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なんでもかんでも「発達障害」と言うけれど。

今のバイト先で働き始めて、1年近くなる。
ふと、バイト仲間にちゃん付けで呼ばれていることに気づいたが、全員がちゃん付けされているわけではない。
オーナーに呼び捨てで呼ばれる人もいる。
あまり気にしていなかったが、その差はなんだろう、と疑問に思い始めた。

昔から、どこに行ってもある程度は人と仲良くなれるものの、親密な関係に発展することはなかった。
自分は相手ととても仲良くなったと思っていたつもりが、もっと仲が良い友達がいるのが普通だった。
どこか輪の中に入れない自分がいた。

ふと、周りのノリについていけない自分に気がついた。
なんとなく自分と他人の間に線が引かれているように感じていて、自分は仲良くなっちゃいけないと思いこんでいた。

そういう「日常の違和感」を上げたらキリがない。
年齢の割に子どもっぽく、年相応の振る舞いができないこと。恋人ができても数ヶ月しか持たないこと。人を信じられないこと。ゆっくり眠れる日がないこと。いつも何かに追い立てられて、やり続けて、限界を超えて体調を崩すこと。整理整頓ができないこと。etc…

今の時代は、こういう人間を「発達障害」と呼ぶようだ。
だが、私は普通の人間だ。普通の人間のはずなのに、うまくいかない。
普通にできることができない。
普通の人間になりたくて、たくさん人の真似をしたが、解決には至らなかった。

インターネットの波を漂っていたある日、「子供の頃の記憶を思い出し、過去の自分を癒すと良い」という記述を見た。

私には子供の頃の記憶がほとんどない。が、子供の頃の記憶が殆どない場合は、何らかの問題を抱えている可能性が高い。らしい。
正直一人でこの作業をするのはオススメしない。
頑張って思い出してみた結果、今までは認知していなかった問題が浮き彫りになった。

あまり思い出したくない記憶だが、親が私や妹たちを叱るときは、大きな声で怒鳴ったり、強く叩いたり、蹴ったりしていた。
親の手が小学生の私の頭に強くぶつかった時の衝撃がまざまざと、今その場で殴られたかのように記憶に蘇った。
その瞬間、こわい、という気持ちと一緒に、目が覚めた。

虐待のニュースを見ては、「私は痣になったり、怪我をしたわけじゃないから、これは虐待ではない」と、ごく最近までずっと思い込んでいたが、人を殴ることって、冷静に考えて普通じゃない。

3歳くらいの頃、親に叩かれて鼻血を出したことがあったが、成長したあとも、笑い話のように親に語られた。3歳を鼻血が出るほどの勢いで殴るのは、狂気でしかないが・・・。

殴られたり怒鳴られたりするのがこわくて、「いい子になろう」と心に決めて、なるべく大人しく、勉強もしっかりして、怒られないようにやり過ごしていたこともしっかり思い出した。

長年自分の力で暮らしてきてようやく気がついたが、
普通の人は、人を殴らないのだ。

私は猫を飼っていて、まるで自分の子どものようにかわいがっている。
もう10年近く飼っているが、飼い始めたころ、思い通りにいかない猫の行動を、怒鳴って、叩いて制御しようとした。
自分が親と同じ考えを持っていることに、ものすごくショックを受けた。
これが「虐待の連鎖」であると気付ける人間は、どれだけいるだろうか。
当時の私の中では、それが普通であり、しつけだと思った。

そうした子供時代の影響が色濃かった20代は、自分の感情がまったく制御できなかった。
とにかく何もかもに怒っていて、怒りを周辺に撒き散らし、どんどん交友関係がなくなっていった。
恋人からの連絡が少しでも遅れたら。私ではない誰かと(友達だとしても)会っていたら。
私のことはもういらないんだと狂ったように怒り、泣き叫んだ。
自分に無気力さを感じていて、普通に死にたかった。
昼夜問わず働いているにもかかわらず、夜は一睡もできず、食事もまともに摂らないで疲弊していった。体重は37kgぐらいになった。
世界の全てに興味がなく、ただ、息をしているだけ。
さすがにおかしいと思い心療内科に通っていた。
あのまま自分を放っておいたら間違いなく死んでいたとさえ思う。

「生きづらさ」なんて随分とっつきやすい言葉だが、20代ころの感情の激しさを思えば、明確にトラウマか障害か、機能不全家庭というヤツには、もっと危ない影響があっただろう。生きてくれ、皆。

30代になった今、凪である。波のない海。
怒りを通り越して無になった…わけではないと思いたいが、他人に対して必要以上に怒りをあらわにすることもない。
20代で人との境界を学んだが、おそらく、今は自分を守りすぎている。
何事もちょうどよいができないのは相変わらずのようだ。

それでも、長い時間をかけて、内なる自分的なやつを癒すところまでようやく辿り着けたように思う。
ちょっとずつ、自分の感情に気づくことができるようになってきた。

「お前は他の人間と違う」「だから人と仲良くできない」なんて親に言われていたけれど、ひとつも変わらない、私だって普通の人間だ。

人と関係を構築する方法が備わらず、今もたくさん苦労をしているが、わたしは人が好きだし、もっと仲良くなりたい。
その気持ちの反面、仲良くなることがこわくて、自分をさらけ出せない。

たくさんたくさん自己分析をしてきた。できないこともたくさんある。
が、あきらめずに、この先の人生も生きていきたい。
「生きづらさ」を受け入れて、「自分らしさ」を手に入れたい。

そんなふうに考えるきっかけを与えてくれた本を紹介して、自分の気持ちを叩きつけたこのページのしめくくりとしたい。

つまるところは、発達障害じゃなくて、トラウマじゃね?これ。
と、言いたかったのである。
同じように思っている人に届いてほしい。読んでほしい・・・。

おわり

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