「日本人でよかったな」感謝しかない海外生活
香港、カナダバンクーバー、シンガポール、そして現在は中国深セン。4ヶ国で暮らしてみたけど、どこでもだいたい快適です。
「なにが私にとって快適だと感じるポイントなんだろう?」
ここを詳しく掘り下げたくて、いろいろ考えてみました。おそらく、どこにいてもなにをしていても快適さを感じられる理由は日本人であるというバックグラウンドと、もうひとつは母語である日本語に加えて第二言語の英語も話す能力があるからかな、と。
英語運用能力に関して、具体的には①中学英語レベルの単語と文法で、②誰とでもビビらずコミュニケーションできる(ココ大事)程度のものです。全然たいしたことないです。なのに、「日本人なのに英語できるの! すごい」と自動加点してもらえます。
信頼のブランド・日本人というラベルの品質表示には、「語学」という明記はないみたいです。真面目で仕事熱心だけど、多言語話者ではない。だから第二言語がある日本人はやたら好印象。
お前、何人だ? 日本人か! すごいな!
私が何者であるかもよく知らないのに(むしろよく知らないからこそ)「アイアムジャパニーズ」と言うだけで称賛されます。これは私自身の評価ではなく、先人たちの功績を引き継いでいるということだと思います。歴代の日本人のみなさん、せっせと真面目に生きてくれてありがとう!
だから私も、次の世代の人たちが世界のどこかで「日本人ってすごいね」って言ってもらえるように悪いことしないで生きていこうと決めました。
悪いことって具体的になにかと言うと、遅刻しない、嘘つかない、約束守る、社内研修で学んだ技術を丸パクりして起業しない、マニュアルをコピーして(以下同上)、顧客リスト持ち出して(以下同上)、会社のお金ちょろまかして(以下同上)などなど、日本で働く人はおおよそやらないことばかり。でもこれって、世界基準でビジネスで戦って勝ち抜くにはよくある手段だったりします。その当たり前を「日本人はそんなことしない」と信用されているのが世界で通じる日本人ブランドってことですね。
日本人でよかったな。
とはいえこの日本人ブランドは一種のイリュージョンだと思っていて、魔法はいつか解けて消えます。それがアジア圏外に出たときですね。
物理的な距離は文化的な距離そのものなので、南米やアフリカ大陸では日本人ブランドはそこまで強くないです。日本ってね、島国でね、ここから飛行機でXX時間かかる距離でね、と説明が必要になることも。だからこそ、アジア圏で暮らすことが快適さのポイントだと思っています。
このアジア圏で英語を話す日本人でいると、またワクワクすることが起きるんですよね。
私は中国深セン在住で、仕事は日本語と英語、家庭内では英語で足ります。だけど生活の基本は中国語。多言語話者を目指して中国語を毎日勉強していますが、3つ目はしんどい。買い物や食堂で「これひとつ、持ち帰りで」くらい最低限の会話はできるようになったけど、得意ですなんて言えない。
だから交友関係は日本語か英語。
中国語が当たり前の中国深センで中国語以外で楽しい時間を過ごしてくれる人との出会いは、だいたい面白い。そしていわゆるハイスペック人材ばかりなので、仕事の話を聞くのがとても興味深いです。最近知り合って「すごい」と思ったのが、こんな人たち。
大学でアラビア語専攻でアラビア語と英語が堪能、趣味で日本語も少し話すIT企業勤務の中国女子(仕事がアラビア語全然関係なくてもうサイコー)
フランス語講師をやってる元フランス在住の中国女子。広東省出身なので広東語と中国語、私とは英語で話してくれて、日本語もメキメキ上達している。
日本と香港のハーフで小学校は日本、中高大は香港、副業でスタートアップ起業をしてみたいと深センで働くエンジニア男性。母語は広東語、日本語と英語も中国語も同じくらい流暢。
日本に11年住んで日本パスポートを取得、深センで電子機器の仕入れをして日本の会社を経営している中国人。話しぶりや言葉の選び方がすっかり日本。
日本以外で日本語を話す環境にいるだけで、こんなに面白い人達と出会えることもまた、楽しくて快適な生活の魅力のひとつです。
日本人でよかったな。
日本での働き方や、ややこしい人間関係では自爆しまくりだった私ですが、日本以外での暮らしが快適で楽しくなるたびに「日本人でよかったな」と感謝でいっぱいになります。