【復刻ライブレポート】2018/1/28 フルカワユタカ presents「5×20」@新木場
フルカワユタカのソロ5周年、そして音楽活動20周年を記念したイベント【フルカワユタカ presents「5×20」】に行ってきました。ズラリと並んだ豪華ラインナップ。自分がナンバーワンだというプライドを持ち、孤高の男という印象が強かったかつての“ロックスター”からは想像できない内容となった「5×20」を各アーティストごとに振り返りたいと思います。
the band apart
フルカワユタカ祭りのトップバッターを任されたのは、同じく20周年を迎えるバンアパ。相変わらず、と言ったら乱暴ですが、丁寧かつ巧みな演奏と荒井さんの美声にコースト中が酔いしれています。
下手側に原さん、センターに川崎さん、センター奥が木暮さん、上手側に荒井さん。ギタリストが中央、ボーカリストが右端という、あまり他のバンドでは見ない配置です。
英語詞、日本語詞を織り交ぜた楽曲群。もともと英語詞で歌っていたバンアパが日本語詞を取り入れた直後はなんだか不思議な感じがしたものですが、今となってはすっかり耳なじんで、『夜の向こうへ』も気持ちよく楽しめました。
個々のキャラクターはめちゃくちゃ面白くて楽しいおじさんたちなのに、奏でる音楽は日本でも有数のお洒落さを纏っているという、本当にユニークなバンドです。
原さんMCでは、具合が悪くて医者に行ったらインフルエンザB型だと診断されました、という発言。さらに「でも今日はどうしても休めないんで…」という恐ろしいコメントが続いて会場がざわつくも「嘘です」と。
「少しはヒヤッとしたほうがいいよね。平和ボケしちゃってるから。帰ったらちゃんとうがいして」という原さんらしいピリっと辛口な言葉。
『夜の向こうへ』でライブ終わりか…と思いきやもう1曲、聴き覚えのあるギターが刻まれ、始まったのはドーパンの『Transient Happiness』!スターも出てきてバンアパをバックに歌うという、今日ならではの豪華コラボに1バンド目から大満足。楽しいお祭りの幕開けにふさわしいライブパフォーマンスとなりました。
01.see you
02.ZION TOWN
03.higher
04.Castaway
05.Eric. W
06.夜の向こうへ
07.Transient Happiness
FULLSCRATCH
バンアパのときは1F上にある通路あたりで観ていたんですが、ここからはフロアに降りての観賞。個人的には2008年3月以来となる、FULLSCRATCHのライブです。
バンアパは「ROCK STAGE」と名付けられた、コーストのメインとなる大きなステージでのライブでしたがFULLSCRATCHはフロア下手奥に設置されたコンパクトサイズの「STAR STAGE」でのパフォーマンス。
今日発表済みのラインナップの中で最もパンク色の強いビジュアルと音楽性。ステージ前列あたりにはいわゆるキッズな人たちの姿もちらほら。
今日がバンド史上初の新木場スタジオコーストでのライブだという彼ら。「しかもSTAR STAGE…!」と、そのステージ名に大変満足している様子。今日の主役であるフルカワユタカについて、メンバーそれぞれが彼との思い出を語り出しま…せん。「思い出、ある?」「ない」「ない」とまったく話は広がらず…。
ステージで思い出を語るなんて照れくさいわ!という雰囲気が伝わってきます。「あいつが東京ドームでライブするときには、俺らは東京ドームの前でストリートライブするわ」っていう、彼らなりのエールに痺れました。
短くて速い曲、激しい曲を連発してフロアに火を点けるFULLSCRATCH。客上を転がるタイバーも目撃しましたが、それくらい熱いライブとなりました。
「拍手とかキャーキャー言われるのとか慣れてないんで」と若干戸惑い気味というか、そんな環境を自らイジって楽しんでいるような彼らのスタイルが気持ちいい。
STAR STAGEの一番手として、しっかりと爪痕を残すステージだったと思います。
