外出許可当日

朝は5時に目が覚めた。手足の末端から徐々に動かして、今日は何処が痛いのか、辛いのかをゆっくりと確認していく。そして自分の心と真剣に会話する。今日はどうだ、外出できそうか、OK、それならば準備をしよう。
今日は深く長く眠れたので、調子は良かった。病院のエントランスまで歩いてひとりでストレッチをする。守衛さんに挨拶して部屋に戻る。
7時に朝食をとり、外出時間に設定した10時までゆっくりと過ごした。看護師さんが部屋にやってきては「今日は頑張ってね」「ゆっくりしてらっしゃい」と肩を叩いてくれて一々嬉しくなる。緊急事態宣言のなかでの外出許可なので他言を控えるように言われて遵守していたのですが、デイルームに行くと患者さんからも「楽しんでくるのよ!」と蒟蒻ゼリーを頂いたり、病棟の仲良しメンバーには知れ渡っていたようで、ペコペコしながら時間の経過を持っていた。
10時。茹だるような暑さ。送迎のタクシーが待っている50メートルで「これはキツイ、無理かも…」という感情に襲われた。それでも何とか体を車内に滑り込ませた。

久しぶりの我が家だった。そして最初の一歩で驚かされたのはフローリングの感触だった。病院ではサンダルをはき裸足になることがないので、フローリングの硬すぎず反発してくる感触に思わず声をあげてしまった。
そして何よりも妻と長男坊、2匹の猫の出迎えが嬉しかった。幼稚園にいっているため娘には会えなかったけど「ただいま」と言って「おかえり」と返ってくるだけで満たされたような気持ちになった。
それでもやはり、2時間弱で虚脱感に襲われた。家にいたい、このまま帰りたくない気持ちと、確実に訪れる体調不良を何処で迎えるべきか。その葛藤。そして今回も後者を選択した。

自分のなかにある2時間の壁。これが障壁になっている。予定よりも随分と早く病院に戻ったので、看護師さんにも色々と聞かれましたが、正しい選択をとりましたね。と励ましてくれたので、それで落ち着くことができた。

明日は主治医とカウンセリングと治療があり、今後のプランニングを決めていく。急がば回れ。それはよくわかっていますが、回りながらの最短距離を描けるように色々と提案していこう。
今日はお疲れ様でした。まだ寝るには早いですが、どっと疲れたので、ベッドにはいおやすみなさい。おやすみなさい。

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