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ハンフェスが良かった話をいろんなオタクに聞いてほしい

HANDEAD ANTHEMという作品がある。
ボイスドラマと楽曲で2019年7月から展開している、いわゆる男性キャラクターコンテンツだ。
このHANDEAD ANTHEM(以下、ハンセム)が、2023年2月18日にLIVE&READING「HANDEAD FES」(以下、ハンフェス)というイベントを開催した。LIVE&READING、つまり歌唱ライブと朗読の合わさったイベント、である。
ハンセムのオタクである私は、「何が出てくるやら……まあ何が出てきても好きなコンテンツのイベントは楽しいが……」と見に行ったのだが、これが――めちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃ面白かった!!
イベント自体の満足度ももちろん高かったが、それ以上に企画として、かなり新しくて面白かったのである。いや本当に。ビックリした。HANDEAD ANTHEMっておもしれ~~~~~~!
というわけで、今こうして、感謝と愛をこめて文字を認めている。ハンセムが好きな人もハンセムを知らない人も聞いてくれ。語らせて。頼む。


そもそもハンセムって何?

このnoteを読んでる人にはハンセムを知らない人もいるだろうということで、ざっくり概略を説明する。既に知ってる人、興味がない人は読み飛ばしてもらって構わない。

ハンセムは前述のように楽曲とボイスドラマで展開するタイプのキャラクターコンテンツだ。キャッチコピーは「半分死んで幸せになろう」。
この世界では半ゾンビ半人間の種族がいて、「ハンデッド」と呼ばれている。(細かい説明を省略しザックリと言うするなら新人類みたいなものだ)
ハンデッドは感受性豊かで自我が強い。己の思いに正直に伸び伸びと生きることができる。
一方でハンデッドではない人間は「アライバー」と呼ばれる(対しての旧人類と説明する)。彼らは、感情が薄く社会に従属していることが多い。

ハンセムのキャラクターは皆ハンデッドだ。DAAというハンデッド組織の支部幹部である。幹部は、支部の旗ふり役であり、広告塔だ。「ハンデッドになって俺たちの仲間になろうぜ!そのほうがきっと人生楽しいよ!」と世間にアピールするのが主な役割である。
よって、アライバーの興味をひいて心に訴えかける手段として音楽を利用している。歌ったり踊ったり、イベントごとを企画したりするのは、幹部の立派なお仕事というわけだ。世間でも芸能人的扱いを受けており、年齢にも制限がないため学生幹部もいる。

そんな感じの世界観で現在22キャラクターが活躍しているハンセムだが、何より、このコンテンツの最大の特徴は「兼ね役」だ。
初期からのメインキャラクター16人に対し、担当声優は4人しかいない。つまりは一人4役である。具体的には、広島・高知・福岡・沖縄の4支部(チーム)があり、4人の声優はそれぞれの支部全てに担当キャラクターがいる。言葉で説明するとややこしいので図解しておこう。

HEAD(チームリーダー)もきれいに4人に割り振られている

また、途中参戦の追加キャラクターは2チーム6人いるが、声優は3人だけだ。つまり、一人2役である。
この7声優22キャラクターがわちゃわちゃとボイスドラマで会話して成立するんだから凄い。声優の限界に挑戦している。キャラクター同士が会話している時に、これ中の人おんなじだよな……となることも少なくない。
そんなコンテンツなので、ハンセム界隈では、生朗読の価値がかなり高い。目の前で演じているキャラがころころ入れ替わるのだから、面白くないわけがないのである。元気な高校生が、次の瞬間には妖艶な成人男性になっていたりする。究極、一人で会話する。声優の限界を目指し過ぎである。

とまあ、ハンセムの概説としてはこんなところで。
ハンフェスの話に移っていく。

ハンフェスの話

前提条件の説明が多くて申し訳ないが、ハンフェスに至るストーリについても軽く説明しておく必要がある。
これは「JOINUS」というボイスドラマで語られている。
沖縄支部の嘉間良流が、「組織のしがらみに囚われない、新しい形のイベントを開きたい!」と言い出したことが発端だ。これまで既に交流を深めていた他21人はそれに賛同、沖縄支部主催で6チームによるフェスを開く「プロジェクトJOINUS」を決行することにした。
が、中には内心、思うところがある者もいた。己の生き方を見つめるもの、過去のしがらみに囚われるもの。交流の中でお互いヒントを見つけつつ、それぞれがそれぞれの思いを抱えたまま、「プロジェクトJOINUS」当日へと向かう――という感じである。