FRONTIER BACKYARD
イベント開演直後くらいに到着したのでバンアパでも実施していたかどうかわかりませんが、FBY登場前にステージに現れたスターは、自らのマイクでFBYを呼び出しました。主催者ということで、今日のROCK STAGEでは毎回これをやるのかな?と思いましたが結局FBY以降、この演出がなされることはありませんでしたね。
ボーカルTGMXさん、ドラムTDCさん。そしてサポートとして鍵盤部隊のSAWAGI・コイチさん、LEARNERS・CHABEさん、KONCOS・太一くん。そしてトランペットがTHE REDEMPTION・マイちゃん、サックスがスキャフル・NARIさん。
この大所帯で演奏されたFBYの曲たちは、ギターサウンド時代よりも遥かにパーティ感が増している。元々キラキラした音楽を鳴らすFBYですが、鍵盤3つに管楽器2つが加わり、キラキラがグンと強まってます。そんな音にTGMXさんの綺麗な声がまたうまくマッチしているんですよね。
脚がついたままの鍵盤を持って暴れまくる太一くんの姿にテンションも上がります。溢れる衝動が抑えきれない、彼らしさは健在。
どの曲のときだったか忘れましたが、TGMXさんはフロアに降りてきて、上手側を移動しつつそのまま1F上通路経由でフロア反対側、下手へと歌いながら歩いていく。CHABEさんもフロアに降りていたのかな。そしてSTAR STAGEにたどり着いたTGMXさんは「フルカワユタカ、惜しい人を亡くしたけど忘れないであげてください!」と叫んで勝手にスターを故人にしてしまう。ふたりが築いてきた関係性があるからこその愛のあるイジり。
TGMXさんがプロデュースした曲ということもあるので、当然っちゃあ当然の演奏となりました、ドーパンの『Transient Happiness』withフルカワユタカ、本日2回目。
1年前、LOW IQ 01さんとTGMXさんのライブにて、先輩にちょっかい出されていたスターはまだ後輩としての立ち居振る舞いに慣れてない感じが出ていました。でも今日のスターはそんなことなくて、後輩という立場を心から楽しんでいるみたいです。そんなスターを観るこっちもホントに楽しい気持ちになってくる。
『Putting on BGMs』でTGMXさんにタオルで顔を覆われて、ブラインドタッチでキーボードを操ることになったコイチさん、素晴らしかった。
メンバーが抜けてもサポート陣の活躍もあり、FRONTIER BACKYARDはむしろ輝きを増してるのでは、とすら思える楽しいライブでした。
01.higher
02.MUSIC IS A BASIS
03.city lights
04.Fun summer ends
05.TWO
06.Transient Happiness
07.Putting on BGMs
08.hope
ホリエアツシ
ザ・新年会以来約2週間ぶりのホリエソロ観賞です。STAR STAGEにてサウンドチェックが終わり、すでに静寂に包まれた会場の空気を察して、まだ時間じゃないけれど始めますか、とライブスタート。
最初の2曲はent。その後はテナーの曲を弾き語りするホリエ。ザ・新年会というイベントでの内容と比較すると、圧倒的に声が出ていましたね、今日のほうが。実際、ザ・新年会のときには本人もすっかり正月休みを満喫していて、歌うのは今日が今年初と言っていましたから。あれからスタジオにも入ってリハを重ねていたんでしょう。『灯り』も高音域を見事にコントロールして美声を響かせます。
スターとのエピソードでも笑いを交えて、会場を楽しませながら語りました。
以前、弾き語りライブで一緒になり、その流れでソロとしてこのイベントに誘ってもらったそうなんですが、いざ詳細が明らかになると、ほかはみんなバンドでの出演。なんで俺はソロなの!?と思ったんだそうです。
