【ライブレポート】2023/2/3 LOW IQ 01 “Adjusted Tour”@千葉LOOK
LOW IQ 01がコロナ禍にゆっくり時間をかけて制作したアルバム『Adjusted』。最高傑作との呼び声も高い本作を引っ提げた全国ツアーが始まった。
LOW IQ 01初となる、全公演LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUSでの開催だ。メンバーはもちろん、LOW IQ 01(Vo/Ba)、フルカワユタカ(Gt)、渡邊忍(Gt)、山﨑聖之(Dr)の4人。
初日を千葉LOOKで迎えるという、ツアーバンドにとって最高のスタート。その瞬間を幸運にも目撃することができた。
さすがに初日ということでセトリ等のネタバレは避けつつ、ざっくりしたMCや感じたことなどを中心に、簡単に振り返ってみよう。
コロナの3年に慣れ過ぎて油断してしまったが、開演10分前に到着するとすでに物販スペースまで人垣が広がっており、まさにパンパンに埋まった千葉LOOKに圧倒される。人数制限もなく、マスク着用なら声出しもOK。すでに一部のライブハウスではモッシュも発生している、そんな状況でのイッチャンのライブが盛り上がらないはずもなく。
場内暗転してメンバーが登場すると、新たに人が入り込む隙間がないほど埋まっていたフロアも、ぎゅうっと前に人が詰めて後ろにスペースが生まれる、あの懐かしいライブハウスあるあるな場面も。
「ほどほどに~、ほどほどに~、あ・ば・れ・ろ!!!」というイッチャンの大号令で幕を開けたツアー初日。メンバーによる生演奏と、これに反応して拳を上げ、手を叩き、声を発してモッシュするフロアの化学反応により、CDやサブスクで聴いていた新曲たちに本当の意味で命が吹き込まれていく。
男女年齢関係なく、汗をかきながら弾け飛ぶキッズたち。倒れかけたところを拾ってもらったり、着地をフォローしてくれた人に両手を合わせて(ありがとう)と謝意を示す、あの感じがまた目の前で繰り広げられていることに思わず顔がにやけてしまう。
それはかつての景色のようでもあり、3年の沈黙を耐えたからこそ、以前とは異なる、より開放感を帯びた瞬間の連続のようでもあった。
惜しげもなく披露していく新曲たちに加えて、ライブ定番の人気曲やムーディなインスト曲も散りばめたセットリスト。イッチャンの引き出しの多さを実感する、ジャンル横断の多様な楽曲たちがフロアを時に激しく、時に穏やかに踊らせていった。
つい先日、ソロ活動10周年記念イベントを行ったフルカワユタカのことを、「自分のところでは“スター”でいいけど俺んときは“元スター”だからな!exつけてください」と釘を刺したイッチャンは、しのっぴ(渡邊忍)に「下ネタ禁止!」と指令を出して特技を封印。翼をもがれたしのっぴのMCが不発に終わる一幕も。
さらに、これだけの観客で埋まった千葉LOOKは久しぶりだと感慨深げのイッチャンだったが、満員御礼は千葉が地元の“デイリーヤマザキ”ことダゼ(山﨑聖之)の力だと冗談交じりのトーク。
また、Master of Musicで3組すべてのステージに出続ける偉業を成し遂げていたイッチャンだが、転換などで休む時間がない今日のような長尺のワンマンができるのか不安だったという。しかし、ライブ終盤には堂々「全然大丈夫です」と宣言。歳を重ねてもなお進化するイッチャンがそこに立っていた。
本編が終わった直後、アンコールでは何を叫ぶんだっけ!?という戸惑いを見せたフロア。「帰りたくない」と名残惜しそうなイッチャン。先輩と共にツアー初日に全力を出し切ったTHE RHYTHM MAKERS PLUSの面々。
今日のあらゆるシーンや言葉、パフォーマンスがなんだか愛おしく感じてしまう。時折換気もしながら、まだ明けきっていないコロナ禍での手探りでのライブは続くが、メンバーも観客も、どうか最後まで無事に駆け抜けていってほしい。
余談になるが、終演後のフロアに落ちていたKen Yokoyamaのキーホルダーを見つけたスタッフが「大事なものじゃないですか~?」とどこかにいるであろう落とし主に向けて声を発していたのも印象に残っている。
いい演者といい観客、そしていいスタッフによって作られた LOW IQ 01 “Adjusted Tour”初日、これにて終幕。これからさらに仕上がっていくに違いない今後のライブにも期待大だ。
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