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【ライブレポート】2024/9/14 TOKYO CALLING2024@新宿

『TOKYO CALLING2024』初日の新宿会場に行ってきた。体力的な問題もあって、トッパーからの参加は諦めて、途中から。

明日も『TOKYO CALLING』なので、短めに各バンドのメモを残しておこうと思う。


Tsukisamu Mutton Network@新宿Marble

この時間帯、どれを観ようか迷っていた。事前に音源を聴き比べた結果、初めて目にする名前だったが、Tsukisamu Mutton Networkに決定。しっかり埋まったMarbleで、リハの段階から会場を盛り上げるメンバー。

歌舞伎町で食べたマグロの寿司が酷すぎる、あんな茶色なマグロ初めて見た!と道民として忌憚ない意見を述べて笑いを誘うなど、ライブ前からフロアは完全に温まっていた。

このトークスキル、どう考えてもルーキーじゃない…と思ったら喋りの主はアシュラシンドロームのメンバーでもある青木亞一人。ライブパフォーマンスから観客への煽りまで、実に見事。「爆裂ライブを見せる」と言った直後に「爆裂って何?恥ずい!」と照れる姿も面白い。

ミクスチャーの激しいロックサウンドが突き刺さりまくっていて、熱気もすさまじかった。TM NETWORKを敬愛しているとのことで、バンド名も略せばTMN。ライブ終盤には「Get Wild」('89のほう?)のカバーを披露。最近テレビでダンスボーカルグループもカバーしていた通称「ゲワイ」だが、バンドの生演奏による迫力はさすが。

この時間、彼らを選択したのは間違いじゃなかったと確信できる、めちゃくちゃ楽しいライブだった。

KNOCK OUT MONKEY@新宿HOLIDAY

2023年10月に活動休止し、今年5月に復活したノクモン。リハーサルからエンジン全開だった。「リハーサルじゃなくてリハビリやな!」と、w-shunからは活休を踏まえてのぼやきが飛び出したかと思うと「覚えてる?忘れてんちゃう?」とメンバーをイジったものの、リハ後「忘れてんの俺やった」ともう一度リハを促す場面も。

一度はけての再登場はしない、とそのまま板付きで始まった本番。フロアも心得たもので、感情の赴くまま、ダイブの嵐。個人的にも数年ぶりとなるノクモンだが、やっぱりライブは楽しい。最初に彼らを好きになった曲「JET」をはじめ、好物な曲をこれでもかと連投。

Hide with Spread Beaverの「ever free」カバーも痺れた。

東京滞在1時間だというノクモンの、この瞬間に懸ける想いが伝わってくるような激熱なライブだった!

RAINCOVER@新宿ACB

メロコア、パンクといったらここ、ACBだ。RAINCOVERはIMALABプレイリストきっかけで知ったバンドで、ライブも一度観てみたかったのでここをチョイス。

自分らの世代が観てきた、というか飛び込んできたあの、ぐちゃっとした、モッシュやダイブで荒れ狂う景色が目の前に広がっていて、なんだか微笑ましい気分。若い子らが抑えきれない感情をライブにぶつける姿に、かつての自分が重なって、懐かしい匂いが漂っているような感覚。

と同時に、テレビやチャートでは見えにくいものの、メロコアやパンクといった音楽が、今の若い世代にも受け入れられて、フロアがこれだけ熱くなるような時間を生み出していることが嬉しかった。

そして、わざわざ機材を後ろに配置したんだから、と前置きしてステージダイブを煽る辻出凌吾(Vo/Gt)の気合いもすごかった。

少年キッズボウイ@新宿Motion

彼らは社会人バンドということもあり、事前に告知していた通り、今日のライブではベースの服部とトランペットのきもすが欠席。代役として、ベースは東京カランコロンでも活躍していた佐藤全部(まさかの服部と同じレフティベーシスト)、そしてきもすに代わり、管楽器担当はテナーサックスのジャンゴを迎えてのライブとなった。

テナーサックスが入った少年キッズボウイ、かなり良いぞ。華やかでパンチの効いたトランペットとはまた違う、滑らかで柔らかい印象を与えるサックスの音色によって、楽曲の聴こえ方が全然違う。

前半3曲はライブやメディアでもお馴染みの、ブチ上げ系ナンバー。観客もめちゃくちゃノリが良くて、それにつられてステージ側も熱量を増すような相乗効果もあり、本数は少ないもののライブは絶対的に楽しいと保証付きな彼ららしい、楽しい時間が続く。

