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【復刻ライブレポート】2018/9/21 B'z LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI-

B'zのLIVE-GYM Pleasure 2018に行ってきました。90年代頭、中学生だったときにB'zを好きになって30年弱。昨年、ロッキンにて初めてライブを観ることができましたが、ワンマンとなると今回が初。特に90年代B'zが大好きなので、歴代の名曲を披露することで知られるPleasureツアーに参加することができて、期待に胸が膨らみます。チケットを取ってくれた友人に感謝です。

稲葉さんの喉の調子があまりよろしくないという話も聞こえてきて、期待だけでなく心配や不安な気持ちも抱えつつ、これまた人生初となる味の素スタジアムへと向かいました。

天気はあいにくの雨模様。飛田給の駅構内、もっといえば調布の駅から大混雑。駅の規模とスタジアムのキャパがミスマッチなこの状況にスタミナを削られながら、なんとか会場に到着。スタンド席ではありましたが前から2列目という良席に恵まれ、ポンチョを着て雨に耐え、いざ開演です。

楽器隊を雨から守るために簡易的な屋根が設置されたステージに、稲葉さんと松本さんが登場。大歓声に包まれながら、いきなりの『Ultra Soul』で幕を開けたB'z LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI-。数万人が一斉に拳を上げ、ジャンプする様は圧巻です。フェスなら最後の曲に使ってもおかしくないこの曲を頭にもってくる贅沢っぷり。この先どんな名曲たちが聴けるのだろうかとワクワクが止まりません。

2曲目は『BLOWIN'』。キタコレ。懐かしい、という感情よりも「大好きな曲!」という想いが先行し、テンションはすでに最高潮。無意識のうちに最初のワンフレーズ目からずっと口パクで口ずさんでいました。染みついているんですよね、歌詞が。考えなくても、思い出そうとしなくてもスラスラと出てくる…。ずっと引き出しにしまっていた宝物を取り出してみたら、全然色褪せていなかった。そんな感覚です。

曲を終えると場内は暗くなり、ステージは沈黙。しばらくこの時間が続きます。やはり喉をケアするため、インターバルを長くとっているんだろうか?

少しすると明かりが灯り、紙コップで水分補給する稲葉さんの姿がスクリーンに映し出されます。カメラに目線を送りつつゴクゴク飲み干す稲葉さん。ふと紙コップの底を凝視したと思ったら、それをカメラに向けてきました。紙コップに書かれていたのは「B'zのLIVE-GYMへようこそ!」という文字。B'zのライブでは定番の、開幕宣言です。このセリフは有名なので、ワンマンライブに行ったことはなくても、わかります。
再び底の文字に目をやり、口パクで叫んだあと、マイクをオンにして改めて「B'zのLIVE-GYMへようこそ!」と高らかに宣言。会場も怒涛の盛り上がりをみせ、いよいよライブが始まったぞ!と皆のスイッチが入る音がする、そんな瞬間でもありました。

どのタイミングだったかは忘れてしまいましたが、稲葉さんからこんなトークも。

「雨の中すいません!」
「ごめんなさいね」

「今日は我々がデビューした日」
「30年前にデビューしたんですけど」
「こんなんなっちゃいましたw」

音楽番組への出演時からは想像もできない、茶目っ気たっぷりな稲葉さんです。1988年9月21日にB'zはデビューしたんですね。ちょうど30年後のこの日にライブを観ることができるなんて、めちゃくちゃ幸せなこと。この幸運をしっかりと噛みしめながら、引き続きライブを楽しみます。

今日歌ってくれた曲のほとんどが自分にとってはライブで初めて聴くものばかりなわけですが、『TIME』とはまた痺れる選曲。90年代前半に世に出てからも長く輝き続ける名曲のひとつ。スクリーンには今のライブと同期するかたちで、過去のライブにおける『TIME』演奏時の映像が流れます。歌のタイミングがスクリーンとステージでドンピシャ。まさに30周年を彩るにピッタリの演出でタイムスリップしていろんな時代を巡っているような気分になりました。

