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28という数字


イチョウの黄色が、空の青が、この日のために用意されたみたいに眩しかった。大海を泳ぐ、星の鳥みたいに。


BUMP OF CHICKENというバンドが好きだ。
2024年の2月11日に28周年を迎えた彼らは、28年で一巡りする周期に準えたアルバム、の、ツアー、の、リバイバルツアーを開催(これで伝わっているのだろうか)。
勢いそのままに、ツアー「Sphery Rendezvous」を2024年12月8日に完走した。

去年の今ごろ、わたしは今日のような濃度で彼らを好きだったわけではない。
曲が好き、音楽への向き合い方が好き、結成日や誕生日がいつだったとしても、とにかく続けてくれてありがとうって、そう思っていた。
その好きの形も、わたしは愛している。

今年は、また少し違った濃さで、彼らのことが好きだなあと思う。
具体的には、曲を飛び越えて、その曲を奏でているメンバーのことを、より見ようとした1年だった。
わたしが好きになった曲の、その曲を奏でる人の、もっと近くにいきたい。もっと知りたい。
その気持ちと、ライブの開催が、月食のようにぴったりと重なって、待ち合わせが上手くいった日があった。

結成日、メンバーの誕生日、好きな曲が発売された日、ライブを見に行った日、公転周期。
数字の羅列が突然、きらめく宝石に変わる瞬間。
それを、心が何度も、何度も経験した。

なにかを好きになるって、記念日が増えることだ。
世界の輝きに気づけることだ。
幸せ とか、生きててよかった とか、言葉でしか知らなかった気持ちを、心の底から口に出せることだ。

たとえば。
ライブが終わって、その日に叫んだ声を忘れて、その日に見ていた景色を忘れて、気づいたら日常を繰り返して、たまに壁にぶつかって、途方もない夜に出会って。
その中で、ただひとつ差し込む光がある。
今に続く過去の中、確かにあったあの星の名前を、思い出すことができたなら。わたしがわたしでよかったと、心から思わせてくれた、あの日とあの人たちのことを思い出すことができたなら。
鼓動に手を、あてることができたなら。
きっと、何度だって、歩きはじめることができる。

どうしても、どうしても伝えたい。
ずっとずっと光り続ける夜を、わたしにくれてありがとう。
きっと輝いている、そう確信できる未来を、届けてくれてありがとう。


2025年2月10日、今日、28周年は終わる。だからわたしは、ケーキを食べようと思う。
2025年2月11日、明日、29周年がはじまる。わたしはまた、ケーキを食べようと思う。

祝福だ。
心の底からおめでとう。
大好きです。

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