中盤に挟み込まれた「月刊ムー」、これは個人的にライブで初めて聴いたかもしれないが、アキラ(Vo)のボーカルをフィーチャーした、少年キッズボウイにしては珍しい“聴かせる”曲だ。着実にそのスキルを伸ばしていると思われるアキラの歌唱に引き込まれる、しっとりした時間を経て、「告別式では泣かない」でラストに向けて畳みかける。

最後の「ぼくらのラプソディー」まで含めて、「ちょっと観てみようかな」層がフラリ立ち寄るようなサーキットイベントながら、ステージとフロアの息がピッタリ合った、相思相愛のライブだったように思う。

ビルの5F、小さなエレベーター一基以外に移動手段なしという孤島のような環境ゆえ、熱心なファンが訪れていた可能性も否定できないが、とにかく楽しい30分だったことは間違いない。

ライブ終盤にはメンバーの服部も会場にかけつけた(「間に合った」が正確かもしれないが)。フロアで手を上げながら笑顔で、全力でライブを楽しんでいた姿も印象的だ。自分が所属するバンドのライブを、メンバー自身がフロアで盛り上がりながら観ているという構図、実に不思議な感覚だ。

今後もメンバーそれぞれの都合に合わせながら、随時サポメンを入れてライブ活動をしていくとのこと。それはつまり、その時々でしか観られない、唯一無二な少年キッズボウイを楽しめるということでもある。

まるでバンドそのものが生命体のように変化、そして進化する少年キッズボウイのこれからがますます楽しみだ。

1.ダイムバッグ・ヒーロー
2.最終兵器ディスコ
3.君が生きる理由
4.月刊ムー
5.告別式では泣かない
6.ぼくらのラプソディー

CHINESE HOODIE@新宿HEIST

この時間も誰を観ようか迷って、サブスクで試聴して楽しそうだったCHINESE HOODIEを選んでみたが、リハの段階から「大正解!」と思えた。

スカの要素も散りばめつつ、軽快な音に乗せてアグレッシブで破壊力のあるライブを繰り広げるようじ(Vo/Gt)、雷太(Ba/Cho)、はぎかな(Vo/Dr)の3人。

ライブが始まって早々にようじはフロアにいた観客(あれはスタッフ?)にギターを預けると、階段を昇った先にあるPA卓の壁にしがみつき、そこからフロアへ文字通りダイブ! 花団のガンプマンを彷彿させるようなパフォーマンスに驚いた。

観客たちは次々と容赦なくダイブする。フロアでのクラウドサーフだけでなく、独特な形をしたステージ構成(センターを頂点にカーブを描いている)をうまく利用して、軽やかにステージダイブを連発(カーブの頂点から跳ね返るようなステダイ)。後半には雷太自らもステージダイブを披露するなど、上も下もカオティックでめちゃくちゃ面白い。

はぎかなの高音域女声ボーカルが、ともすれば単調になりがちな“クイックポップパンク”に彩りを添えていて、高速系スリーピースにもかかわらず豊かな歌を繰り出していた。

ライブが終われば、はぎかなはセットリストが書かれた紙を紙飛行機にしてフロアへ飛ばすパフォーマンス。最初から最後まで、とことん遊び心溢れるライブに、新宿HEISTを出る際、思わずにやけてしまった自分に気づいた。

いいバンドと出会えた気がする。

COPES@新宿ACB

今日のラストは、ずっと観てみたかったCOPES。プロフィールにはメロディックポップ、と書いてあるが、スカパンク最前線バンドのひとつと言ってもいいかもしれない。メロコア×スカでいうと、SHANKやLONGMANなどの名が浮かぶが、彼らに近い系譜のバンドという印象。特にLONGMANは男女ツインボーカルという点でも共通項がある。

ギッシリ埋まったACBのフロアでキッズたちが大暴れ。今日のコーリングはずっとそんなライブばかり観ていた気もするが、COPESのライブもモッシュとダイブの大洪水だ。さらに途中、ちょくちょく気持ちのいいスカが入ってくるので、そのたびフロアはスカダンスの大群で埋め尽くされ、必然的に人が後ろに下がる(スカダンは手足を前後に振るので皆スペースを作るのだ)。フロア最後方で観ていた自分は、毎回押し寄せる「人の圧」と対峙しながらのライブだった笑。

もっと広い会場だったら自分も一緒にスカダンしたかったと思うくらい、COPESのライブも楽しかったし、やっぱりスカはいいな、と再確認。

ACBのトリということでアンコールも1曲プレゼント。タオル持って汗かいて、シンガロングして踊りまくって。自分が歳を取ったこともあるが、こうして若い世代がスカという音楽、スカダンスという踊りを心から楽しんでいる姿に嬉しくなってしまった。

いい音楽を浴びた日の疲れは本当に心地良い。3連休初日、最高に楽しい『TOKYO CALLING』だった。

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