借金まみれで金融ブラックに載ってマルチにハマったら大変なことになった
こんにちは、バリバリ現役ブラック太郎の星野です。
前回の記事では、僕が「ただひたすらアホだった」というだけのしょうもない理由で金融ブラックになった事例を基に、ギリギリの状況下でブラックリスト入りを回避する方法を解説しました。
今回はもう一歩踏み込んで、「金融ブラックに載ってしまったその後、星野太郎はどこまで落ちぶれたか」という話をします。
(ブラックそのもので困ったというより自分の行動で自分の首を絞めまくってる話ですが)
この記事は、「お金のアテはないけど、仕事辞めちゃおうかなぁ」と自暴自棄になりかけている人や、「仕事辞めて新しいビジネスで一発当てよう!」と企んでいる人に読んでほしいと思います。
僕は「ビジネス初心者が労働を拒絶しながら金持ちになろうとするとこうなる」という典型的な見本です。
なお、前回の記事を読んでいただいた方はご存知かと思いますが、僕自身の半生はあまりにも支離滅裂でぐちゃぐちゃです。
例えばこんな調子です。
無限にあったはずの100万円が、なぜか100万使っただけで消えた!
↓
3ヶ月滞納だったはずの家賃が、なぜか1ヶ月遊んでただけで4ヶ月滞納に化けた!
↓
そうだ、それなら今から世界一の俳優になろう!(?)
↓
だから学生ローンで声優学校に入る!(?)
↓
半年後、やっぱりマルチを始める(?)
↓
マルチで稼げなかったから諦めてマルチの会社に住む(???)
意味わからないですよね。何回読んでも理解できない。誤字脱字とかではないです。自分でも書いてて頭パニックになってます。
それでも実話なんです。これが僕という男なんです。脳みその代わりにうんこが詰まってると思います。
という訳で、本当の時系列通りに書くと文章自体がだいぶ意味不明になってしまうので、今回はある程度起承転結が成り立つように年表を編集した状態でお話を書き進めていきます。
さて、前回のラストにおける僕の状況を簡単に振り返ります。
・月収 約5万円
・職業 労働マルチの営業 13時間勤務×週6
・借金 学生ローン40万
消費者金融A社10万
消費者金融B社10万
計60万 全部3ヶ月ぐらい滞納
・所持金 約8000円
・所持品 料金未納で解約されたガラケー、iPadのバッタモンみたいなタブレット、3日分ぐらいの服
見ての通り始めから終わっていますが、人生にエンドロールはありません。僕はこの状況で生きていました。
マルチの会社に住み着いていたので家賃や光熱費はかからないのですが、いくら頑張っても売上は一向に上がらず、むしろ日に日に下がっていました。
周りを見ても、社員が1人、また1人と減っていきます。
僕は段々、「このままじゃ一生ここから出られないんじゃないか?」と思うと同時に、「そのうち会社自体潰れるんじゃないか?」とも思い始めました。
それでも、「絶対にここで成功するんだ!これが最後の挑戦だ!」というショボい覚悟が、自分を沈み行く船に縛り付けていました。
その執念が本物ならちゃんと働きながら何かやってくれ……
この頃になると、星野太郎は元々訳がわからない生命体なのに、自分でも何が何だかわからなくなってきました。
自分が誰で、今どこにいて、自分の口が何を喋っていて、今が何月何日の何時なのかもわからないんです。
うっすらとお客さんにめっちゃ怒られてた記憶があるので、多分何か常識的に考えてヤバいことをやりまくってたんだと思います。
無理やり私有地に入ったとか、しつこくモノを売りつけようとしたとか、その辺は恐らく序の口で、末期の頃になると、もう建物や人間自体の識別ができなくなっていた気がするので、もし当時の目撃者にインタビューしたら、「病院の前で介助を受けていた患者さんに押し売りしようとした」とか「小学校に侵入して授業中の教室を勝手に開けてプレゼンをおっぱじめた」なんて証言が飛び出してくるかもしれません。
さすがにそこまでやってないと信じたい。でもこいつならやり兼ねない。
もう、もうやめてくれ!止まってくれ過去の俺よ!そこで死んでくれ!
