【ライブレポート】2020/7/27 内田直孝 presents. 音物語~誕生ノ夜~
※2020/7/31 23:59までアーカイブ視聴可能です。
Rhythmic Toy Worldのボーカル・内田直孝の生誕日に開催された彼の弾き語りライブ、通常「音物語」。ゲストを迎えてのスペシャルな夜となったこの日の配信ライブをざっくり振り返ります。
オープニングはいつものように、『音物語のテーマ』と名付けられた曲から。ステージに一人、ギターを弾きながら歌ううっちーの姿が画面に映し出されます。
「楽しい時間にしようぜ!」と視聴者に向けてメッセージを飛ばすと、『インスタントラヴァー』へ。バンド編成なら激しいモッシュが生まれることもあるこの曲。なんともオシャレなアレンジが施されて聴きほれてしまう。歌のうまさ、表現力の豊かさが溢れている…。高音から低音まで自由自在に行き来するうっちーの歌声、ホントにすごい。
『十六夜クレーター』では曲中に「本当だったらこっからうちのギター、きっちゃんのギターソロ!」と叫ぶと自らの声でギターソロを繰り出します。この曲の聴き所のひとつは「クレーター」の発音。バンド編成時も同じような発音してましたっけ?これ、まだギリギリ間に合うのでアーカイブでぜひ味わってほしいなあ。
演奏が終わると会場にいるスタッフさんから拍手が。配信ライブではどうしてもステージとフロアのやり取りがオンライン上に限られるので、生の拍手はこちら側の気持ちを代弁して伝えてくれるみたいでありがたい。モニターの前にいる自分もこの拍手に合わせて自然と手を叩く。
今回の企画について、その発端は
「誕生日当日に歌を歌いたい」
「誰かに聴いてほしい」
というシンプルなものだったそうで、誰でも見られるように無料での配信に決めたとのこと。その代わりスパチャもあれば別途投げ銭も用意しており、気持ちに応じて支援ができるシステムになっています。
ここからはゲストを迎えてのセッション。まずはRhythmic Toy Worldからドラムの磯くん。誕プレで飲みセットを持参してやってきた磯くんですが、とにかく緊張感が半端ない。なぜかというと、実は今回、彼は本職のドラムではなくギターでの参加となるのです。
うっちーが磯くんのギターを聴くのは、一緒に居酒屋バイトをしていた時代以来とのこと。磯くんオリジナルソングという前フリからの、出だしのコードですぐ『さなぎ』とバレる、なんてくだりがありつつ、いざ本番。
磯くんの人柄が出ているような、優しい演奏がCRAWLを通じて我が家に届く。手元を見つめて一所懸命ギターを弾く磯くんが愛しくなってきます。普通は逆なんだろうけど、今日ばかりは歌い手であるうっちーが弾き手の磯くんに寄り添うように歌っていて、そんなふたりの姿が素晴らしい。
演奏を終えるとすぐに「ほおぉ…」と安堵のため息を吐く磯くん。「めっちゃ緊張した」と一言漏らしていましたね。ライブでギター演奏なんてやったことないそうで、ギタリスト磯村としてはデビューライブということになるでしょうか。とても素敵な演奏、お疲れさまでした!
