シンガポールと中国深センを比べて感じる働き方の変化
マイコさんが運営する「ランサーワールド」というオンライサロンでのおしゃべり企画に参加してきました。楽しかったです、お誘いありがとうございました!
マイコさんは難易度高い韓国現地採用を経てフリーランスになり、現在では海外ノマドを満喫されるすごい方です。尊敬。
28歳フリーターだった私がはじめての海外転職先で選んだのがシンガポールでした。理由はいろいろあったのですが、なかでも決定的だったのは、英語で仕事ができることと友達がいたこと。友達といってもTwitterでシンガポール現地採用情報をゆるくつぶやいていたししもんと、地元で出会った国際交流プログラムの青年団チームだけ。ちなみにシンガポールに行ったことはなかったんですよね。ホント、ノリと勢い。
2014年から2017年までのシンガポールは、めちゃくちゃ楽しかったです。建国50年記念式典は街中でにぎわいを見せていて、この国がますます盛り上がっていくんだろうなと感じました。あと、50周年記念のその年は、所得税ゼロのお祝いが全国民にあった気がします。「バブルってこういうことかも」を肌で感じた3年間でした。
でも、仕事を辞めるタイミングであっさりシンガポールを離れました。私はこれを「シンガポールを卒業した」と思っています。これもまた理由はたーくさんあるんですが、「飽きた」と「新たな挑戦がなくなってワクワクしなくなった」でしょうか。
シンガポールは転職社会なので、勤続1年や2年ですぐに転職します。逆に勤続5年以上で転職しなければ「どこからも声がかからないかわいそうな人」「転職してさらなる高みを目指さない上昇志向のない人」みたいな印象を与えることもあります。(与えないこともあります。感じ方は人それぞれなので)私はシンガポールでの転職経験も、当時の仕事も超はりきっていて実績も十分あったので、たぶん転職するのは簡単でした。でもそれって全然ワクワクしない。
その後に働いたのはカナダ・バンクーバーと日本の田舎。カナダに行ったのはまさしく「挑戦」で、シンガポールで鍛えたスキルで自分がどれだけ通用するのかorしないのか、試してみたくなったからワーキングホリデービザを取得して働きに行きました。
その結果、全然ダメでした。面白すぎて笑っちゃうくらい、希望の仕事に就くことはできませんでした。やっぱり私のスキルはアジア限定でしか通用しないのだな、と再確認して、ひろってもらったバンクーバーの田舎のカフェでバリスタとして黙々とエスプレッソを抽出する日々。「接客英語できるのでレジやりたいです」って言ったけど、英語力が足りないと判断されたらしく一度もレジを触らせてもらえなかったなあ。なつかしい、貴重な経験です。
それから日本でちょっと働いて「やっぱ日本ムリ」を確信、またアジア転職活動。その時の候補は台湾・ベトナム・香港で、なぜか香港のお隣の中国深センにたどり着きました。そしてこれが超快適。
なぜ候補になかった都市を選んでも快適に暮らせるのか。これは私が仕事や住む場所を選ぶ際に優先順位を決めていて、その中で「住む場所」の優先順位は低いからです。
私の条件はとにかくはっきりしていて、働きたくないがための仕事を探す。それが実現できて、外国人として働ける就労ビザがもらえるなら国や都市はどこでもいいと考えていました。今振り返ってみると、この優先順位をブレることなく貫いてよかったなあと思います。あの時の自分、よくやった!
専門職で働きたい(シンガポールの時は専門性低めのカスタマーサービスだった)
給料は15万円くらいでボーナスはあきらめる
でも毎日定時で帰りたい
さらに土日祝は休んで長期休暇もほしい
この条件を全て満たしてくれるのが、中国深センの日本語教師の仕事でした。予想外の展開として、日々の生活が当たり前だけど全部中国語で英語使えない(職場と家では英語+日本語)、インターネット規制が大変、という2点がありますが、それを引き算しても超快適な暮らしです。
きっと多くの人はこの2点が気になって、ためらうんだろうなあと思います。あと中国って、近隣諸国に比べるとなんかイメージ悪い。人気ないんですよね。それを乗り越えて、実際に飛び込んでみたら全然違った景色を目の当たりにしました。あの時の自分、ホントよくやった!
それから私は、他人の言葉や周りの評価を完全スルーしているので、それも優先順位がブレない要因かもなあと、海外転職を希望する人たちと話していて思います。例えばカナダでは「あんたの英語力じゃ仕事ないよ」となんとなく言われたような気がしますが、「そっかないのか。じゃあ次行こう」というだけで、落ち込んだりしません。だから、「せっかくシンガポールで働けるのにもったいない」と言われても「はあ」とどうでもいいため息みたいなものしか出ないし、「中国ってどうなの?」とちょっとした悪意を含んだ言葉で言われも「超楽しいよ!」って胸を張って言います。
「よくやった、自分!」もそうなんですけど、自分の評価を決めていいのは自分だけじゃないかな、と。シンガポールに行った時は28歳だったけど、30歳半ばで初めての国で転職したいなんて大丈夫かな、と不安でしたが「若くて元気があって素晴らしい!」と褒められまくりました。中国で働きたい30代日本女性は希少種らしいです。これが台湾・ベトナム・香港ならまた違う反応だったんだろうなあ、と予想します。
はじめての海外転職の成功確率を上げるためには「優先順位」が大事です。そのために「自分がやりたいこと・やりたいくないこと」をとことん考えることがまず必要です。
年齢じゃなくてがんばって身につけたスキルと実績で評価してほしい、朝から時間外業務で掃除する下っぱもうやだ管理職になりたい、定時で帰りたい、休日は休みたい、旅行したい、人の数だけ優先順位の付け方があります。そしてそれはたまに変わります。私はシンガポールに行ったときは「バリバリ働きたい」で、中国深センでは「ほどよく働きたい」に変わりました。
シンガポールと中国深センでの私の働き方は大きく変わりましたが、共通しているのは「景気のいい国で暮らすと楽しい」です。物価は上がるけど給料も上がるし、生活する人々がやたら元気で明るくて「まあいっか」とささいなことは気になりません。やたらビジネスに挑戦する(そしてすぐ失敗する)のも見ていて面白いです。
でもやっぱり正直、ゼロから中国語とネット規制はしんどいです。(笑)
それも含めて毎日が挑戦なので、楽しく暮らしています。