ブラック・文無し・ホームレスの三重苦に陥った件
こんにちは、バリバリ現役ブラック太郎の星野です。
皆さんに質問です。想像で答えてみてください。
現代の社会人が、金融ブラックになって、携帯も料金未納で解約されて、家も追い出されて、財布に1000円しかなかったら、果たしてどうなるのでしょうか?
答え。僕のようになります。
現代を生き抜くには、いくつか必須のライフラインがあります。
・移動手段
・通信
・収入
・住処
・信用
など。
僕はこれらのうち「収入」以外を全て失った状態で野に放たれました。
当時の僕に匹敵するアホタレはいないかもしれませんが、お金に困って無謀な賭けに出てしまう人は少なくないと思います。
「お金も実績もないけど仕事を辞めて起業しよう!」「ギャンブルで一発当てて借金を返そう!」などと企んでいる人は、万一アテが外れた場合に備えて、この記事の情報を頭に入れておいてください。
お金で失敗しまくった末、住む家すらもなくなったら、どうやって人生のスタートラインまで戻って来るか。そのヒントがここにあります。
「頭に入れる」ことが肝要です。ネット環境を失った後ではこの記事を読み返すことができません。
それでは、本題に入りましょう。
この時、僕は一応コンビニでバイトしていたので、ホームレス状態で職探しをする羽目にはならずに済みました。
また、放り出された時期はまだギリギリ秋だったので、暑さや寒さで死ぬ心配はせずに済みました。
もしもあなたが、仕事もなく、真冬などの過酷な時期にホームレスになった場合は、とりあえず音と光のある方角に向かって歩いてください。
そこに大なり小なり町があるはずなので、交番か役場を探して、当面の居住施設を提供してくれるよう相談してください。
僕の場合は、「とりあえずバイトに通うことさえできれば及第点だろう」ということで、水道水とトイレのある公園を探し、バッグと少ない衣類に包まってベンチで寝たりしました。
寝床探しは意外と難しく、屋根のある場所は99%関係者以外立ち入り禁止か、少なくとも寝るの禁止で、公園も先客がいる時は使えません。
僕のミッションは、ひとまず給料日まで生き延びることです。
軍資金が1000円しかないとなると、生きるための資源を手に入れる方法も限られてきます。
それでも、この状況で体調を崩したら一巻の終わりなので、安価な中でエネルギーを得るために、うまい棒を主食とし、たんぱく質を摂取するために、おやつカルパスを主菜としました。
お米はやや高価ですが、極めて優れた食品です。心身ともに効率よくエネルギーを与えてくれる上、偏食による不調のリスクが低いというか、「それだけを食べ続けたことで具合が悪くなる」までの猶予期間が長いです。
例えば、インスタントラーメン「だけ」を食べて暮らそうとすると、3日目には気持ち悪くなってフラフラになりますが、白米は3週間近くいけたことがあります(その気になればもっと耐えられるでしょう)。
だから、少なくとも2日に1回は60円ぐらいのおにぎりを摂るようにはしていました。
言うまでもなく、これは極貧状態で生きるための苦肉の策です。節約やダイエット目的でこんな食生活をしても絶対にいいことはありません。
困窮度合いがここまで来ていると、道端に落ちているゴミすらも貴重な資源です。
誰かがうっかり落としてグチャグチャになった弁当やパンは、さすがに交番に届けても迷惑なだけでしょう。したがって、食べます。何ならご馳走です。
比較的綺麗なペットボトルを手に入れれば、公園で拝借した水を持ち運ぶことができるようになり、行動範囲と活動時間をある程度拡張できます。
段ボール片は野宿する時に暖を取ったり、枕として利用できます。
ただし、充分に衛生的なものは基本的に道端では手に入りません。土やホコリをかぶっている程度ならなんとかなりますが、雨に濡れてカビが生えて虫が湧いていることが多いです。
段ボールはスーパーの裏手などで「ご自由にお持ちください」と無償で提供されているのを見つけられれば幸運です。
とはいえ、大抵は大きすぎてバッグに入りません。
その辺でガラス片でも拾ってきて適当にカットする手もありますが、上手く切れない上に、手を怪我するリスクもあります。
なので、軍資金が底を尽きる前に、100均のカミソリを買っておくことをお勧めします。