そのうち僕は、なんだか思考と行動が乖離し始めました。
頭でやろうと思っていることと違うことを体が勝手にやるようになったのです。いつからか記憶も飛び飛びです。
「何しに来たの?」
突然聞こえた声に、はっと我に返ると、僕は社長と目が合っていました。
その前に自分が何をしていたかわからないのですが、場所は会社のオフィスで、時刻は朝の9時を少し回っていました。
仕事の集合時間は7時です。
僕は少し考えて、寝坊したらしいと気づき、「仕事しに来ました」と答えました。
何を言われても言葉が入ってこなくて、その時社長が何を言ったのかよくわからなかったのですが、「帰りなさい」的な趣旨のことを言っているように聞こえました。
僕は何か「すみません」的なことを言って、布団を敷いたバックヤードに戻りました。
それから少しの間、「どうしたらいいんだろう」と考え事をしていたと思います。
気がつくと、僕は荷物をまとめ、会社を出て行く準備をしていました。
頭では「どんなに追い詰められようと、成功するまでここで挑戦し続ける!明日からも!何年でも!」などと性懲りもなく思っているんですが、体は着々と退職するほうに動いており、社長にも「辞めます」という話をしていました。
僕がここを立ち去る段になって、社長や先輩からは「自殺しちゃうんじゃないか」とかなり心配され、行くアテだとか、今後の考えについて色々聞かれました。
自分でも出て行ってどうするつもりなのか見当もつきません。
何はともあれ、僕はバッグ1つだけを背負って、ようやくマルチの会社を後にしたのでした。
そこから近くの駅に着いて、持っていたタブレットを開いてみると、ここ3日間くらい、自分が会社のWi-Fiを利用して連絡先に入っている人に片っ端からメールを送っていたことに気づきました。
「急なんだけど、1週間ぐらい泊めてくれない?」「やあ、久しぶり。悪いんだけど、ちょっとお金貸してくれない?」「色々あって困ってるんだ。助けてほしい」
ほとんど全員に無視されており、僕はみんなから既に縁を切られていることを悟りました(それが正しい対応だと思います)。
ただ1人だけ、古いゲーム仲間から「◯◯駅に来てくれたら迎えに行く」との返信が残っていました。
それは思いっきり県外の、数百km離れた場所でした。僕はどうやらそこに行くために荷物をまとめていて、その後記憶が飛んだようです。
今これを書きながら調べ直したところ、その道のりは、どう電車を乗り継いでも片道12,000円はかかるものでした。
しかし、この時の所持金は多くてもせいぜい8,000円程度のはずです。あの時の僕がそれ以上貯められたとは思えません。
ではどうやって待ち合わせ場所にたどり着いたのかというと、タブレットをハードオフかどこかで売ったんだと思います。
会社を出た時には持っていて、友人宅に着いた時には持っていなかったので、タブレットを売ったお金で電車に乗ったとしか考えられません。
ちなみに、助けてもらっておいて何ですが、その友人宅は思いっきりゴミ屋敷でした。
「態勢が整うまでここで暮らしていいけど、代わりに掃除してほしい」という考えがあったようです。
さあ、かくして生活を立て直す機会を恵んでもらい、事なきを得たかに見えた星野太郎でしたが、彼は馬鹿なので全く反省していませんでした。
いい歳こいてまともに働いた試しもない星野太郎は、近所のコンビニでアルバイトを始めます。
しかし、こいつの働きぶりでは、借金を返すどころか自立するための引っ越し資金も稼げない有り様でした。
そう、この男、この期に及んでまだ稼ぎより自分の楽さを優先していたのです。本当に救いようがないバカタレですね。
意識障害と記憶障害はそのうち治りましたが、馬鹿はこんなもんじゃ治りません。
その後、星野太郎はマルチの会社であれだけ散々な目に遭ったのに、またもや「ビジネスで一発当てるんだ!」などとほざき出し、入会費30万円の起業塾に分割払いで突入。
そんな金があるなら借金を返せ借金を。
挙げ句の果てには助けてくれた友人に「お前は人として最低だ!バーカバーカ!」とか何とか悪態をつきながら家を出ていき、例の起業塾で知り合った女性と何の脈絡もなく付き合い出し、その女性宅に転がり込むという宇宙人レベルに意味のわからない行動に出ました。
ヤドカリ?フンコロガシ?
