節目で流れるこの曲は、
何か新しい始まりを予感させる。
人生の転換点にはいつだって期待もあるが、
同じくらいの不安が付きまとう。
そんな時にどこからともなく流れてくる威風堂々は、
例え版権フリーのCD音源だろうと、
いつまでも腹の据わらない私の背中を、
心配するなよと、未来は明るいぞと、
力強く押してくれるようだった。
威風堂々よ、私に勇気を。
自分の中でこれほど重要な意味を持つ曲はなかなかない。
未知の世界に立ち向かっていくだけの勇気をくれる、
素晴らしい曲である。
しかし同時に、
き~てきて あたし~ンち~♪
きてきて あたしンち~♪
この歌詞が、
必ず頭の中を流れて、
全てがどうでもよくなるのである。
(652文字)