段ボールを切るのに使えるだけでなく、僕のように接客業をやりながらホームレスになった人は、髭を剃らなければなりません。色々試しはしましたが、「毛を剃る道具」以外で髭を剃る方法は存在しませんでした。代替品でやろうとすると、根元が残るか皮膚が残らないかします。
紐のようなものを手に入れることができれば、バッグに入り切らない手荷物を体に括り付けて運ぶことが可能になります。家がないので、所有するモノは全て持ち歩かなくてはならないのです。
シャワーはどこにもありません。頭を洗うだけなら公園の水でなんとかなりますが、全身を洗うのは不可能です。街頭でもらったティッシュを濡らして要所要所だけ拭くか、替えの衣類で拭くしかありません。
衣類そのものを洗うのはもっと難しいです。靴下程度なら水洗いしてバッグにでも引っ掛けておけばなんとかなりますが、上着を洗うのに必要な水量とスペースは、公園ごときでは全然確保できません。やるなら川が必要です。また、人に迷惑をかけずに干す場所というのも意外と町中にはありません。
よって、衣類は可能な限り汚さないように着ることが必要になります。
コツは余計な汗をかかないことです。体力を温存する観点からも、激しい運動は避けるべきなのです。
コンビニや飲食店の廃棄を盗むことは法的にも倫理的にも許されません。人生再建の基盤は人格です。人並みの人生を手に入れたければ、人並み以下の人格でいてはいけません。どんなにボロボロでも誇り高く生き延びましょう。
と、ここまで「町」にいることを前提としたサバイバル術を語ってきましたが、どうせ町にいるのなら、役場に行けば、自治体によっては寄付で集められた保存食を分けてもらえる場合があります。
何にせよ生き死にが懸かるほど困窮した時は役場に相談です。
また、自治体が充分に機能していれば、食料のみならず、家と生活費を支給してもらえる、いわゆる生活保護を受けられるでしょう。
生き延びるための活動と並行して、僕はバイト先の店長に状況を洗いざらい話しました。
お金が全くないことも、彼女に家を追い出されて行くアテがないことも。
すると、「かわいそうだから、勤務中に限り、事務所の中でなら店の廃棄を食べてもいいよ」と言ってもらえました。
「でもバックヤードのジュース勝手に飲むのやめて。しかも開けたジュース置きっぱなしで退勤してるよ君。あと事務所の小銭盗むのやめて。あとレジでおでん食べてる奴がいるってクレーム来るんだけど。それと接客態度悪いって本社からめっちゃ突っ込まれてる」
ひぃぃ、おでん以外は僕じゃないんです。信じてください。廃棄になったおでんをカウンターの陰で食べたのは僕です。まさか見られているとは思わなかったんです。時短のつもりだったんです。それ以外は多分違う人の仕業なんです!
でも接客態度は本当に悪かったかもしれません。憂鬱な気持ちが顔に出てしまいました。
中身がどれだけ日陰者でも、人前にいる限り、人は意外とこちらを見ている。見ているし、顔に出さずとも内心しっかり評価や批判をしたり、良かれ悪しかれ感情を抱いているんだと、その時になって初めて気づきました。
それまで、僕はどこか、「人生の節目だけ頑張ればいい」と思っているフシがありました。
しかし、人生は毎日が本番でした。
僕たちは毎日試されていて、毎日問われている。どう生きるのか、何を行うのか、どんな言葉を話すのか、何を考えるのか。
僕は毎日を無責任に、無計画に、自己中心的に生きていました。その積み重ねが今の自分を作っているんだと、人生が僕を裏切ったのではなく、僕が人生を裏切っていたんだと痛感しました。
それ以来、僕の頭の中のルールブックには「裏切り行為禁止」という項目が堅く刻まれたのでした。
お金もスキルも努力の歴史も何にもなく、おまけに性格も悪いときたら、ピンチの時に助けもらう方法は、「人を騙す」ことしかありません。
ありもしない未来を期待させたり、守れもしない約束をしたり、良い人間のフリをしたり、自分をかわいそうに見せようとしたり、その場しのぎの嘘をついたり……
僕は、そういうことを二度としないと誓いました。
恩を仇で返す人間として生きるより、例え死ぬことになっても「自業自得」を貫くほうがずっと望ましいと思うようになりました。
こうして、どうにかこうにか給料日を迎えた星野太郎は、生活を立て直す第一歩として、まず真っ先にリサイクルショップに行きました。
そこで、中古で8000円の「とりあえず走る」以外何もないシンプルな自転車を買いました。