もはやそういう妖怪です。
我ながら当時の自分に怒りや呆れを通り越して興味がなくなってきました。
恐らく当時出会った人たちみんなから同じように思われていたことでしょう。嫌われるのは当然です。殺されなかっただけ慈悲深いと思います。
さて、大枚をはたいて起業塾に参加した星野太郎でしたが、お金を払って満足したのか、彼は相変わらずコンビニでバイトしてるか寝てるかゲームやってるかで、変わる兆しが全くありません。
家に住まわせてくれている彼女から苦言を呈されると、「うるせえ、今やってんだよ!」と逆ギレするばかり。
もはや自分でもどうするつもりだったのかさっぱりわかりません。
すると、ある日講師の方々からこんな連絡が来ました。
「彼女さんから話は伺いました。あなたのやっていることは常軌を逸しています。星野さんは我々にとって顧客ですが、あなたの素行はもはや起業云々どころではないため、サービスの継続は不可能と判断しました。というより、そもそもあなたは高額塾に入っている場合ではありません」
もう、もう、あもりにも正論すぎて、ただただ正論でしかない……
僕は慌てて電話して、「ひぃぃ、すみません!違うんです!色々ありましたが彼女とは上手く行ってるんです!借金もビジネスで成功して返す予定なんです!」とわめき散らしました。
すると先生は冷静に「はあ、成功って?星野さんは何をしたら成功だと思ってるんですか?」と尋ねました。
僕は言葉に詰まり、「う、うぅ……その……なんか……お金……とか……」みたいな何か人語のように聞こえる変な鳴き声を発したような気がします。
それから30分ぐらいに渡って真剣に説教された後、最後にこう言われました。
「彼女さんに迷惑かけるのはもうやめましょう。あなたがやっているのは同棲ではなく単なる寄生です。出て行きなさい。これでも手に負えないようなら警察沙汰です」
先生の口調から、彼は僕に対して反省を促しているのではないとすぐにわかりました。
それどころか、警告でも脅しでもなく、最後通告ですらありません。
「決定事項を伝えている」に過ぎないのです。
だから、僕は確認するまでもなく、彼女自身が「どうにかして太郎を追い出してほしい」と頼んだのだと、そして、この場は念入りな打ち合わせの末に設けられているのだと察しました。
ここでジタバタしよものなら即刻警察に突き出されるに違いありません。
僕は鼻っ面をブチのめされたような気分で、とうとう観念しました。
「は、は、はい……でも、引っ越し先を探すのに、できれば1ヶ月……いえ、1週間で必ず……」
僕がそこまで言うと、先生が1オクターブぐらい低いテンションで口を挟みました。
「いや、今出てけよ」
「え……?で、でも、バイトにも通えなくなってしまうので……」
「自業自得だろ。自分でなんとかしろよ」
その言葉に僕が絶句していると、先生は続けました。
「この際言わせてもらけど、どうせこの後彼女に口先だけ謝って見逃してもらおうと思ってたろ」
いや、さすがにそこまでは……まぁちょっと思ってました、はい。図星です。
「お前は猶予を与えてはいけない人間だ。『いつか変わる』『先生が変えてくれる』『誰かがなんとかしてくれる』いつまでもそんなふうに考えてるからここまで堕ちたんだ。『いつか』じゃ駄目なんだよ。いつかやるって思ってるうちは一生行動しねえから。『明日頑張る』じゃねえんだよ。今変わらきゃいけないんだよ」
時刻は23時過ぎ。今出て行っても、お店も電車もやってません。
しかし、僕はそこで理解しました。
「今変わる」ってのは、そういうことなんだと。
誰にも頼れない、何にも使えない、お金も武器も何にもない。
風もない。光すらもない。
動き出すチャンスとは程遠い。
それでも、体一つで動き出す。
「車がないから」と立ち止まって誰かが乗せてくれるのを待つんじゃなく、無謀だとしても歩き出す。
それが「変わる」ということなんだと。
僕は、長年かけて自分が撒き散らしてきたウンコの山に遭難している状態です。
今や泣こうがわめこうがふてくされようが誰も気にも留めません。
この事態、どう対処するのが正解なのか、誰も教えてはくれません。誰も知りません。自分の中にさえ答えはありません。