※JOINUSは期間限定無料公開されている。いつまでかは分からない。少なくとも2023年2月25日現在は見られるので、ここに引用しておく。


さて、いよいよ本題だ。
公式サイトによれば、LIVE&READING「HANDEAD FES」では楽曲披露とこの「JOINUS」の第六話が朗読されるという話だった。
だからまあ、事前の予想としては、朗読コーナーがあって、その後に何曲か(チーム1曲ずつ+αくらい)を披露する、という流れかな?くらいだった。いや、思うだろ、普通。思うよな?

最初に結論を言ってしまうと、私たちが見たのは、「プロジェクトJOUINUS」そのものだった。

まず、これまでの歌唱ライブと同じくらい曲数があった。普通にライブだった。なんでHPにアンケート上位曲をやりますって書いたんだ、2公演でほとんど全曲やってんじゃねえか。

じゃあ朗読は何処へ行ったかというと、MCパートである。ライブMCが全部朗読になっていた、つまりキャラクターによるMCだったわけである。

全体の流れを追うならば、
まず、イントロでキャラクターの独白シーンが少しだけある。また、楽屋風景の朗読も少し。そこからは楽曲がかかってライブ開始だ。全体曲と各チーム1曲ずつ歌って、キャラクターによるMC(朗読パート)をはさむ。キャラクターによる余興(?)もある。
そこからまた各チーム1曲+αを歌っていく。キャラクターによる最後の挨拶(朗読パート)があり、最後にまた歌って、おわりだ。
ここまでキャストがキャストとしてしゃべることは一切ない。(なお、アンコールについては後述する。)

キャストMCの代わりに朗読をはさむライブ、という形式は他のコンテンツでも見たことがあった。
が、ハンフェスが面白いのは、これが完全にライブMCの再現になったうえで、ここまでのドラマと地続きのストーリーになっていたことである。

ハンフェスでおきたこと

冒頭部を除き、ハンフェスの朗読はすべてライブ中のMCの再現であった。つまり、実際の「プロジェクトJOINUS」のイベントのステージ上で起きたこと・語られたことがそのままお出しされているわけである。
となると、前述の「それぞれの思い」=個人的事情はほとんど語られない。あくまで観客向けの言葉になる。イベントを楽しみ、そして観客を楽しませようとするキャラクターたちの言葉や様子だ。

けれど、たとえば、仲間とのやり取りや最後の挨拶でぽろりと本音を滲ませた言葉が出てくることがある。あるいは、人によっては、言葉なくともライブでの振る舞いがいつもと少し違ったりする。
いずれも、実際の観客なら「新しい挑戦で緊張してるんだな」「今回のイベントを楽しんでるんだな」「おっなんか今日気合入ってんな」くらいに思うだろう、ライブMCとして、比較的自然な範囲のものだ。
だが、我々はただの観客ではない。これまでのボイスドラマを聞き、彼らの過去も悩みもプライベートも人となりもすべて把握してしまっている、いわば神の視点を持った観客だ。なので、ちょっとした言葉や振る舞い(匂わせ)だけで、「ああ、この人はここで過去のしがらみが吹っ切ったんだな」とか「ここで、今までの思いが募っているんだな」とか「この子はこんな風に成長したんだな」とかを十分に察せるのである。

メタ的に言うならば、不自然にならない範囲でそれがきちんと伝わるような表現が台本にきちんと仕掛けてあった。ライブMCという枠組みの中で、それぞれのキャラクターの思いや成長がきっちり描かれていたのである。

更に、こういったキャラクターの変化や成長は、ライブ(楽曲歌唱)でも表現されていた。キャストは各々のキャラクターの胸の内や成長をしっかり歌唱に載せていたし、それに合わせてライブ演出もなされていた。
気負っているキャラクター、普段以上に楽しんでいるキャラクター、歌いながら何か新しいことに気付けたキャラクター……と、私たち(神の視点を持つオタク)が分かるように、今までのライブと歌い方やパフォーマンス、観客への煽り文句などを変えていた。ライブMCだけでなく、楽曲披露のパフォーマンスもしっかりとストーリーの一部として機能していたのである。

