国際結婚にまつわる異文化理解
永遠に続くかのように思えた毎晩止まない喧嘩も、お互いの不満も文化の差も乗り越えて、嵐が過ぎ去った後の穏やかな日常にたどり着くことができました。今んとこ。
紆余曲折を経ていよいよ今月、入籍手続きに入る予定です。中国側と日本側の両方で手続きしないといけないので、日本国内での手続きに比べてめんどくささは2倍(私比)。それどころか、提出する各種書類に翻訳もつけないといけないとかで、めんどくささいっそ無限大。
ある日の夜、Twitterでプロポーズにまつわるつぶやきをタイムラインで見かけました。
そういえばプロポーズってどんなものを指すんだろう。ずっと前に指輪はもらったけど、八百屋で大根渡すみたいに(どんなみたいだ)袋ごとほいっともらっただけだったしなあ。
他に思い当たるようなものはない。あれがプロポーズだったのかな。それともこれからなにかあるのかな。
「入籍するにあたって私たちの間にプロポーズはあるのかい?」
愛にできることはまだあるかい、みたいにうちのヤンくんにサラッと聞いてみた(全く違う)。
抱えきれないサイズの花束とか豪華であればあるほどいいとされるプレゼントとか、見た目を重視する中国式なら、なにかするのかなあと。いや全然なくてかまわないんですが、期待してないんですが。
ヤンくんはしばらくフリーズして(多分めっちゃ考えた)驚きの解答をひねりあげました。
「入籍はさ、ただの手続きじゃん? オレたちこれから結婚式をするでしょう? だからプロポーズは結婚式の前になったらするねッ」
とりあえず結論後回し、という意思決定よわよわ管理職みたいなことを言い出したよ、この人!
今回も安定の面白さをありがとう!
万が一このとっさの後回しが後々実現したならば、入籍してしばらく経ってから「結婚式の前だから」という理由でプロポーズされることになる私。
なんだそりゃ。そのプロポーズを断ったら私たちは結婚式を前にして離婚になるのか?
ねじれ構造がすごい。
長くなりましたが、ここからが本題です。
いよいよ入籍ィッ、というこの段階でそれぞれの考えに決定的な違いがあることがまた発覚したので(なんか面白かったので)、今日は結婚に対する日中の感覚について書いてみたいと思います。
結婚するためにやること、それは入籍と挙式。えっと、挙式って披露宴? 挙式のうちのスタイルのひとつが披露宴? (アウトオブ眼中オブ挙式)
挙式に興味がない私でも、入籍はしたい。なんでかなって自分の頭の中をひっかきまわしてみたのですが、答えは「やったことないから」だと思う。
交際も同棲も家族への挨拶も婚約も、全部したことあるけど、まだ入籍はしたことがないので、やったことない先にある世界を見てみたい。そう考えるとワクワクする、入籍。
じゃあなんでやったことない挙式はいいのよってなるんですが、こちらはワクワクよりも「めんどくさい」の一言が圧勝。そもそも誕生日とかクリスマスとかのイベントもめんどくさいほどなので、自分が主役になる系のイベントが苦手なんだと思う。
あとは、入籍した方が別れにくくなるかなあ、とも。2人の関係に法的な効力が作用して、一緒にいるんだと自分に言い聞かせることができるような気がします。
同棲しても家族に挨拶しても、別れると決めたらなにがなんでも別れてここまで駆け抜けてきたので、入籍したらいくら私でもちったあ落ち着くんじゃないかと。(致命的ななにかがあったらソッコー国際離婚手続きをググるかもしれないけど)
「ダメになったら別れればいいだけだから、とりあえず付き合ってみよう」という私だったのが、入籍したら何か新しい私になるのかもしれないとちょっとだけ期待しています。
バージョンアップ、みたいな? (強制終了からの再インストールになったらどうしよう)
入籍はめんどくさくてもなんとかやりたいけど、挙式は圧倒的にめんどくさいしイベントが苦手だからやりたくない。これが私の今回の(今回の?)結婚に対するスタンスです。
入籍のみ挙式なし。日本ではメジャーとまではいかないけど、たまにあるケース。
対してうちのヤンくん。
「入籍はさ、ただの手続きじゃん? オレたちこれから結婚式をするでしょう? だからプロポーズは結婚式の前になったらするねッ」
前述の珍回答から予測できることは、入籍よりも結婚式にウェイトがかかっているということ。
どうやら中国人は、とにかく盛大に人を呼んで挙式をすることが重要らしい。見た目を気にする、という点ではメンツに関わる部分でもあるのかも。
さらにヤンくん、中国の地元(深センから飛行機と鉄道で4時間以上)と日本の私の地元(深センから東京経由の飛行機で6時間以上)の両方でしっかりきっちりやりたいらしい。
め、めんどくさいぃぃぃ。
日本で挙式したいのは、中国の地元から親戚一同を招待したいかららしい。やっぱりここでもメンツかなあ。
中国側の準備は晴れて戦力外だとしても、日本側の準備だれがやるの、外注してもいい?
しかし時期が時期なので、どれだけ結婚式をやりたくても何の計画も立てられません。
見通しゼロでも、結婚式はやるもんだと思ってるんだな。
入籍はやるもんだと思っている私と全く違う方向を見ているという新たな発見がありました。
さらにもう少し深掘りしてみた。
入籍したら法的拘束力が強まると考えている私に対して、ヤンくんは結婚式を挙げたら周囲から夫婦として認知されるかのような、ある種の社会的拘束力が強まるとか思ってるのかもしれない。
さすがにそこまで本人に聞けないから、あくまで予想ですけどね。
「入籍したら別れにくいよなあ」と私が思うのと近い感覚で、「あれだけ盛大な結婚式を挙げたら別れにくいよなあ」とヤンくんは思うのかもしれない。盛大な式かどうかはまだ知らんけど。
ちなみに私はどれだけ盛大に挙式しようとも、その後に致命的なことが起きたら別れます。周囲の目も評判も私がなにかの選択や決断する際には、何の材料にもなりません。
それが入籍の場合なら、法的拘束力とともに「あんなに苦労した手続き、もう一度やりたくない」という感情も発生するので、ワンチャン離婚を踏みとどまるかもしれない。
入籍はするけど挙式はしない。このパターンが日本で成立するとして。
挙式はするけど入籍はしない。逆のパターンが中国ではあるってこと?
「よくわからないけど、手続きだけなんだから結婚してる人は入籍してると思うよ」
初婚のあなたに聞いたのが悪かった、なんとも曖昧な回答。
パスポートの申請や更新と同じような感覚で、入籍はするものらしく、挙式のみという夫婦はいないようですね。
冷静に考えたら、どっちが手間ひまかかるかと言えばそりゃ挙式なんだから、ささっと済む方の入籍を省くこともないよなあ。
パスポートでふと思い出したんですが、中国では入籍するとパスポートサイズの真っ赤な表紙の「結婚証」なるものがもらうそうです。家族ビザを申請するときに使うんだとか。
こんな感じで、結婚直前にしてまたひとつ文化の違いを感じました。
あれ、そういえばプロポーズはまだらしいから、入籍手続き=結婚じゃないってことですか?
あまりしつこくたずねると不機嫌になるので、しばらくひとりで思い出し笑いさせてもらうだけにしておきます。