知り合った当時はお互い、ささくれ立っていたと。若いころはみんなそうだったんだと。華やかなスター街道を走るフルカワ氏に対し、自分たちは地下から這い上がっていくような活動をしていたこともあり、なかなか接点も多くはなく。仲良くもなかったと言います。
今はとっつきやすくなっているので仲良くしましょうと、袖にいるであろうスターに向かって語りかけるホリエ。
そんな彼ですが、バンアパやFBYに続いて、耳なじんだギターコードを奏でてスターを登場させます。弾き語りバージョンの『Transient Happiness』、本日3回目。
2バンドが演奏しているのを見て羨ましくなり、荒井さんに教えてもらいましたと演奏後に打ち明けるホリエでした。
最後に歌ってくれたのは『彩雲』なんですが、直前の『Transient Happiness』がどうにもツボだったのか、歌いだしで失敗してやり直し。弾き語りならではの緩くまったりした空気の中でホリエの温かい演奏会は幕を閉じました。
Forever and Ever/ent
Autumn Nightmare/ent
REMINDER/ストレイテナー
灯り/ストレイテナー×秦基博
Transient Happiness/DOPING PANDA
彩雲/ストレイテナー
ACIDMAN
『最後の国』のSEが流れた瞬間に場内の空気が一変。フルカワユタカ祭りがあっという間にACIDMANの世界へと切り替わります。
今、もしかするとバンドのキャリア史上最高の状況を迎えているのではないかと思うほどに勢いというか充実っぷりを感じるACIDMAN。1曲目『造花が笑う』からバンドや楽曲の勢いそのままに、ダイバーも飛び出すほどの盛り上がりでライブは進んでいく。
事務所の名前に使うほど大事な曲『FREE STAR』や最新でありながらアンセムになりうる名曲『ミレニアム』でコーストは最高潮に。
音楽だけじゃない。以前にも増して、大木のトークは冴えわたります。
「DOPING PANDA、知ってますか?日本一ダサい名前の。ユタカは嫌われていました。あまりびっくりしない俺ですら驚くほどの嫌われっぷり。確かに上から目線で嫌な奴だった。でも、心の奥底のほうを覗くと、いい奴だってわかる。DOPING PANDAのPANDAのほうのふたりはすごいいい奴らなんです。そんな彼らがユタカは素晴らしいと言う。だから俺はユタカの友達になってあげようかなって」
そして、今回のイベントに出るにあたって、ひとつの約束をしたと語ります。
「俺たちはカバーもやりません。(足を開くアクションをしながら)こういうのできませんから。ユタカも出てきません。でもDOPING PANDAのファンがいるなら、嬉しいサプライズがあるかもしれません。ってもうほとんど言っちゃってるね。まだどうなるかわかりませんよ?楽しみにしててください」
「ロックは反骨、パンクは破壊の音楽だと思っていました。でもロックは愛なんだと思います」という大木の語り。そして大好きなお婆ちゃんが亡くなった時の思いを歌った『愛を両手に』でとびっきりの愛とともにロックを歌ってライブを終えたACIDMAN。
本当に中身の濃い5曲でした。
01.造花が笑う
02.FREE STAR
03.ミレニアム
04.ある証明
05.愛を両手に
SPECIAL GUEST
当日発表のSPECIAL GUEST枠。まさかのドーパン?それともスキャフル?誰が来るのかまったくわかりませんでしたが、開場後しばらく経ってからツイッター検索したら、どうやらBRAHMANらしい…!友達からも、物販にBRAHMANのグッズが売っていたとの情報があり、こりゃ間違いない。
開演時間になると『Molih ta, majcho i molih』が流れ出して場内から歓声が。多くの人が祈るように手を合わせて鬼の降臨を待つ。
メンバーがゆっくり登場し、最後にTOSHI-LOWがステージへ。
やってんのか!やってねえのか!
ロックスターなのか!諦めたのか!
ただのメガネなのか!
中途半端なんだよフルカワユタカ!
とりあえず、俺たちのゲンコ食らっとけ!
不倶戴天!
