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【ライブレポート】2022/9/23 板歯目 全国TOUR2022夏「爬虫類超絶大空ぐるぐるタケコプター!そんじゃあ3人でレッツラゴー!」@吉祥寺ROCK JOINT GB

板歯目にとって初となる全国ツアーのファイナル公演を観てきた。雨の中、大勢の観客で埋まった吉祥寺ROCK JOINT GBでの記念すべきライブを振り返る。

フロア前方エリア、そして一段上がった後方エリアも、人をかき分けないと移動できないほど、多くのファンや関係者が駆けつけた本公演。

開演時間を迎えると、千乂詞音(Vo/Gt)による影アナが流れる。「今日はメンバーも楽しみにしてるのでみなさんもいい感じに楽しんでってください。それでは開演です!」

そして「ミッションインポッシブル」のテーマが流れ、やがてメンバーがステージに登場する。

ツアーファイナルは「ラブソングはいらない」で幕を開けた。千乂の気合十分なシャウトが轟き、早くもフロアには無数の拳が上がる。オープニングナンバーとしてじゅうぶん過ぎるほどの破壊力を発揮していた。

続く2曲目は「芸術は大爆発だ!」。激しいサウンドの中で奏でられる、ゆーへー(Ba)による美しいベースラインに思わず聴き惚れる。

さらにライブは怒涛の勢いを見せ、「コドモドラゴン」から「コモドドラゴン」、そしてラストに「コドモドラゴン」のフレーズを入れ込みながら、ノンストップで「まず疑ってかかれ」まで一気に披露。このテキストを見て、コピペミスってる?と思われても仕方ないが、遊び心のあるタイトルの曲たちを、遊び心たっぷりに混ぜ込んでフロアを熱くしていく板歯目。

最初のブロックを終えると、観客からは大きな拍手が沸き起こる。MCで千乂は「東京に戻ってこれて、人がいっぱい来てくれて嬉しいです。ありがとうございます」と短く挨拶すると、トークを早々に切り上げて次のブロックへ。

ゆーへーによる圧巻のベースソロで始まる「ちっちゃいカマキリ」は、ベースと庵原大和(Dr)によるドラムが生み出す疾走感がたまらない。インスト曲としても楽しめそうな長い間奏、そしてボーカリストとしてでなくギタリストとしての一面も見せる千乂のプレイも楽しめる。極めつけは、終盤に繰り出される3回の転調。どんどんキーが上がっていく様は楽曲の勢いを加速させるだけでなく、あらためて千乂の圧倒的なパワフルボイスを感じさせてくれる。

ライブ全編通して丁寧な照明演出だったが、7曲目「エバー」のイントロでは光を激しく点滅させるド派手な照明で、曲のエネルギーを引き出していた。

さらにキャッチーでポップなメロディと迫力を兼ね備えた「dingdong jungle」から、バッチバチのギターロックな「KILLER,Muddy Greed」という流れが、ライブのグルーヴを増大させていった。

2回目となるMCブロックで千乂は、今回のツアー中にリリースした新曲やアルバム曲をこのファイナル公演で披露できることが楽しいと語る。さらに、曲を終えた後、今までは「ありがとうございます」と言っていた場面で「ありがとう」という言葉が出たことについてコメント。

「気がでかくなってるの、うざくない?笑」
「調子乗ってるみたい笑。そんなことないです、来てくれてありがとうございます」

と、千乂らしさが溢れる一幕も。

「曲もいっぱいあるし、もういい?」と自らサッとMCを切り上げて、ライブは後半戦へ突入。

まずは新曲。ツアー中に作ったとのことで、サウンド面は骨太ロック。歌詞では台風や大雨について触れており、まさに2022年夏を反映した一曲となっているように思えた(歌詞をしっかり聞き取れたわけではないので間違っている可能性あり)

また、「アンチョビットマシンガン」は千乂が作詞・作曲した楽曲。言い方や抑揚を変えながら、《アンチョビットマシンガン》をひたすら連呼し続けるというぶっとんだ曲だ。

新曲、「アンチョビットマシンガン」、そして「黒いカラス」までの3曲を、流れるように音を切らさずにパフォーマンスする板歯目。MCの前後以外で音が切れる瞬間は2~3回程度しかなく、ライブ中ずっと音を鳴らし続けていた3人は、隙間を作らずひたすらにバンドサウンドを届けまくっていた。

怒涛のライブに大きな変化がもたらされたのは、2曲のバラードが演奏されたとき。最新シングル「おもちゃ箱はタイムマシン」は、どこか感傷的なギターフレーズとスケール感のあるサビにグッとくる。もう一曲の「駄菓子屋」は、幼少期の思い出から想起されたかのような、ノスタルジックな歌詞が鼻の奥をツンとさせるようなロングバラード。