続くゲストは同じくRhythmic Toy Worldからベース・須藤憲太郎ことDJ KENBO。得意の(?)ラップを引っ提げてのコラボ参戦です。冒頭の挨拶もラッパーらしくキメますが、うっちーから「もうちょっとアウトローな感じで」とリクエストが。これに応えるDJ KENBO、しかし「アウトローが安いぞ」とツッコミを入れられてしまう。
「悪そうなやつはだいたい友達、みたいな」とサンプルを提示されるも、この後の切り返しが実にすーさんらしくて好き。
「だってまわりいい奴らばっかだから」
曲にいく前に、うっちーは半笑いになりながら「(笑っちゃうから)今飲み物、食べ物入れている人は口の中を空にしておけよ」と注意を促します。
しかし、この後披露された「NO TITLE feat. a.k.a DJ KENBO」は笑いなんて一切なしの、1 SINGER & 1 DJによるマジなスペシャルユニットとしてのパフォーマンスとなりました。
PCから流れるトラックの上にカメラ目線でガッツリとリリックを紡ぐDJ KENBO。キーフレーズは“決めろよ己のジャッジメント”。本来の『NO TITLE』とは異なるのに、まるでこれがオリジナルかと思うほど歌とラップの構成がハマりまくっていました。
このコラボについて、うっちーからはこんなエピソードが飛び出します。
すーさんは以前、うっちーのライブに付き添った際、うっちーの歌を聴いて「今ならもっと書ける気がする」と今回のラップ用に歌詞を綴ったんだそう。「ベーシストの枠を超えた」と称される価値はあった、スペシャルユニットでした。
ここからは再びうっちーソロによるライブに戻ります。披露されたのは『メリー』。この歌についてうっちーはこんな風に語っていました。
「深い海に沈んでしまった船のお話を観て涙が流れた」
「それまで旅をした仲間との思い出があれば」
「どこにいたって一人じゃない、そういう歌」
「今の自分たちが置かれている状況」
「油断するとすぐひとりきりになっちゃう」
「そんな瞬間すぐつけこんでくるけど」
「今までのいろんな思い出や今自分のまわりにいる大切な人が」
「キミの、あなたの大切な光になる、そういう歌です」
この曲、初めて聴いた(と思う)んですが、なんという名曲でしょうか。ギター伴奏での弾き語りでも成立する曲だと感じましたが、打ち込みだからこそ味わえるスケールの大きさ、深さがあるような。ズンズン腹にくる低音リズムとボーカルエフェクトによる浮遊感。相反するふたつが混ざり合う面白さ。これはクセになりそう…。
もう1曲、うっちーソロが続く。数年前からウェディングソングを作ってほしいというリクエストがきていたそうですが、なかなかタイミングなく作っていなかったと。でも大切な日ができて、そのときに作ったのがこれから歌う『犀日』。
「『8535』という恋の歌があるけれど、それの続き、一つの幸せのかたちとして書きました」とうっちー。
ライブハウスで、目の前で聴くのもいいし、画面越しでもヘッドホンをして部屋を暗くして、ひとりで没入感に浸って聴くのもいい。特に『犀日』には自宅での視聴に合っているような気がしました。カメラマンが歌に聴き入っているように感じる、そんなカメラワークも曲にハマっていたし、あまり動きのない弾き語りでも、いや、弾き語りだからこそ丁寧に考えられた照明も良かった。
さあ、ここからまたまたゲストタイムです。残るRhythmic Toy Worldメンバーはただひとり、ギターのきっちゃんこと岸明平。ステージに登場するや「うしろのオーディション待ち感がすごい…!」と楽屋での緊張度合いが伝わってくるコメント。今回きっちゃんはギターではなくなんとピアノでの参加になります。選んだのは『ユメイロ』。きっちゃんはユメイロが大好きなんだそうです。
うっちーも、メンバーに愛してもらえる曲が作れているのは嬉しいと話し、あらためてメンバーに感謝していました。
「10年間一緒にいてくれてありがとう」
「20年、30年一緒に音楽やれているといいな」
「そういう未来に一緒に進んでいきたいと思ってます」
こんなメッセージにきっちゃんも、そして言葉を発したうっちーまでもが感動してちょっと泣きそうなふたり。ということでうっちー&きっちゃん改め「ウルウルズ」のライブです。
ギターソロでカッコよく決める稲妻のような姿とは対照的に、綺麗な指が滑らかに鍵盤を叩き、丁寧で優しさ溢れる演奏が響き渡る。時折インスタ等にアップする寝ぐせ画像なんか想像できないくらい、実に上品でした。ドラマチックなピアノアレンジによる『ユメイロ』を存分に堪能。余韻が…。
き「ガチだったね」
う「いつだってガチだよ」
う「俺たちは音楽に正直にしかなれねえんだよ」
こんなやり取りも最高です。演奏終了後のきっちゃんの魂の叫び「オーディション終わったぁ」も良かったな。
