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内製化で乗り切った! 社運をかけた6週間IoTプロジェクト - 中途採用エンジニア奮闘記

どうも、エンジニア採用担当の高田です。

今回は、エンジニアリングの内製化をすすめる星野リゾートにおいて、実際に中途採用のエンジニアがどのように活躍しているか紹介したいと思います。


新型コロナウィルス感染症によって打撃を受けた観光業。緊急事態宣言発令後は、星野リゾートも様々な対応に追われた。3密回避対策として頭を悩ませたのは、ゲストが利用中の大浴場の混雑把握。経営陣と情報システムグループは、解決のために社運をかけ「IoT x 自社開発」で混雑可視化プロダクト「湯守」開発で合意。競合よりも先に、何よりもゲストへ安心を届けるべく、通常の4倍速で開発を行った

本プロダクトのソリューションアーキテクト 杉山氏に、実際の開発現場の奮闘についてインタビューを行った。

ー「 開発期間6週間」と聞いたときはどう思いましたか?

短いなという印象はありましたが、画面で表現する要素などを考えたらフロント側の開発に関してはあまり不安はなかったです。どちらかというとIoT領域が不安でした。IoTに関する知見がなかったですし、協力会社との突貫工事だったのでそこはどうなるかなと・・・。でも最後は「どうにかなるでしょ」と楽天的だったと思います。


杉山陽輝
株式会社星野リゾート情報システムグループ ソリューションアーキテクト
2019年星野リゾート入社。星野リゾートが掲げるフラットな組織文化に惹かれたのが、入社のきっかけ。宿泊エンジニアチームでは希少な、インフラもこなせるフロントエンジニア。
兵庫県出身。日々癒しをくれる愛猫の名前は、テトとジジ。
座右の銘は、『Just do It!』

ー納期を短くするために、構成的な工夫をされたところはありますか?

私はインフラとフロントを担当しました。そして制約としては短納期 & コロナ禍のため低コストでの開発も要求されました。

スピードとスモールさが重要でしたので、技術は特に冒険をせずに、経験があるか?知見があるか?などを判断軸に選定しました。フロントであればNuxtのSPAパッケージ。データストアはDynamoDBも考えましたが、収集したデータを後で分析することも考慮し、Amazon Aurora MySQL を利用しました。

APIについては、データの流量を想定するのが難しかったので、API Gateway + Lambdaのサーバレスの構成を採用し、通信料が増えても対応しやすいようにしました。選定自体は1日で行い、翌日の会議ですりあわせてGOといった感じです。

ー実際に開発してみて大変だった部分はどこでしたか?

現地に導入してからが一番大変でした。テストだと問題なくデータが取得できていたのに、現場に導入すると、数字がとれなかったり、安定しない・・・

もちろん、IoTの経験があれば、問題の切り分けももう少しスムーズにできたと思いますが、

「ハードウェア/デバイスが悪いのか」
「wifi環境が悪いのか」
「単純にオペレーション上のミスなのか」

自分たちの領域のエラーだと分かるまで、最初はだいぶ時間がかかりました。また緊急事態宣言下だったので気軽に現地に見に行けず、Webカメラ越しで現場確認する感じでしたね。

あと、データ設計も苦労しました。特に、データが飛んでくる頻度をどうするかで悩みましたね。頻度が高いと正確性は高まりますが、将来的に容量の不安がありましたし、逆に頻度が低いと、そもそも何を表現したデータなのかわからなくなり、データ自体の価値が下がってしまいます。

ここは現場を回しながらチューニングするしかなかったですね。今でも将来的なデータ総量を考えながら、変えていく必要があるかなと思っています。

柱についているのが、ゲストカウントを行うセンサー

ー データを貯め、機械学習への利用も想定されたと?

はい。想定はしていて、大浴場以外の混雑予想などへの利用は既に利用を始めています。ただ、この用途以外にこのデータの使い道は他にないかと・・・、現場スタッフともっと掘り下げる必要があるなと思っています。そういう意味ではチームの半分は現場出身者なので、雑談など交えながら色々意見交換しているところです。

湯守のカスタマーページ

ー このプロジェクトで楽しかった・心に残ったことはなんですか?

ハードウエアの提供をお願いしていたMAGLABさんのご厚意で、ハードウェアへのプログラム書き込み作業の体験させてもらえたことですね。

MAGLABさんにも急ピッチの開発をお願いしていたので、デバイスのハンダ付けリソースが足りないと。そこで、チームメンバーと共にデバイス組み立てから参加させてもらいました。

機械工学出身だったのでハンダコテは懐かしさもあり楽しかったですね。何よりも、この経験でIoTをする上でデバイス側の仕組みを覗けたのがよかったです。個人的に簡単なものであればハードウェアも自作できるなと思っていて、休日にハードウェアとWeb共に作って遊んでみようと妄想中です。

メンバーとハンダ付け作業ををしながらチューニング中

あとは、実際に日本各地の施設で実際に動くものを「導入した・やりきった」というのも感慨深いです。そしてそれが今も使われていることも。メディアに取り上げていただけたのも、とても嬉しかったです。

完成したデバイスを各施設へ出荷する様子

ー このプロジェクトを通じて、ご自身のエンジニアリングへの影響は

「プロダクトは成長するもの」というのをヒシヒシと実感できたのが自分にとって大きな収穫です。湯守は最後の最後まで試行錯誤をしてリリースしたものでしたが、使われていくと、やはり現場からはいろいろな要望が上がってくるんですよね。

最初はとにかく裁くので必死でしたが丁寧にヒアリングをして改善していくと、現場のスタッフの方から感謝の言葉を頂いたり、ゲストのアンケートに具体的なプロダクトについての感想があったりと、嬉しい変化を感じていました。これからもプロダクトを成長させるエンジニアでありたいですね。

技術的にはこれをきっかけにIoT周りを伸ばしていきたいです。「ハードウェア側もできますよ」っていう、亜種なフルスタックエンジニアとか、ちょっと憧れますね。

あれこれ手を出すのは欲張りかもしれませんが、ハードウェア・ソフトウェアの両方ができるようになった方が、価値が出せるし、ワクワクするようなエンジニアになれると思うので、今後も欲張りながら成長できるエンジニアになりたいと思います。

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