さらに
“どうすれば時が過ぎる”
“激しい雨の街角で”
の歌詞のタイミングでは、歌詞とリンクする今のこのシチュエーションにテンションあがります。

『Love Me,I Love You』。何度も聴いたし何度も歌った曲ですが、ライブではまた違った一面がありました。個人的に予期せぬところで観客による手拍子が加わり、さらなる盛り上がりをみせます。ライブバージョンの『Love Me,I Love You』はこの手拍子によって完成するんですね。

すべての曲がそうだと言っても過言ではないんですが、『もう一度キスしたかった』もライブでどうしても味わいたかった曲のひとつ。切なくも美しい名バラードに味スタが酔いしれる。イントロの瞬間に両手を上げて喜んでいた友人の姿が一晩たってもまだ強烈に印象に残っています。

稲葉さんの歌声についてですが、正直言えばやっぱり本調子ではなさそう。本来であれば伸びのある高音域が、やや苦しそうです。それでも手を抜くこともなく、セーブすることもなく本気で歌うその姿勢がカッコイイ。

B'zには珍しく、振りのついている曲がある…という稲葉さんのコメントで次にどの曲をやるのか察するファンたち。これ踊るの夢でした…。ということで『恋心』です。「振りがついているから、曲の前にみんなに覚えてもらったほうが楽しいんじゃないか」との流れで、今年から始めたという稲葉さんによる振り付け指導が…!

味スタの全員、そして松本さんも加わって一緒に練習を何度も繰り返し、いざ本番。“松本に相談しようか”という歌詞の部分では、ハートマークで囲まれた松本さんの姿がスクリーンに映し出されるという演出もあり、ファンを喜ばせてくれます。練習した振り付けもみんな完璧。俺もしっかりと練習の成果を発揮しました。肝心の稲葉さんが途中で間違えてしまい、曲終わりに(やっちゃいました)と言わんばかりの表情を浮かべていたのがまた完璧なファンサービスだなとしみじみ。

そんな『恋心』から続いての『OH!GIRL』!この流れはたまらない…!イントロでもう気持ちが震える…!相変わらず歌詞がスラスラでてきて、なんとなく自分の高校時代なんかも思い出して、あの頃の自分と今の自分が交差するような感覚を味わいながら楽しみました。

『イチブトゼンブ』。この曲がリリースされた頃はB'zから少し離れていて、シングルはなんとなくチェックする、くらいの距離でした。個人的にもそこまでガツンときた曲ではなかったんですが、昨年のロッキンでのライブで聴いたときに、リリース当時とはまた違う感触があったんですよね。あれ?記憶の中の曲よりもカッコイイな、と。それは稲葉さんと松本さんのパフォーマンスによる魅力の積み増しがあったからかもしれません。この体験があったので、今目の前で始まった『イチブトゼンブ』が、以前とはまったく違う曲として飛び込んできました。9年も経ってから、ハマることになるとは。出合いは微妙でも再会して惚れることがあるんだなあ。

11曲目は『ZERO』。“もう真っ白!”ってくらいに頭の中はからっぽ。うれしい、たのしい、だいすき!状態です。これだけでも大満足だというのに、B'zはとんでもないサプライズをぶっ込んできました。

間奏時、ステージにいるカメラマンが稲葉さんをアップで映し出します。すると何を思ったか稲葉さん、カメラを奪うと逆にカメラマンにフォーカス。慌てて顔を隠すカメラマン。いやいや、スタッフだからってそこまで必死に顔を隠さなくても…って、え?え?うそでしょ?ちょ、待てよ…!

カメラマンに扮していた男は、当代きってのスター、木村拓哉でした。悲鳴のようなキャー――!!!という大歓声。あちこちでファン同士が顔を見合わせて興奮している…もちろん我々もマジか!と声出して驚いた。

正体がバレたあとは「30周年おめでとうございます!」とキムタクが叫び、『ZERO』のラップ部分を稲葉さんとふたりで歌うミラクルな瞬間が訪れる。眼福。ここでキムタクは退場し、場内に巨大などよめきを残していきました。