”「JOINUS」の第六話が朗読される”というのは正確ではない。
ハンフェスというイベントそのものが「JOINUS」の第六話だった。「JOINUS」で行われたそれぞれのキャラクターの問題提起や成長が、ハンフェスのパフォーマンスの全体の中で回収されていたのである。
ハンフェスというライブイベントが、キャラクターたちにとって「プロジェクトJOINUS」のステージがどういう意味のある経験だったかをしっかり伝える「ストーリー」になっていた。

ここまでストーリーにしっかり組み込まれたイベントを私はあまり知らない。

これは、このライブでのアンコールにも表れていた。
ライブのアンコール、初めてキャストはキャストとして今回のイベントについてコメントする。そしてアンコール楽曲として全体曲を歌唱する。
これは、ハンフェスの冒頭でも歌ったものだ。
ただし、いつものようなキャラクター歌唱ではなく、「キャストの素」で歌っている。今まで、アンコール歌唱で(盛り上がってはしゃいでしまい)多少素が出ていることがあっても、明確に「素で」と明言して歌ったのは初めてだった。
つまり、キャラクターたちのライブはメインパートで終わっているのだ。メインパート全体が「ストーリー本編」で、アンコールはストーリー外の時間だと明確に線引きしているのである。
よく出来た構成だと思う。

ハンセムが叶えたこと

若干わき道にそれるが、ハンセムのえらいところは「ファンの意見と反省を次に活かせる」ところだとなんとなく思っている。もちろんお金が関わるビジネスなので、「可能な限り」の注釈付きではあるけれど。
ここちょっとな~と思ったところは必ず次の機会に仕様変更が入っているし、よかった!と思ったところは、しっかり次でボリュームアップしている。(あらゆるコンテンツでそうだろうとはいえ)かなりファンの意見をエゴサして、それをしっかり吸い上げていると思う。出来る限りで。ファンの意見の反映は必ずしもいいことだけではないが、あまり地力のあるコンテンツでもないし、少しでも良い作品にしたいという運営の意志の表れだと私は前向きにとらえている。

じゃあ、ハンフェスに活かされた反省はなんだったのかというと、これは完全に私の憶測なのだが、「ストーリーとリアルイベントの絡ませ方」なのではないかと思う。
ハンセムでこれまでに開催されたライブのほとんどは、キャラクターたちがストーリー内で参加した大規模ライブと同じ名前だ。つまり、ストーリー内でキャラクターたちが出演を目指し準備したライブと、私たちが実際に見に行くライブは、"名前"という点でリンクしている。
が、はっきり言って、この二つは完全に別物だ。
私たちが見るのはあくまで、キャストによる歌唱ライブ。もちろんキャストはキャラクターとしてパフォーマンスするが、キャラクターたちがストーリー内で経験したライブと同じであるわけがない。たとえば会場だったりMCだったり。パフォーマンス内容だってストーリー内と現実では同じと言えない。
今までのハンセムのライブは、名前が同じであるために、この乖離が余計に大きく感じられていてしまった。ストーリー内ではこのライブの経験がこういう意味を持ってるけど、私たちが実際に見たライブは名前がおんなじだけの違うものだよね、というのが大体のファンの感覚である。

だが、ハンセム運営はおそらく、今回、この二つを完全にリンクさせたかったのではと思う。

これは当然の感覚で、あらゆるコンテンツ(特にキャラクターコンテンツ)の夢は、キャラクターに実在性を与えることと見ている人をコンテンツの世界へ巻き込むことだと思う。
ハンセムも、よくキャラクターによるツイート企画を行うし、「キャラクターによる直筆メッセージ」が存在している。この直筆メッセージがすごくて、ファンのメッセージに一つ一つお返事としてキャラクターがしたためてくるマジモンのオーダーメイドメッセージカードだったりする。実在性が怖い。
それはさておき。ハンフェス前にもキャラクターによるツイート企画は行われており、準備の様子や衣装の情報なんかを呟いてくれている。ファンのタグツイートにリアルタイムで反応することもある。ここからもハンセム運営の狙いとしては、キャラクターたちが実在すると思わせること、あるいは、ファンをハンセムの世界の中にいると錯覚させること、だったはずである。

