【ライブレポート】2024/4/28 TOWER GIGS vol.2 0428DAY3 庄八 pre.@渋谷タワーレコードB1F CUT UP STUDIO
今回はレポートではなく感想という感じで、ゆる~く記憶を残しておこう。(と言いつつなんだかんだ膨らんでしまった)
本日のライブは、「TOWER GIGS vol.2」。芸人の庄八主催企画。庄八はインディー系のライブハウスに通う人なら一度は観たことがあるのでは、というくらい各ライブに出没する音楽通だ。SNS上でもインディーズバンドの音楽を紹介しまくっている人で、私も以前、彼の企画を観に行ったことがある。
【ライブレポート】2021/10/25 庄八から愛を込めて Vol.1@新宿SAMURAI
板歯目とインナージャーニーと少年キッズボウイがいるなら間違いない。ということでチケット買って行ってきた今回のライブ。タワレコ渋谷の地下にあるライブハウスも、かなり久々に訪れた。
調べてみたら、2018年2月の「Rhythmic Toy World『僕の声』発売記念ミニライブ&CDサイン会」以来、約6年ぶり!
バンド数も多く体力的に細かいレポはもう無理…なので6バンドざっくりいこう。
板歯目
サポートベースにTHE LAST MEALの木村を迎えてのライブ。よく考えたら前ベースのゆーへーもTHE LAST MEALだったはず…! 5弦ベースだし縦弾きするしスラップもバキバキだし、板歯目のベースをこれでしょ!というスタイルが素晴らしかった。
パワフルな板歯目そのものは健在だが、千乂はどこか肩の力が抜けて柔らかい印象も受けた。大和は鬼の形相でドラミング。この爆発力はさすがだ。
千乂は、ライブ会場となったタワレコについて「CD作ったことないんですけど、タワレコとかに置ける日がきたらいいなと思ってます」とコメントしていたが、ぜひともCD作ってほしいところ。
今日のセトリには「エバー」なんてちょっと懐かしい曲も入っていた。
千乂も大和も楽しそうにライブしていて、とりあえずはひと安心。板歯目としての新章を存分に楽しんでほしい!
セットリスト
1.ラブソングはいらない
2.ちっちゃいカマキリ
3.地獄と地獄
4.dingdong jungle
5.オリジナルスクープ
6.エバー
7.芸術は大爆発だ!
Lucie,Too
タワレコ渋谷の地下にライブハウスがあると知らなかったというChisa(Vo/Gt)は、つい先日までインストアライブをするつもりでいたそう。たぶんそもそも通常のライブハウスより予定が入ることも多くはないうえ、コロナ禍でガッツリ止まっていた期間もあるから余計、認知が広まっていないのかも。
MCでは主催の庄八について「X上でインディーズ音楽を紹介している人」と話してその投稿をチェックするよう「告知」したり、「(Lucie,Tooの)ライブによく来る人は、古い曲だ新曲だって気づく人もいるけど、初めて観る人はみんな新曲ですから」と語ったあと、「これ、“ベストアルバムも初めての人にはみんな新曲だから”って宇多田ヒカルさんがテレビで言ってて、かっけえーーって。…全部言っていくスタイル笑」と元ネタ暴露で笑いを取ったりと、言葉でも心を掴んでいくバンド。
直前にやった板歯目のライブを「強い」と表現して、「あたしたちも負けずにぶっ殺していきたいと思います。…次の曲めちゃおとなしめですけど」と落とすなど、口が達者。
曲紹介も、タイトルではなく「暑い中、日陰のような曲」「物申す歌」という具合に、やっぱり言葉に重きを置いている印象。
もちろん歌もとても良くて、ヒカリ(Ba)が重ねるコーラスも含めて聴きどころがたくさんある、そんなライブだった。
iCO
イヤモニから音が流れない(?)という機材トラブルが吉國唯(Vo/Gt)、さらにはサポートギターにも同時発生し、冒頭2曲ほど演奏したところで一旦中断。スタッフたちが対応する間、吉國とサポートギターのトークで穴埋め。すると突然「うぁぁぁぁ」とふたりが声を上げる。どうやら音が通った模様。ふたりの耳の中で起きていることなので観客には伝わらないが、ちょっと面白い瞬間だった。