さあ、音物語も終盤。最後のコラボといきましょう。真空ホロウからボーカル・松本明人さんの登場です。今回のライブ開催が決まった日に即連絡して「お祝いしてくれ、歌ってくれ」とオファーしたんだそうです。それで快諾するという、ふたりの関係性がいい。
松本さんはうっちーへの誕プレとして、タコデザインのエフェクターを持参。これは以前、ふたりでYAMAHAに行った際、うっちーが「カッコいい」と言っていたモノだそうで、プレゼントを見た瞬間に本人がそれを思い出すという、この絶妙なチョイスが素晴らしい。松本さんがうっちーの発言を覚えていたことがもう、愛ですね。
今回披露するのは、松本さんのソロ曲「缶ビール」。松本さんがギターを演奏し、うっちーが歌います。今日初めて聴きましたが、出だしのリズムからして心掴まれる曲。そして言葉の転がし方がカッコいい。原曲がどんなテイストなのかもチェックしたくなります。うっちーがコーラスというのも、リズミックメインのライブが多い自分にはなかなか貴重。タイプの異なる美声のコラボ、良かったです。
曲を終えると、今日のライブについて松本さんのこんなコメントが。
「曲やるたびに(リズミックの)3人が“いい曲だねえ”と褒めてて、いいバンドだなあって思った」
いやもう、さすが我らのRhythmic Toy Worldですね。この4人なら20年、30年と続けてくれそうな気がする。
「缶ビールをいただいたので僕も缶ビールでお返ししたいと思います」とうっちー。次はメインボーカルとコーラスを入れ替えて『電影少女』です。“仕事終えて缶ビールを開ける日々”で始まるこの歌に、松本さんのコーラスがまたよく映える。うっちーが歌い出すタイミングを目で追いながらコーラスを合わせる松本さんの姿がいいんですよ。真空ホロウ、今までしっかり聴く機会がなかったんですが、これを機にもっと曲に触れてみようと思いました。
歌が終わるとサプライズでRhythmic Toy Worldの3人とケーキが登場。ろうそくの炎を吹き消したあと、メンバー3人と松本さんはステージから退場し、残ったのはうっちーとバースデーケーキのみ。
次が本日最後の曲。演奏前に、うっちーからはこんなメッセージ。
「俺の人生はメンバーとスタッフと出会ってから」
「大きく輝き出しました」
「応援してくれるみなさんも。」
「一日たりともみんなの顔が浮かばない日はない」
「この曲は作っているとき本当にみんなの顔が浮かんできて」
「今までの思い出ひとつも取りこぼしたくない」
「油断したらすり抜けていっちゃいそうな思い出や感情も」
「みんなの、俺の、メンバーの笑顔も涙も怒りも」
「全部未来に持っていきたい」
「そう思って作った曲です」
今日の11曲目『VITE』。2020年6月1日より配信開始したRhythmic Toy Worldの新曲です。コロナ禍でのいろんな思いを反映したような歌詞が今の自分にはめちゃくちゃ刺さる。悲しんでいるわけでも、ふてくされるわけでもなく。力強く前を向いて突き進む、そんなメッセージにふさわしい、CRAWLの温かい光がうっちーに降り注ぐ。この歌詞を、言葉を画面の向こうにいるファンにしっかり届けようという意思を感じるその表情が印象的でした。
歌のラスト。本来の歌詞にはない言葉が続く。
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あなたと会える日がくることを思って歌うよ
どんな曲があなたの鼓膜が届くかは
僕だけじゃない
仲間の力も君の力も必要だってさ
これまでもこれからもそして今日だってさ
ありがとう ありがとう 本当にどうもありがとう
また会おう また会おう また会おう
また歌おう一緒に
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この付け足した部分に思いが詰まってた。そしてこれは、ライブを観ていた人みんなが思っただろうけど、こちらこそありがとうだし、また会いたいし、また一緒に歌いたい。うっちーやRhythmic Toy Worldだけでなく、いろんなアーティストやバンドのことが頭に浮かんでしまう。それくらい今の状況下においては普遍的な思いなんだろうな。
みんなが元気な笑顔で、それぞれの推しに会える日がきますように。そして…うっちー誕生日おめでとう!
演奏終了後に告知された、8/1配信予定のRhythmic Toy Worldの新曲「CTOC」。ほんのさわりだけ聴けたけれど、これめちゃくちゃカッコいいぞ。フル尺で楽しめる日まであとわずか。ワクワクが止まらない!
セットリスト
01.音物語のテーマ
02.インスタントラヴァー
03.十六夜クレーター
04.さなぎ
05.NO TITLE feat. a.k.a DJ KENBO
06.メリー
07.犀日
08.ユメイロ
09.缶ビール
10.電影少女
11.VITE
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