曲が終わると稲葉さんが「近くで見たらいい男でしたね!」と語り、そのままこの流れで「いい男揃いのバンドメンバーを紹介します」とキーボード、ギター、ベース、ドラムの各メンバーを紹介していきます。そして最後にギター、TAK MATSUMOTOこと松本孝弘の名を呼ぶと、ここから松本さんのギターパート。曲目は『星に願いを』。彼特有の強くて渋くて美しいギターサウンドによって奏でられるこの曲に、味スタもうっとりです。

国民的大ヒット曲でもある『ALONE』では稲葉さんがグランドピアノを弾きながら歌い、そのピアノの上に立ってギターを弾く松本さん、という構図。ドラマチックな曲に相応しい演出で世界観を作っていく。

白シャツ&黒パンツに衣装チェンジしての『LOVE PHANTOM』は、曲の途中で『HINOTORI』と入れ替わる構成。ステージ上部に設置されたHINOTORIのロゴ風照明演出とスクリーン映像によって、稲葉さんの体から炎が生まれ、火の鳥としてはばたくようなビジュアルが生まれます。『LOVE PHANTOM』とこの曲の続編的立ち位置だという『HINOTORI』のふたつが絡み合い、ふたたび『LOVE PHANTOM』へと集約していく。ラストは映像で何度も観た、あの演出。ステージ脇に設置されている鏡を見ながらサスペンダー、サングラス、マント、ハットと次々に装着。その様子は鏡上部に設置されたカメラによってスクリーンにも映し出されています。やがて数十メートルはあろうかという高さまで移動した稲葉さん(的な人)は、松本さんのギターから出る光線を浴びて撃たれたというシナリオのもと、あの高さからダイブ!伝説と言ってもいいあの演出を生で観ることができてもう感激です…。

キムタク以来のざわつき、どよめきで支配された味スタ。ここでスクリーンにはSprit LOOSEムービーが流れます。広大な荒野でカーチェイスと銃撃戦を繰り広げるB'zのふたり。だいぶお金のかかった撮影だし、ド派手だし、ふたりも若いし…と改めて見入ってしまいました。

『Juice』の際にはスタジアムに巨大な缶ジュース型バルーンが投入されました。多くの観客たちが“缶ジュース”にタッチすることによって、あちこちポンポンと転がっていきます。稲葉さんは「みんなが触れるようにまわしてください。自分だけが触れればいいって気持ちじゃなく」とより多くの人がこの演出に参加できるよう促します。

帰りの京王線内でとんでもない混雑に見舞われ、ドア付近で身動き取れなくなった時。近くにいたカップルのひとりが、スペースに余裕があるにもかかわらず奥まで詰めようとしない一部乗客に対して「稲葉さん言ってたよね、自分だけよければいいじゃなくてみんながHAPPYになれるように、って」とボヤいておりましたが、心の中で俺もうんうんと頷いてしまいました。

話が逸れました。『Juice』中には『NATIVE DANCE』『太陽のKomachi Angel』と2曲の要素も挟み込まれます。“アーイアーイアーイアーイアイー♪”の歌に合わせて手を上下させる振りを一緒にやったり

“あの娘は太陽のKomachi”
“Angel!”

“やや乱れてYO! Say”
“Yeah Yeah!”

というコンビネーションをやったりと、限られたセットリストの中で少しでもみんなが期待する曲を、楽しみたい場面を用意してくれるというホスピタリティに心も踊ります。

『Juice』のあとは、“Well”のひと言に反応してしまうほど染みついている『BAD COMMUNICATION』で後半最大のテンションに。聴きたいなあ、聴けたらいいなあと思う曲がこれでもかと続々投入され、毎曲イントロのたびに胸の中で絶叫。幸せです。

「普段の生活でたまったものを吐き出して」
「さらけ出して、ぶつけあって」
「元気になれたり」
「普段考え付かないようなアイデアを思いついたり」
「そんなことが起きる、そんな空間・時間」
「それがB'zのPleasureです」

そう語る稲葉さん。大歓声が沸き上がると
「みなさんが作ってるんですよ、この空間を」
「それがあるから、私たち、やめられないんです」
なんてコメントでファンの心を改めてギュウっと掴んでいく。

