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もしも女の子に生まれ変わったら

誰かひとりのために体を守り抜くなんてもったいない。『来世ではちゃんとします』に負けじといろんな男と関係を楽しむ。中身がぺらっぺらだけど超絶イケメンのサラリーマン。顔はそこそこだけどロン毛で雰囲気ありまくり女たらしバンドマン。カネコアヤノと古本が好きそうな丸眼鏡の草食系男子に見えて実は肉食系男子。Tinderで自分の筋肉自撮りしてる系……はさすがにやめておいて……でも、いろんな男と寝て、そこにあるいろんな気持ちよさの中に浸りながら女でいることを謳歌して生きていきたい。けど、所詮どの男も私が女ってだけで、少しくらい可愛いからって、ちょろすぎる。私は少しずつ遊びに飽きてくる。私は彼らみんなが好きであり、結局はその誰も好きではないのだった。「最近、冷たいよね」とバンドマンに言われた。「もう会うのやめにしたい」と私は返した。バンドマンは「やだ」と言って、シャワーも浴びていない私の服を乱暴に脱がせる。抵抗したら男の力で強く抱きしめられ「ほかの子ともう会わないから」と囁いてくる。そういうことじゃないんだよな、と私は思いながら彼の硬くなったものを受け入れてしまう。その夜、終電もないのにバンドマンの家を追い出され、怪しいなと思って近くで見張ってたら彼の家に知らんブスが入っていくのが見えた。ひとりで自分の家に向かって歩いていたら「大丈夫?」と声を掛けられる。私は泣いていたのだ。男に見覚えがあった。私がたぶん唯一ちゃんと好きになって自分から告白して振られてセックスもできなかった男だ。……と思ったら男は幻で、消えていなくなった。私は思い出す。その彼と付き合えなくて自暴自棄になって"初めて"もTinderの男に奪われていろんな男と遊ぶようになって今のみじめな自分がいるんだった。いろんな男とただ遊びたいわけないじゃん……どうして私は本当に好きな人とは付き合えないんだろう。どうしてどうでもいい男ばっか寄ってくるんだろう。付き合えなくてもいい。でも、せめて初めての相手は彼であってほしかった。

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細貝祐天
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