うおおおおおおお、痺れるぜTOSHI-LOWの前口上!しかも今日は「BRAHMAN始めます」って言わないし。
オシャレだったり高速パーティだったりまったりだったり愛だったり。ここまでいくつもの色が重ねられてきたコーストの空気を、全てまるっと飲みこんでBRAHMAN色に染め上げる、怒涛のライブ。
瞬きすらできない、したくない研ぎ澄まされたステージ。括目して焼き付ける。一見不規則なようでいて結構リズミカルに躍動するTOSHI-LOW。フロントエリアは今日一番の激しいぶつかり合いで当然ダイバーも次から次へと転がっていく。
『ANSWER FOR...』が始まると、俺と同じフロア中盤やや後方で観ていた、ガタイのいいお兄さんたちがひとり、ふたりとフロントエリアの密集地へと移動していく。それはまるで、自分の任務を果たしにいくプロフェッショナルのよう。さあそしてTOSHI-LOWはステージからフロアへと文字通り飛び込んでいきます。観衆の上でマイクを握り鬼の形相で歌うTOSHI-LOW。向かってくるダイバーたちをなぎ倒し、時には愛のあるげんこつを食わらせながら、それでもマイクは離さない。
『警醒』を歌い終え、始まるTOSHI-LOWの演説。誰かがネットで全文あげているんじゃないかと思いますが、ここでは覚えている範囲とメモした範囲でかいつまんで。
(多少言い回しは不正確ですのでご了承ください)
* * * * * *
最後にロックスター時代のフルカワユタカと喋ったのは、あいつの家に遊びに行ったとき、部屋の中で言われた「TOSHI-LOWさん、靴脱いでください」
うさぎだかたぬきみてえなバンドはいつの間にか終わってて。あんだけ偉そうだった奴が伏し目がちで、こいつ終わっちまったなって。
と思っていたらいつの間にかLOW IQ 01の隣でギターを弾いていて。楽しそうに弾いてんのさ。看板もなくした男が、ただのギター少年のように楽しそうに。
人に必要とされることって、大事なんだ。
今日覚えて帰ってほしいのは。
LOW IQ 01の隣でギターを弾く、つまりLOW IQ 01という老人介護。介護した自分が、まだやれるんじゃないかって救われたっていう、来る高齢化社会への教訓なんです。
* * * * * *
短い時間でキッチリ仕上げて爆笑をさらっていく、さすがの演説。そしてなぜ、今日出演することになったのか、そのいきさつを話します。
老人介護、なんて言っていましたがここに出ることになったのはイッチャンのおかげなんだそう。「ユタカはBRAHMANのことを誘いたいけどウジウジしてるから、出てくれ」というイッチャンからの声かけがあって出ることになったんだそうです。
出演するにあたりリクエストをきくと20年前の曲ばかりだ、と不満そうでしたが「俺たちだって諦めてねえ。今を生きてるバンドだって思ってるから」と告げると新曲『AFTER-SENSATION』を披露。ここ数年、彼らにしてはかなりのハイペースで新曲をリリースしていて、まさしく今を生きているバンドだなって思います。
最後の曲をやる前のTOSHI-LOWの言葉も胸に残る。
「フルカワユタカが元気ない間に、奇跡を見てきた。あのバンドが、このバンドが…。今日もそんな夜になりますように」
そして『今夜』。泣きそうになりますよ、この流れは。そして改めて『今夜』という曲の素晴らしさを噛み締めました。
そうそう、BRAHMANの一挙手一投足を見逃すまいとステージ袖にたくさんのミュージシャンが陣取っていたのがとても印象的でした。その中にはもちろん、スターもいました。
01.不倶戴天
02.THAT'S ALL
03.SEE OFF
04.CHERRIES WERE MADE FOR EATING
05.NO LIGHT THEORY
06.BEYOND THE MOUNTAIN
07.ANSWER FOR...