気づけば、不調と思われた喉も激しいシャウトの連発に耐え、若干のひづみを伴いながらもどこまでも伸びていくような力強さを取り戻していました。歌えば歌うほどにエネルギーを増していく稲葉さんのヴォーカルパワー、とんでもないです。

本編最後は『Pleasure 2018』。1番の歌詞は初代オリジナルで2番の歌詞が新作という構成。フジ系の『久保みねヒャダ』でも取り上げられていた主人公の人生の変遷を知ることができる、壮大なストーリーソング。最新版もとても味わいがあって深い歌詞でした。

さあ、ここからはアンコールタイム。観客からの求めに応えたB'zは、メインステージではなく「恥ずかし島」(by BUMP OF CHICKEN)とも呼ばれる、アリーナ後方に設置された小島のような小さなステージに登場。

小島付近にいるお客さんにとっては信じられないくらいの至近距離でふたりを味わえたはず。

「30年経って」
「これだけの人が観に、聴きに来てくれてるってことが」
「本当に素晴らしいと思います」
「奇跡です」

と松本さんが語れば、稲葉さんは

「30年、応援してくれたみなさんへの感謝の気持ち」
「放出できるものはすべて放出し」
「差し出したい」
「そういうつもりでやっています」
「でも」
「みなさんから貰っているもののほうが大きいなと」
「今日も、貰ってばっかりです」
「勉強になってます」

というメッセージを伝えてくれました。これだけのビッグスターがこんな言葉を綴り、いまだ「勉強になっている」と語る。やっぱり凄いです、このふたり。

最後に再び松本さんが〆てくれました。

「みなさんは俺たちにとって最高の」
「pleasureでtreasureです」

このステージでは『Brotherhood』を披露。小島にはB'zのふたりしかいませんでしたが、突然ドラムの音が聴こえてきたのでメインステージに目をやると、シェーンが叩いていました。遠く離れた味スタの両端で奏でられる『Brotherhood』のハーモニー。歌詞の内容とも相まって感情を動かされる名場面になりました。

この後、ふたりは左右に分かれてアリーナ後方から歩いてメインステージへと移動していきます。我々はメインステージ下手側のスタンド席にいたのですが、こちら側を歩くのは稲葉さん。反対側は松本さんでした。目の前、10メートルくらいの距離にいる稲葉さん。本物です。肉眼で、至近距離で初めて観て、実在していることを確認いたしました。言わずもがな、ではありますが言わせていただきましょう。本当にめちゃめちゃカッコイイです…!

メインステージに戻ると『愛のバクダン』、そしてイントロを聴くだけで胸が熱くなるほどに大好きな『RUN』の2曲を歌い、デビューからちょうど30年後のB'z LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI-は終演となりました。

一度はやってみたかった、終了時に全員でやる「おつかれー!」の掛け声も言えて大満足。ライブ後半には雨もやみましたが、雨中でのライブもいい思い出になりました。ポンチョのフード部分を被っていると音がきれいに聴こえないので、濡れてもいいからクリアな音を聴こう。そう思ってフードを脱いだこと、まったく後悔していません。

「私はやっぱりB'zが大好き!」と隣で友人が何度も叫んでいたけど、その気持ちすごくよくわかる。このライブ中、何度も思いました。そしてなぜ俺は好きになってから30年弱も、B'zのライブに行かなかったのかと思いましたよ。

また機会があれば、彼らのライブに足を運びたいと思います!

01.Ultra Soul
02.BLOWIN'
03.ミエナイチカラ
04.TIME
05.Love Me, I Love You
06.光芒
07.もう一度キスしたかった
08.恋心
09.OH!GIRL
10.イチブトゼンブ
11.ZERO with 木村拓哉
12.星に願いを
13.ALONE
14.LOVE PHANTOM~HINOTORI~LOVE PHANTOM
15.Sprit LOOSEムービー~Real Thing Shakes
16.Juice(NATIVE DANCE,太陽のKomachi Angel)
17.BAD COMMUNICATION
18.Pleasure 2018

EN.
19.Brotherhood
20.愛のバクダン
21.RUN

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