見えない小鳥、魔法使いの家族

客観視している感覚。

私が幼い頃、素性が謎の男の子とよく遊んでいた。男の子の家の存在は知っていた。突然、男の子と遊べなくなった。いつも遊んでいた場所に男の子が現れなくなったからだ。

私が大きくなり、2人の友達と共にあの男の子の家に行くと、その家がまったく別のかたちの家になっていて驚いた。友達に、本当にここで間違いないのかと尋ねられた。私の記憶では、あの家の隣に公園があり、そこの大きな大木が目印になっていたので、場所はここで間違いないと思った。

勇気を出して、今目の前にある家を訪ねる。

若いお姉さんが出てきた。歓迎してくれた。

男の子のことを訊いてみると、「私の弟ね。何十歳か年が離れているけれど」と言われた。

今、彼はどうしているのか訊いた。お姉さんは立ち上がって、鳥籠(中に何も無い)を開けた。まるで小鳥を指に止まらせるかのように、人差し指を差し出す。私達には聞こえないぐらいの声で何か呟いて、飛んでいけとばかりに手を払った。

「何?」と私が言うと、「何?」とインコが人間の声を真似したような声が聞こえた。びっくりして友達とわあわあ騒いでいると、同じようにわあわあ声真似で返された。見えない小鳥が部屋を飛びまわっていると思った。

「この小鳥は魔法使いにしか使えない小鳥。普通の人間の目には見えない。魔法使いなら見える」というようなことをお姉さんは言った。(具体的に、透明な小鳥がどう使えるのか、教えてくれたが忘れてしまった)

「弟も魔法使いの血が流れているけれど、魔法使いとしてはまだ幼すぎて小鳥が見えなかった。弟はどうしても小鳥と友達になりたがっていた。あなたと遊ばなくなったのは、小鳥が見えるぐらいの魔法使いになるために修行に出かけたから」とお姉さんは付け加えた。

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