08.警醒
09.AFTER-SENSATION(新曲)
10.今夜
夜の本気ダンス
STAR STAGEでは若手ダンスロックバンド、夜ダンのライブが始まります。BRAHMANの直後ってやりづらいだろうなあ。
リハで早くも『B!TCH』をぶちこんできて、空気を変えてやろうという意志を感じます。
ドーパンやtelephonesといったバンドたちが紡いできたダンスロックの系譜を担う夜ダンの本気(ややこしい)のパフォーマンスに、気づけばたくさんの人が手を上げたり、あるいは体を揺らしたりしながら楽しんでいます。
MCでは、緊張して眠れずに前日3時まで起きていて朝8時に目が覚めた、という話を。そして今日コーストに入った頃にはACIDMANがライブをしていて。「大木さんがドーパンを“日本一ダサい名前”って言ってましたが、フルカワさん安心してください。日本で二番目にダサい名前、夜の本気ダンスです!」と笑いを生んでいました。「1位と2位が逆って説もありますが」と先輩に対するフォローも忘れません。
そしてスターの新作アルバム「Yesterday Today Tomorrow」で夜ダンのボーカル・米田くんが参加した『nothin' without you』を披露する流れになるんですが…、ステージに登場するや否や、スターはメンバーに向かって「よく喋るガキだな!」と一喝。これに「なんちゅうこと言わはるんですか!」と食い下がる夜ダンメンバー。
同期や怖い先輩ばっかりのメンツの中で一番の若手だからでしょうね、スターがここぞとばかりに先輩風吹かしてます。言ってるほうも言われているほうも楽しそうで、もう昔のスターとは全然違うんだなというのが伝わってくるシーンでした。
Base Ball Bear
ベボベ自体、かなり久々に観ます。知っている曲もあまり多くはありませんが、今日はギターがスターですからね。いくらでも楽しめそうです。
ライブを観た印象としては、年下なのにスターを掌の上でコロコロと転がすかのような魔性の男・小出、という感じ。
「5×20」というイベントがフルカワユタカにとって創作のインスピレーションやモチベーションに繋がれば…と思っています、なんて語る小出くんに「年上か!」とシンプルなツッコミをするスター。完全に歳の差逆転してるじゃないですか。
そしてそれはトークだけでなく、プレイにも表れていました。フロントマンとして堂々歌う小出くんと、その隣でめちゃくちゃ楽しそうにギターを弾いているスター。どっちが年上か、もはや一目瞭然です。
「藪蛇になっちゃうかもしれないけど」と前置きし、小出くんにも謝りながら、スターはこう叫びます。
「湯浅!!今日、来てないだろうし(イベントのことも)知らないだろうけど、お前がいなくてもBase Ball Bearはかっこいいバンドになってるぞ!」
まさかそんなことを言うとは、と口を手でおさえてびっくりしている関根さん。
「お前が何か悩んでいるなら、連絡してくるな!もしお前が元気でやっているなら、また一緒に二丁目に飲みに行こうな!」
スターらしい、ちょっとひねくれた彼なりのエール。何らかのかたちで湯浅くんの救いになればいいなあ。
湯浅くんが抜けた際の助っ人としてベボベでギターを弾いていたスター。しかしあくまでギタリストとしての参加ということでコーラスもしてくれなかったんだそうです。でも今日は歌ってくれると言っているので…と小出くんが『真夏の条件』のタイトルを告げ、スターもギターをスタンバイ…と思ったら始まったのは今日4回目の『Transient happiness』!