激しく爆発的な曲が強い主張を持ち、ライブでも大いに盛り上がる板歯目だが、アルバムに収録されたバラードにも名曲がたくさんあるので、ぜひチェックしてほしい。イベント等のショートセットではなかなか披露されない曲を、こうして2曲も味わえるのはワンマンライブならではの贅沢といえるだろう。

スローテンポ×スリーピースという、音の密度が薄くなる状況で、リズム隊による巧みな演奏力がさらに際立つという点でも味わい深い時間となった。

ここで本日2つ目となる新曲を披露。獰猛な視線をフロアへと放つ千乂、そしてステップを刻みながら演奏するゆーへーと、それぞれが個を輝かせると、大和のドラムソロ&絶叫を挟んでライブ鉄板の盛り上げ曲「Ball & Cube with Vegetable」を解き放つ。

もはやステップを超えてダンスを舞うゆーへーの自由なパフォーマンスもまた、板歯目のライブの見どころのひとつかもしれない。

MCでは、たくさんの人が来場してくれたことへの感謝を伝えると、照れ隠しなのか苦手なMCを早く締めたいのか「おしまいにしよう。もう終わり!閉店閉店!」と告げる。そしてラスト2曲となる、最新アルバム収録の「でっかいサンダル」と活動初期からの楽曲「バトルカメ」を演奏し、本編は終了となった。

ツアーファイナル、本編だけで終わるはずもなく、アンコールの手拍子に促されてメンバー再登場。

アンコールを始める前に、千乂からちょっとしたMCがあった。詳細はあえて省くが、今回のツアーで「女に生まれたことをめっちゃ悔やんだ」「男に生まれたかった」という出来事があったという。様々な葛藤を経て、こうしてほぼ満員と言っていい観客の前でツアーファイナルができることに、感情が爆発して泣き出してしまった千乂。そんな彼女に、観客たちからは温かい拍手が送られていた。

話す予定ではなかった、というMCを経てのアンコール1曲目は「Holy Crazy」。《今あたしは誕生したよ》で始まる曲は、意図せず先ほどのMCとどこかシンクロするミラクルを起こしていた。

アンコール2曲目が始まる前には、巻物に書かれた歌詞を朗読するゆーへーの姿が。読み上げた巻物をフロアへ放り投げると、アンコールラストの「地獄と地獄」がスタート。

ユーモラスであり、それでいて板歯目としての開幕宣言のような清々しさも帯びた歌詞と予想もつかないようなメロディ構成に、まさしく彼女たちらしさが詰まっている、名刺代わりの一曲と言えるかもしれない。

曲中、ステージ中央に設置された台の上にベースを“仰向け”に置き、まるで琴のようにプレイするゆーへーのパフォーマンス。この“琴ベース”、初めて観た時の驚きは今も忘れない。

まるで嵐のようなステージを繰り広げ、ステージを去る3人。場内には明かりがともり、BGMも流れ、観客たちはドリンク交換や出口へと移動を始める。そんなタイミングで、なぜかステージに再々登場するメンバーたち。

「ただいま」「やりたい曲があったのに完全に忘れてた」

そんな千乂の釈明があったが、当然観客は大盛り上がり。結果的にダブルアンコールとなった、正真正銘ラスト2曲が演奏された。大和がフロアを煽り、「フリーダムスタンダード」が始まる。観客の興奮に負けないくらい、とびきりの笑顔を振りまきながらドラムを叩く大和の姿が印象的だ。

そして最後を飾ったのは「沈む!」。「私が間違えちゃったので動画撮っていいよ。撮ってもいいし撮らなくてもいいし。フラッシュ焚いても焚かなくてもいいよ」と、自由に楽しんでほしいという思いも伝えながらのラストパフォーマンス。

鼓膜を震わせ、そのまま脳天まで直撃する千乂の圧倒的ボーカル、何かに縛られることなく、自由に表現するゆーへーのベースプレイ、そして確かなテクニックで暴れ馬のような楽曲たちを御する大和のドラム。

3人が生み出す、ものすごい爆発力をもったライブは、観る者の記憶にしっかりと刻まれるだろう。まだ十代というあどけなさも顔を覗かせながら、一方で十代とは思えない歌と演奏で会場を支配する板歯目。

日々成長する彼女たちに、ますます注目したくなるツアーファイナルだった。

01.ラブソングはいらない
02.芸術は大爆発だ!
03.コドモドラゴン
04.コモドドラゴン
05.まず疑ってかかれ
06.ちっちゃいカマキリ
07.エバー
08.dingdong jungle
09.KILLER,Muddy Greed
10.新曲
11.アンチョビットマシンガン
12.黒いカラス
13.おもちゃ箱はタイムマシン
14.駄菓子屋
15.新曲
16.Ball & Cube with Vegetable
17.でっかいサンダル
18.バトルカメ

EN.
19.Holy Crazy
20.地獄と地獄

21.フリーダムスタンダード
22.沈む!



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