遠距離恋愛中の女の子
30を越えてから仕事が楽しい、と彼女はレモンサワーを飲みながら言った。
背がすらっと高くて、雑誌の「CLASSY.」に出てきそうな都会的な女性。ノースリーブのおかげで、ほっそりとした白い腕が見えて、ほくろがいちいちえろかった。あと、笑ったときにできる目尻のしわも可愛かった。
お互いに仕事の内容は違ったけど、仕事に対して情熱があるのは一緒だった。僕が仕事の話をしているとき、彼女は夢中になって聞いてくれたし、逆もそうだった。
遠距離恋愛している恋人がいる、と彼女は言った。
「そっか、それは残念だな」
僕は正直に言った。
「どうして?」
「んーこのあとお持ち帰りするつもりだったから(笑)」
すると彼女は「照れる…」と、お酒を飲んでごまかした。
彼女の気持ちがわかる。遠距離恋愛している彼氏がいるから、あからさまに誘いに乗ることはできない。でも、僕とこのあとふたりきりになること自体は嫌じゃない。
「彼氏のことは好き?」
「うん、尊敬してるし、仕事も応援してくれるし、好きですね」
「いいじゃん」
店を出て、彼女の手を繋ぐ。
照れを隠せずに笑ってしまう彼女。仕事のことを話していたときと違って、完全に女性の顔になっている。遠距離恋愛中の彼氏にはごめんだけど、今日、彼女さんいただきます。
僕も我ながらクズな男だと思ったのは、恋人のいる女の子だと思ったらそのぶん興奮してしまったこと……。部屋のベッドの上で長い時間、味わうようにディープキスをして、
「舌出して」
「ん」
彼女の舌を吸う。
押し倒し、両腕を上げさせる。僕は片手で彼女の両腕の自由を奪うと、もう片方の手で胸を揉んだ。首筋に舌を這わせ、そのまま脇を舐める。恥ずかしそうに腕を下げようとするのを、僕が男の力で制圧する。彼女が我慢できず声を漏らす。
「したい」
彼女の方から言い出したのを覚えてる。僕は彼女を起こし、後ろから抱きしめながら「しよ、いっぱい」と答える。ノースリーブの袖口から手を入れて、生で胸を揉んだ。こりこりと硬いものに触れると声が大きくなった。
そうしてお互い裸になり、僕は彼女の体に、太く硬くなった自分のあれを押しつける。そうして焦らすように割れ目に擦りつける。
「ぜんぜん彼氏と会ってないから久しぶり……」
「いまは俺に集中しよ」
「うん……あっ」
ゆっくりと中を押し広げるようにして奥まで到達すると、そこで彼女は一度小さく震えて果ててしまう。
僕は好きな体位を好きなだけ楽しんだら、彼女の脚を大きくひらき、何もかも見えてしまう恥ずかしい体勢にしてて、奥まで突いた。とろんとした目で僕を見上げながら、たまに快感に目を細める彼女。
彼氏がいるのに、目の前でこんなに股をひらいて奥を欲しがってる。……僕はもっと彼女を乱暴にしたくなって、最後は寝バックで奥をぐりぐりした。後ろ手に僕の太ももを押し返そうとしてきたがやめなかった。彼女はそれだけで何回もイッてしまった。
僕もいつもよりたくさん出た、ような気がした。
◯
その次に会ったときも、彼女は遠距離の恋人のことを好きでいて、大切な存在には変わりなくて、それでいて僕と寝た。
彼氏を大切にすることと別の男と寝ることは、彼女の中で矛盾しないのだと思った。
それに安心していた。
けれども数日前に会ったとき、
「もっと早く細貝くんと会いたかった」
と彼女に言われた。
家からLOOPの駐輪場まで送っているときには、
「会わなければよかったね」
と逆のことを言われた。
僕は付き合うつもりがないことは伝えながら、これからも会いたいと思っている。彼女があまりにしんどくなってしまうまでは、たぶん。それくらい彼女と体を合わせるのは罪深くてやめられない。
この関係がいつまで続くかはわからない。
でも、だからいいんだと思う。