最低限レベルであっても、移動手段があるのとないのとでは雲泥の差です。
何をするにもそれをする場所への移動は避けて通れません。
自転車を手に入れたことによって、行動範囲は飛躍的に広がりました。
それを使って、今度は徒歩圏内にはなかったネットカフェに行きました。
ネットカフェは最強です。屋根と個室があり、ネット環境もあり、シャワーもあり、食べ物もあります。
中には住民票の住所として正式に登録することを許可しているお店もあります。要するに「住める」んです。
展開によっては僕自身もネカフェ難民になる覚悟はありました。ホームレスより100倍マシです。
しかし、ネカフェに来た本当の目的は、情報集めでした。
自転車で行ける範囲で、寄る価値のある施設を片っ端からピックアップし、住所と電話番号をメモしました。
何より最優先で欲しいのは電話です。というのも、家を契約するには電話番号が必須だからです。
前の携帯は料金未納で解約されているため、僕はブラックリストに載っていて、ほとんどの携帯が使えません。
そこで、レンタルスマホに目をつけました。
ネットで検索してみると、僕のように携帯ブラックの人も利用できるレンタルスマホのお店があったので、僕はそこへ行ってスマホを手に入れました。
元の連絡先はおのずから全滅しているので、過去に出会った人々のことは忘れるしかありません。
ひとまず職場や市役所など、今後使うであろう番号だけ登録しました。
次に確保したいのは家です。やはり家がないと始まりません。
手元にあるお金はたかが知れていますし、住所不定で低収入で金融も携帯もブラックの事故物件太郎なので、普通の賃貸に入居できることは期待していませんでした。
そこで太郎が目をつけたのは、シェアハウスでした。
シェアハウスなら、家賃の割に住環境がよく、家具が揃っていたりとメリットが多く、何より初期費用がほとんどかかりません。入居審査も賃貸よりはだいぶ簡易です。
知らない人と一緒に暮らさなければならないデメリットを許容できるなら、シェアハウスは人生再建の第一歩にはうってつけでしょう。
そして、太郎は職場のコンビニから自転車で1時間という場所にあるシェアハウスに出会い、ついに住居を手に入れたのでした。
改心したとはいえ、星野太郎は脳みそがウンコでできているので、通勤中の自転車で事故って膝をブチ割って雨の中を松葉杖で帰ってきたり、オーナーさんが西川で買った30万円の高級布団をうっかりストーブで燃やしてしまったり、裁判所から借金の支払い命令が届いたりと、トラブルメーカーではありました。
もちろんその都度精一杯謝って、弁済費用も必死で払い、指摘された問題点はしっかり直すよう努めました。
自分が「助けてもらいっぱなし」「迷惑かけっぱなし」でいることを、もう二度と容認したくなかったのです。
それでも、僕はそのうち、ここにいることが申し訳なくなって、改めて賃貸を探すことにしました。
今度こそは腰を落ち着けて探せるので、入居審査に怯える必要もなく、無事に職場近くの家を借りることができました。
久々に自分の家が手に入って、ものすごくほっとしました。
シェアハウスのオーナーさんは本当に最後までよくしてくれて、出て行く時には「星野さんとは長く付き合っていきたかったので……ちょっと寂しいです」と言ってくれました。
単なる社交辞令かもしれませんが、今までの僕にはお世辞でもそんなことを言う人はいなかったので、ちょっとだけ救われました。
それから、僕はシフトを極限まで増やして、「お金がないこと」によって起きている問題を1つ1つ潰していくことにしました。
まずは月額料金が割高なレンタルスマホを脱却するべく、以前契約していた携帯会社のショップに行って滞納歴を調べてもらい、残債を支払いました。
しかし、新しい携帯はそこで探さず、格安SIMの楽天モバイルにしました。
ついでに、楽天のキャンペーンを使えるだけ使おうと思い、ダメ元で楽天カードに申し込んでみたのですが、ブラックなので審査が通らず、代わりにデビットカードを作りました。
デビットカードは銀行口座の残高分だけ使える仕組みのため、クレカと同じ使用感でありながら、なんとブラックでも所有できるのです。
デビットカードを作ったことによって、代引や口座振込に対応していないネットショップでも買い物ができるようになり、革新的なほど生活が便利になりました。
