輪島塗りの工房を訪ねて(輪島屋善ニデザインコンテスト大賞受賞をキッカケに)
輪島屋善ニデザインコンテストの大賞受賞(Instagram)をキッカケに石川県輪島市内にある輪島屋善ニさんの工房を訪れました。漆器はジャパンと言われ日本の国名と同じです。ちなみに陶磁器はチャイナと言われます。日本を代表する伝統工芸「輪島塗り」が出来るまでの工程を見学してきました。
【下地塗りの工程】
「地の粉」とは珪藻土を蒸し焼きにし粉砕したものです。珪藻土はガラス質でできていて非常に堅く、多孔質な構造(沢山の孔がある構造)でそこに漆が入り込み極めて堅牢で断熱性にも優れています。それを漆に混ぜ木地に何層も塗り重ねる事により堅牢な下地が出来上がります。そして一度下地塗りが完成した段階で木地をバラし、また組み立て直します。輪島塗りが丈夫なのは下地塗りに秘密があります。そして木地の縁を布でグルリと貼り付けており、落としても壊れづらくなっています。また、補修も可能なように作られています。
【研物の工程】
【上塗り工程】
【蒔絵・沈金工程】
そしてこれが「輪島屋善ニデザインコンテスト」の大賞を受賞したデザインの蒔絵がほどこされた対象商品の朱塗りのマグカップです。応募した動機は石川県に縁があり輪島塗りに関心があったこと、またその頃点描画の表現でデザイン画を描いており、こういった表現の輪島塗りも面白いのではないかと思い応募してみました。
この蒔絵技法は金と銀の平目粉(金粒と銀粒を平につぶした少し厚みのある素材)を一つ一つ貼り込んでいく技法を用いています。通常平目粉はアクセント的に用いられることが多いそうですが平目粉のみの作品は珍しいようです。
輪島屋善二さんの工房を訪れた際、輪島塗りの工程を丁寧に説明していただき、美しさにこだわり気の遠くなるような工程を経て多くの人により作られる輪島塗りの素晴らしさをあらためて実感しました。なんでもすぐ手に入るのがあたり前の現代社会において、輪島塗りの良質な材料や熟練した技は一夜にして手に入るものではありません。実用性も兼ね備えた良質な美へのこだわりは次元を超えた本物の存在感を感じました。