肝心のライブはというと、吉國の歌声の表現力が素晴らしかった。可愛らしい声、強い声、キレのある声など、いろいろな顔を見せてくれる。また、フロアをゆっくり見渡して観客と目を合わせながらの歌唱は、堂々としたもの。カリスマ感すらある吉國に対して、ヒロチカ(Dr)は笑顔を浮かべて楽しそうにドラミング。ステージの前と後ろで対照的なふたりの姿も面白かった。
インナージャーニー
圧倒的なポップソング群がすごい。ライブで何度か聴いたくらいの曲でも全部自分の中に刷り込まれてたことにビックリ。1曲目「クリームソーダ」から始まって、「Walking Song」「RIP」とたて続けにキャッチーで耳に残るメロディとフレーズが押し寄せてくる。
カモシタサラ(Vo/Gt)の歌声がポップなサウンドとの相性バッチリで、曲のもつキャッチーさをさらに増幅させている感じ。
また、とものしん(Ba)はMCで、以前インナージャーニーのCD発売に合わせてタワレコ渋谷でパネル展をやった際の悔いが残るエピソードを披露。CD購入時に抽選で展示パネルが当たるというキャンペーンにて、紆余曲折あり、アーティスト写真が写ったパネルをとものしん本人が受け取ることに。タワレコスタッフにアーティストだと気づかれることなく店頭引き換えも完了。これはネタにするしかないと考えて「(本来お客さんが貰う)アーティストが写るパネルを抱えるアーティスト本人」という写真を撮ってもらおうと近くのお客さんに事情を説明したうえで写真撮影を依頼。
しかし、照れもあり、説明部分が小声になってしまいちゃんと伝わらず「写真撮ってもらっていいですか」だけ理解されたらしい。結果、ナンパだと思われて「そういうのいいんで」と拒否されてしまうという悲しくもおかしいエピソード。そんなトークの直後に演奏するのはよりによって「グッバイ来世でまた会おう」。とものしんが破顔しながらプレイに入っていったのが印象的だった。
音楽でもMCでもフロアを盛り上げて楽しませてくれたインナージャーニー。そういえばサウンドチェック時に板歯目の「地獄と地獄」のフレーズを弾いていた。サービス精神旺盛だ。
Superfriends
演奏前から漂うベテラン感。あとでSpotifyのアーティストプロフを確認したら、塩原(Vo/Gt)、前田(Dr)、谷(Ba)による3ピースバンドで、2005年結成とのこと。10年選手、と記載があったが今はもう20年選手。そりゃベテランだわ。
サポートでトランペットが入っていて、同じくトランぺッター・きもすを擁する少年キッズボウイとの連続性も垣間見られる出順。
ライブ冒頭、いきなりベースの音が出ないというトラブルにも「しばしご歓談を」とコメントしてさらり受け流すあたりはさすがの経験値だろうか。
メインボーカルは塩原が務めており、終始穏やかな雰囲気のなかで披露される、英語詞での歌唱がとても心地よかった。また、谷がメインボーカルを務める曲もあったり、出番を終えたサポートのトランペットがライブ途中でステージから去って3人編成での演奏となったり、いろいろと動きもあるライブも楽しかった。
少年キッズボウイ
ステージに出る前の気合い入れが聞こえてきて、そこで会場からは拍手が飛ぶ。登場SEの「学園天国」が流れると、観客は完全にライブモード。SEなのにコール&レスポンスが始まって、最高の立ち上がり。
1曲目は「君が生きる理由」。実は他のバンド同様、こちらも機材トラブルが発生していたようで、特にアキラ(Vo)の声が最初ほとんど聴こえず…。それでも、ショウマストゴーオン。途中で復活するも、これ以降でも時折聴こえづらくなる場面もあった。
しかし、多少のハプニングなど今の少年キッズボウイの超弩級なエネルギーの前では軽く消し飛んでしまう。2曲目「海を見に行く」の頃にはマイクトラブルも多少持ち直した感があったが、何よりステージ上の華やかな7人のおかげもあって、それほど気になることなくライブを楽しめた。