生活に必要なモノを何も持っていなかったので、通販で調達できたことは膨大な時間の節約となりました。
その後、僕は司法書士事務所へ行って、債務整理をしました。
債務整理を行うことで、督促の電話や手紙が来なくなり、焦燥感から解放されます。
また、積もりに積もった利息分の残債を免除してもらい、元金の返済だけで許してもらうことができました。
実際にはケースバイケースだと思いますが、僕の場合はそうなりました。
これで星野太郎の借金地獄は決着がついたかに見えたかもしれませんが、星野太郎はウンコです。
この後、僕はコンビニで働きながらあれやこれやと色々な事業をやってみて、最大で月収60万円を稼ぐことに成功。
しかし、馬鹿なのでこれが一瞬の打ち上げ花火だったことに気がつかず、「今度こそ長年の苦労が報われる時が来たーー!!」と、油断してバイトを辞めて都心のほうに引っ越してしまい、事業売上も瞬く間に20万を切ってしまいました。
馬鹿は死んでも治らないというのは本当ですね。
それでもバイト生活に戻るのが嫌で、在宅で働けるフリーランスに転向。
そこでも一時は10万、20万と順調に売上を増やしていったものの、これがまた偶然流行りの波に乗れていただけで、実力によるものではないことに気づかず、調子に乗って一社のクライアントと「売上を山分けする」という無理な契約を交わしてしまい、最後は自分の手取りが生活保護以下になるという散々な結果に。
そうこうする間にすっかり意気消沈した僕は、まだ返し終わっていない借金の返済を止めてしまいました。
「俺は何にも変わっちゃいなかった……通った道にクソを撒き散らして、恩人を裏切ってばかりの、責任感の欠片もない、どうしようもないクズな俺は、やっぱりクズなままだった……」
この時、星野太郎は重大なミスを犯していました。
そう。最後にブラックリストに名前が載ったのは債務整理をした時であり、毎月少しずつでも欠かさず返済を続けている間、ブラックリストの保存期間である「5年」という時は刻々と消化されていました。
つまり、とりあえずバイトでもして返済だけでも続けていれば、あともう少しで金融ブラックから解放されていたのです。
それなのに、星野太郎ときたらどこまでいってもアホなので、「借金を完済してから5年のカウントダウンが始まるんだ」などと、根本的にルールを勘違いしていたのです。ずっと。
なんとこの男、単なる勘違いで勝手に絶望して勝手に返済を止め、5年のカウントダウンをリセットしてしまっていたのです!
馬鹿野郎ーーー!!
気づけ!この時の俺!おい、聞け!こっちを向け!何を泣いてるんだ!
お前は今そんなことをやってる場合じゃないんだよ!早くローン会社に電話しろ!このままじゃ取り返しがつかないことになるんだ!お前はあともうちょっとなんだよーー!!
聞けよ!気づけよこの役立たず!
お前はいつもこうだ!
大事なところでいつも駄目じゃないか!
うえーーーーん!
えーんえーん!
もったいなさすぎてアルミンになってしまいそうでしたが、こうなってしまった以上はここからやり直すしかありません。
さて、ブラック生活があまりにも長すぎて、自分がブラック太郎であることすらも半分忘れかけていた星野太郎でしたが、言い換えれば、「ブラックに載っても、一定の範囲内であれば普通に生きていける」ということでもあります。
生まれついての超ド級アホタレ野郎、星野太郎が金融ブラックの真の恐ろしさを知るのは、もう少し後のことでした。
それについてはまた次の記事でお話しすることにします。
今回は「生存」状態から「生活」を取り戻すまでの道筋について話しました。
誰も参考にする必要がないことを願います。
言い忘れましたが、ホームレスになっても、一生返し切れない借金を抱えたとしても、まず第一に考えるべきは「生き残る」ことです。
お金は大事ですが、お金と結婚する訳ではありません。
「お金がないから死ぬ」というのは、「トイレットペーパーがないから死ぬ」というようなものです。不便ですが死ぬような話ではないんです。
このアカウントでは、お金の基本ルールをわかっていなかったがために金融ブラックに載ってしまった星野太郎が、人生を立て直す方法を研究、実践していく様子を語っています。
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