そう言う流れで行われたハンフェスは、先ほど説明した通り「プロジェクトJOINUS(HANDEAD FES)」だった。パフォーマンスも、語った言葉も、何もかも――作中のイベントをそのまま目の前でやられた、としかいえない。
つまり、私たちが横浜ベイホールで、あるいは配信で見た「ハンフェス」は、すべて、キャラクターたちがストーリー内で経験する「プロジェクトJOINUSによるHANDEAD FES」のステージと全く同一だったのである。
キャラクターが目の前に下りたのか、我々がハンセムストーリーの世界に迷い込んだのか。どちらかは分からないが、明確に二つが交差した交点Xがあの日の「ハンフェス」だった。
今後ハンセムのストーリーで、「あのフェスで……」とキャラクターが語るとして、それは私たちがあの日の横浜ベイホールで目撃したものそのものなのだ。
そう考えると――私はなんだか未知の感覚にクラクラする。”現実とフィクションの融合”の一つの実現に思えてならない。

おわりに

結局、ハンフェスって何だったんだ?
私はずっとハンフェスのことを考えているけど、これをなんと呼称していいか分からない。
ライブと呼ぶには物語がありすぎるし、朗読と呼ぶには歌唱パートが厚すぎる。でも、LIVE&READINGとかそんなかわいいもんじゃないだろ。いっそミュージカル?と思ったが、それも全然違う……
なんというか……目の前にプロジェクトJOINUSがあり、HANDEAD ANTHEMがあったのだ。そういう経験だった、あれは。

HANDEAD ANTHEMというコンテンツは、あまり規模の大きいコンテンツとはいえない。だから、いつまで私たちに夢を見せてくれるんだろうと、考えることも、正直、ある。
けれど、あのハンフェスを見て、「このコンテンツ、まだまだおもしれ~ことができんじゃん!!!!」と思ったのだ。新しいことに挑戦して、未知なる可能性を引き出せている、と。
こんなに面白くて楽しい世界を見せてくれるのなら、私はこれからも安心してハンセムが大好きだと言い続けられる。
貴方たちがこれからも幸せな夢をくれるのなら、私は喜んで半分死のう。

おまけ 宣伝は基本!

ここまで、この長いnoteを読んでくださりありがとうございます。

もし、ハンセムを今まで知らなくて、興味が湧いた方がいたら……!という時のために、ここからは入門編です。

1:YouTube公式チャンネル
初期のボイスドラマはほぼすべて、それ以降は、一部抜粋の形で聞くことが出来ます。しっかり掘り下げが起こるのはDROPシリーズあたりからですが、雰囲気だけでもつかめるかと。
楽曲MVもあります!また、初期のイベント生朗読の映像もちょっとだけあります(演じ分けが見れてめっちゃ楽しいですのでお勧め)


2:楽曲
サブスクありまーーーーーーーす!!!!!!!!!
ほぼほぼ全曲あります。とにかくEDM曲なのでかっこよくて良し!です。
クリエイターは音ゲー界隈とかで有名な方らしいです。曲だけでも聞いてくれや
こちらはSpotify

DL販売やCD販売もあります。CDはアニメイトかNizistoreで売られています。
ちなみにJOYSOUND系列だったらカラオケにも入ってます!歌おう。

3:ボイスドラマ
ボイスドラマが気になる人!
初期は前述のとおりYouTubeですが、メインはドラマCDを追う形になります。
ドラマCDは基本的にNizistoreでしか売られておりません。
が!!!
なんと、最近、音楽配信サイトで単話売りをするようになりました……!!
気になるキャラクターの話だけ掻い摘んで、買って聞くことが……できます!!ワンコインで!!やったー!!
かな~り敷居が低くなったので、おすすめです。
▼DROP SERIES
▼TRACKS TRUST
▼TEMPEST
▼Butterfly EffecT-SKY-
▼Butterfly EffecT-WING-

4:各種円盤
いままでのライブイベントや朗読イベントは全部円盤出てまーす!やったー!!
ライブはどれも歌もダンスも上手すぎる最高クオリティだし、朗読イベント(これは歌唱がないやつで、番外編平和ストーリーです)は本当に生で全員登場のドラマをやります。すごい。
ダイジェストはこちら。


5:その他
キャラクタープロフィールや最新情報が詰まったHPはこちら


キャラクターツイート企画やイベント裏話スタッフコメントなども見れるTwitterはこちら


以上!!!!!
これにて本当におわり。
ありがとうございました、ハンセム君をよろしくお願いします!!

※サムネイルはハンフェス当日の会場の写真をフォロワーさんが快くお貸しくださいました。感謝!(自分で撮り忘れていたのじゃ……)

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