今日のMCは山岸(Gt)がグイグイ引っ張っていく。タワレコ渋谷でのライブに感無量な山岸は、高校時代、埼玉の田舎から片道2時間かけてここに通ったんだそう。そこでシャムキャッツやceroのCDを買っていたというエピソードを披露するが、言われてみれば今日の山岸の衣装は、実に「っぽい」スタイルだ。
「話を渋谷から下北沢に移しましょう」と告げた山岸は、本多劇場にて開催されたダウ9000の単独公演にテーマ曲を提供したことを報告。そして、すでに配信も始まっている注目曲「ダイムバッグ・ヒーロー」が披露された。
ここでさらにギアが上がるメンバーたち。ステージ上で跳ねまくるアキラを筆頭に、吠えるこーしくん(Vo)、ギラ―ソロをプレイするカツマタ(Gt)、トランペットを高らかに演奏するきもす(Tp)など、ポップでド派手なパフォーマンスをこれでもかと繰り出した。
圧倒的な「陽」を全身に浴びて、気持ちがグングン火照っていく。
彼らにとっての“挨拶曲”でもある「スラムドッグ・サリー」では、曲冒頭でアキラの挨拶フレーズが入る。通常なら「Hello、Guten Tag 、こんばんは」と語るところを「タワレコ渋谷、踊りましょう!」とアレンジし、「We are the 少年キッズボウイ!」と続ける。「ダイムバッグ・ヒーロー」の勢いをそのまま引き継いで、激熱プレイが止まらない。ステージ下手端でレフティベースを駆使する服部も、小柄な体から爽やかな笑顔を振りまいていた。
2度目のMCで、山岸が「途中でGBさん(Dr)と目を合わせようと後ろ見たら、“タワーレコード”のバックドロップがあって、超いいっスよこれ!」と話すと、すかさずアキラが「コイツこういうとこあるんだよな。(自分が)気持ちよくなる」とバッサリぶった切っていた。強い言葉尻から逆にその良好な関係性が浮かび上がる、そんなやり取りも楽しい。
5曲目「ぼくらのラプソディー」では、こーしくんの激唱からアキラの滑らかな歌声にスイッチする、この切り替えが絶妙だった。服部の奏でるベースラインも抜群に気持ちいい。GBのドラミングもそうだが、派手&パーティ感のあるステージングに隠れがちながら、個々の演奏パートも純粋に聴いていて楽しいのが少年キッズボウイだ。
本編ラストは「最終兵器ディスコ」。会場中が手を上げて左右に振る、いわゆるワイパーで盛り上がる景色は圧巻。
ステージを去ったあとも再登場を求める手拍子は止まず。そんなアンコールで「用意していなかった」と語った彼らが披露してくれたのは、本日2度目の「ダイムバッグヒーロー」。「もう聴いたよ」ではなく「また聴ける!」のテンションでブチ上がるフロア。
6組出演、しかも各バンドにちゃんと観客が付いていて、それぞれに盛り上がるイベントのトリで、これだけ多くの人たちが最後まで残って楽しんでいる。庄八が組んだこのブッキングの素晴らしさはもちろんのこと、各バンドがキッチリと自身の魅力を発揮しながらバトンを繋いだ結果ともいえるかもしれない。
セットリスト
SE 学園天国
1.君が生きる理由
2.海を見に行く
3.ダイムバッグ・ヒーロー
4.スラムドッグ・サリー
5.ぼくらのラプソディー
6.最終兵器ディスコ
EN.
7.ダイムバッグヒーロー(2回目)
ちなみに、トッパーの板歯目から、少年キッズボウイのGBやアキラ、こーしくんなどはフロア前方(GBとアキラは右端柵前最前列かぶりつき)で大盛り上がり。一方の板歯目も千乂がフロアで手を上げて、身体を揺らして少年キッズボウイのライブを楽しんでいた。
他のバンドマンたちも彼らと同様に、皆のライブを観て盛り上がっていた。
対バンへのリスペクトもそうだが、純粋に音楽が好き、ということが伝わってくるグッドオーディエンスな出演者たちの姿は最高に美しい。
17時半開演、21時半終演という4時間のライブ。足腰は重いが、心は軽い。GW真っ只中の日曜夜にめちゃくちゃ楽しい思い出ができた。
(個人的にいろいろ縁がある少年キッズボウイ。今回、某メンバーと、さらに深い縁があることが発覚したのも大収穫)