一発逆転はない。
魔法もない。
運命も、物語も、終わりさえもない。
本当は初めから、何もなかった。
僕はどこか、ドン底人生の果てに、壮大な逆転劇が待ち受けていると信じていたフシがありました。
しかし、「現実」という本物の世界からしてみれば、僕が成功しようが、借金まみれでホームレスになろうが、チンチンをこすりすぎて勢いで死のうが何だろうが、ハナっからクソほどの意味もない、どーーーーでもいいことだったのです。
要するに、神はいない。
人生のシナリオを書いている奴はいない。
いるとしたら自分自身だった。
全て自分が勝手にやってきたことだった。
自分が選んで、自分が決めて、自分が好き好んで掴み取ってきた現実だった。
そう気づいた瞬間、僕はなぜか、何かから解放されたような気分になりました。
「成功しないといけない」
「カッコよくなきゃいけない」
「苦労の末に、ご褒美として楽にならなきゃいけない。そんな物語を生きなきゃいけない」
「自由を勝ち取らなきゃいけない」
僕をあらぬ方向へと突き動かしてきた、そういったあらゆる価値観は、「ただの思い込みだった」と気がつきました。
そして先生は、「少し言い過ぎた」と思ったのか、どこか気まずそうに「……頑張れよ。とにかく行動を変えろ。じゃなきゃこの時間本当に無駄だから」と言い添えました。
僕は「正直、頑張るかどうかは今は約束できません。でも、少し楽になりました」と応えました。
その後電話を切ると、僕は家の合鍵と、彼女に契約してもらっていた携帯など、借り物を1つ残らず返し、自分の財布とバッグだけを身に着けて玄関に向かいました。
すると、僕を追い出したかったはずの彼女が、まさか本当に出て行くとは思ってなかったという顔で追いかけてきて、「ごめん……」とつぶやきました。
僕は「ううん。今までありがとう。俺が馬鹿だったよ。ごめんね」と言い残し、家を出ました。
マルチを辞めた時とは違い、今度は助けてくれる人もなく、行くアテもありません。
寝床もないので、どこかしら雨風を凌げる場所を探さなくてはなりません。
お金もないので水や食糧は買えません。
携帯もないので、誰かに連絡したり、こういう時に利用できる施設などを探すこともできません。
しかし同時に、僕を咎めたり見張ったりする人ももういないので、「ここから全ては自分の裁量次第」「どんな展開になろうとも、自分が好きでやったこと」と割り切ることができました。
僕はずっと、何もかも上手くいかないことについて、自分が不甲斐ないことについて、いつも誰かに言い訳しようとしていました。
その言い訳を考えることに、どれだけ手一杯になっていたかを思い知りました。
こうして、僕はまさに「人生終わった」状態となりました。
しかし、待てど暮らせどエンドロールは流れて来ず、勝手に心臓が止まるでもなく、難易度や初期設定を変えて新しい冒険が始まるでもなく、ただただ「終わってる人生」が続くのでした。
ドン底の人に「これからは上がる一方だね!」という励ましの言葉を使う人がよくいますが、人生に底はありません。
今が底だと思ったらその遥か下へ。今度こそ完全に終わったと思ったらそのまた更に遥か下へ。
自分が変わらない限り、落ちようと思えばどこまででも落ちてしまえるのが人間です。
以来、僕は非情な現実に甘美な夢で抵抗するのはやめました。
現実は「現実の行動」以外何物をも受け付けません。
僕たちがどんなに将来の夢を語ったところで、どんなに言い訳したところで、どんなに善人ぶったところで、どんなに被害者ヅラしたところで、自分が置かれている現実は、現実のままです。
という訳で、次回の記事では、ホームレス太郎となった僕がどうやって生存し、その後社会に復帰したかを話します。
いつか全財産を失って「もう死んじゃおうかな」と思った時は、僕の記事を思い出して生き延びてください。
このアカウントでは、日頃の行いがウンコすぎて金融ブラックに載ってしまった星野太郎が「人生を立て直す方法」を研究し、実践していく様子を語っています。
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