本当の異次元の少子化対策
先日、岸田首相が、「異次元の少子化対策」と称した政策を発表した。
中身の基本的な方向性は、
1)児童手当を中心とした経済的支援の強化
2)学童保育や病児保育、産後ケアなど全ての子育て家庭への支援拡充
3)育児休業の強化を含めた働き方改革の推進
とした。「これが異次元?」と首をひねる内容だが、この岸田首相に先んじて、小池都知事は
「所得制限なく、都内の18歳までの子どもに月5000円程度を給付」
する考えを表明した。
いずれにせよ、少子化対策にはなり得ないことは間違いない。これを「異次元」と言うことが恥ずかしくないのだろうか?
少子化対策の行き着く先は、「安心して子どもが産める」ようにすること以外ない。一説に、幼稚園から大学まで全て公立学校でも学費だけでも1000万円越え。すべて私立なら2500万円くらいかかるという資料もある。さらに被服費、食費、医療費などなど、お金はいくらでも出ていく。安心して産めるようになるためには、このかかるお金を何とかしなくてはならない。
日本のかなりの自治体で医療費無料になっていると思うが、ヨーロッパの一部にあるように、学校はすべて無償化するだけでも大きく親の心理は変わるだろう。小学校、中学校が公立ならお金はかからないように思えるが、そんなことはない。ランドセルや指定の靴、運動着、修学旅行、給食費などかなり細かくお金はかかる。細かいことを言えば、なぜ白い靴下で白い靴でなければならないのか、理解に苦しむ。家にある運動着、カバン、靴でなんの問題もないはずだ。白にすれば、それだけすぐに汚れて、また買わなければならない。意味のない校則やルールはなくすべきで、もしルールを作るなら支給すべきだろう。
さらに現在は、小学生でも塾に行くことが当たり前になってきており、学校も塾に行くことを大前提にしているかのような指導をしているように思える。学校の意味がかなり希薄になっている。学校で、何を教えるべきなのか?使えない英語、使えないプログラム、一生使わない微分積分・・・もっと大事にすべきことがあるはず。いらないことを教えるぐらいなら、授業を半日にして、塾に行っている子も含めて、子どもをもっと自由にしてあげてもいいのではないか?
少なくとも、大学までの学費完全無償化くらいやらないと、異次元とはとても言えない。日本はOECDの中でも、下から2番目と、教育機関への公的支出割合が低い(2022年)。しかも前年は最下位だった。子どもへの投資は、必ず将来日本に恩恵ももたらす、かなり確実な投資。日本が撃沈し続けているのも、この投資を怠ったツケだとは考えられないだろうか?