【実録】中国深セン、マンション敷地内いきなり封鎖14日間
ある日の日曜の昼下がり、気づかないうちに我が家は急展開に巻き込まれていました。
美味しいお好み焼きを食べに行こうと、友人数名と話し合っていて決めた夕食の行き先。
そのうち1人が歩いて10分ほどの距離に住むご近所さんなので、うちの下に集合しようということに。チャットの会話履歴をふりかえってみると、このへんからなんだか不穏な雰囲気。
いやいや、まさか。大丈夫でしょう
あくまで楽観的な私。だって3時間くらい前、お昼ごはんを食べに出かけたときはなにもなかったし。
しかし私の楽観的思考を、はるばる高く飛び越えてくれるのが中国深センの対応スピードだった。
下に降りたら、なんかおかしい。見慣れた家の前のゲートに、何重ものテープが貼られている。毎日あいさつする管理人のおじちゃんが放つ一言が、今回の始まりでした。
「誰も出られないし、入れないよ」
テープの向こう、敷地の外から手を振る友人の姿。昨日まで隣でゲラゲラ笑って飲んでいたのに、今日になったらこんなに遠くなったんだなあ。
こうして楽しみにしていた夕食に行くことは叶わず、敷地内にあるスーパーで数日分の食料を買ってすごすごと帰宅。
帰宅途中にすれ違う、敷地のあちこちを消毒してまわる白い防護服の隊列。ダースベイダー、じゃなくて、ストームトルーパー感がすごい。
目の前の状況から、緊張感だけは伝わってくる。
でも実際には、何が起きているのかさっぱり分からない。なんでいきなりマンションの敷地が封鎖されたのか、いつになったら開放されるのか、毎日のように利用するデリバリーは外部から届くのか。大切なことはなにも分からない。
どうしよう。どうなるんだろう。
まあ、しょうがない
この、あきらめる力ですね。粘り強さとか忍耐なんてとっくに手放して、前向きな思考停止。
インフラ、行政、サービスにホスピタリティ。全方位きっちりしている日本式なんて期待してはいけない。
生きる力はあきらめる力!
死ななければそれでよし!
SNSの投稿を見て、心配してメッセージをくれた友人数名に「まあしょうがないよね」みたいな上記のあきらめ論で返事をしたら「なんか落ち着いてるね」と言われ。
あきらめることは落ち着くことなんだろうか。
この2年、ほんとにいろいろあったからなあ。辛いとか悔しいとか涙が止まらなくて叫び続けたとか、あんなのに比べたら、いつもの部屋で待機するなんて、大したことないんだよな。
「最悪だ」って頭の奥深くに刻まれた過去の出来事は大事にしておくのがいいと思う。たまに頭の中でぽこんと浮かべて「あれに比べたらマシ」って比較したら今をちょっとだけ楽にできるから。
Wechatで情報が飛び交うなかで、マンションの住人たちのグループチャットに参加した。
今夜、全員一斉の核酸検査(PCR検査)が敷地内の広場であって、明日の朝にその結果が出て、敷地内の封鎖がいつ解除されるかが決まるらしい。
そっか。じゃあ今すぐ寝ようっと。早く寝たら早く朝になるから。
ほかの地域の封鎖は、検査結果が全員陰性でなにもなければ、だいたい4日間ぐらいで封鎖解除になったとか聞いてたのに。のに、なあ。
4日間なんて甘すぎた。またしてもアゲイン、私の楽観的思考をはるか高く飛び越えてくれる衝撃。
14日間封鎖します、の通知。
これまで聞いたなかでも最悪最長の敷地内封鎖が、こうして幕を開けました。