サプライズを放り込まれたスター、一瞬戸惑うもすぐに苦笑い。そしてスイッチ切り替えて歌い出す。この曲のときだったか、次の『真夏の条件』のときだったか忘れましたが、小出くんとスターのふたりがそれぞれのお立ち台に立ち、向かい合ってのギター対決!で盛り上がる中、この二人を引き立たせるためにステージ下手で姿勢を低くしてベースを弾く関根さんが最高でした。
関根さんにも光を…!と思っていたら次の『LOVE MATHEMATICS』ではドラム・堀之内くんの目の前でスターと向かい合って楽しそうにベースを弾く彼女を拝めたので、満足です。ラスト、気づけばスターはメガネを吹っ飛ばすほどのギタープレイで会場を熱くしてくれました。
01.PERFECT BLUE
02.Stairway GenerationMC
03.Transient happiness
04.真夏の条件
05.LOVE MATHEMATICS
06.CRAZY FOR YOUの季節
keishi tanaka
STAR STAGEで今日二人目の弾き語り、keishiくん。後輩というか、やんちゃな弟キャラとして天性の素質を持っているんじゃないかってくらい、可愛がられている印象があります。Keishiくんなら、とっつきにくいとされるフルカワユタカでさえも落としていたんじゃないだろうか…。
美しい旋律と透き通るような和音ボーカルに気持ちよく酔いしれる時間。今日は新しめの曲ばかりを揃えたセットリストです。
紗羅マリーとのデュエット曲『Just a Side of Love』の弾き語りでは、紗羅に代わってバンアパの荒井さんが一瞬登場し、歌ってくれました。たぶん、頼んだわけじゃなくて荒井さんが勝手に出てきたんじゃないかなあ。
やんちゃ坊主の血が騒いだのか、keishiくんがこんなことを言う。楽屋でコードが飛び交っていた、と。どんなコードが飛び交っていたのか、それを彼自身のギターで再現すると…『Transient happiness』です、やっぱり。
もうしょうがねえな!というノリでステージにやってきたスターは、やや雑なkeishiくんのコードに合わせるように、やっつけな『Transient happiness』(今日5回目)をほんのちょっとだけ歌って去っていきました。
仕掛けたイタズラが見事成功したときのような笑顔見せながら喜ぶkeishiくん。ベボベに続いてイジる後輩、イジられる先輩の構図がここにも。
最後はしっかり後輩として先輩を立てて、スターに捧げるとばかり『あこがれ』という曲を披露してくれました。
Crybaby's Girl(リハ)
01.Floatin' Groove
02.Just a Side of Love(一瞬、with荒井岳史)
03.This Feelin' Only Knows
04.あこがれ
LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS
ベボベに続き、ギタリストとして、そしてTHE RHYTHM MAKERSの一員としてスターがステージに立ちます。
そんなスターにおんぶされて出てくるイッチャン。TOSHI-LOWの「老人介護」発言を受けての切り返し。言われっぱなしじゃ終わりません。最後は自分の笑いに変えてくるあたり、さすがの負けず嫌い。
イッチャンの曲はどれもこれもが素晴らしく。後ろで大人見できなくて、この時ばかりは前のエリアで楽しみました。1曲目の『Delusions of Grandeur』では細美パートをスターが担う。アイリッシュサウンドに心躍る『Hangover Weekend』、「Stories Noticed」収録の軽やかなメロディが心地いい『Luster』と、フルカワユタカ祭りだということを完全に忘れてイッチャンのライブに夢中になりました。
SUPER STUPIDの代表曲『WHAT'S BORDERLESS?』も入れ込んでさらにフロアをぶち上げる、そんなイッチャンの顔を見ていたらふと、老人介護の文字が浮かんできて…。そういえばイッチャンも40代後半。これから永遠にライブしてくれるわけじゃないんだし、観られるうちにライブに足を運ばなくちゃ、などと思ってしまいました。
そして今イッチャンの曲の中でもベスト5に入るくらいお気に入りの『Snowman』。これをライブで聴くたびに、楽しくて嬉しくてなぜか涙が流れてしまう、破壊力抜群の曲。ただでさえこの曲は自分にとってはとんでもない存在なのに。ああそれなのに。袖からゆっくりと鬼が出てくるじゃないですか。
そんで歌うんですよ、イッチャンやスターと一緒になって鬼が『Snowman』を。それもめちゃくちゃ優しい笑顔を浮かべながら。もうたまりませんよ…。しまいにはイッチャンと鬼が向かい合いながら片方の腕を組んでグルグル回りだす。目の前で繰り広げられているその光景を眺めながら、めちゃくちゃ楽しそうな笑顔でドラムを叩くダゼにもなんだか感動してしまった。途中からはNARIもステージに出てきてフルートを演奏。曲が終わるタイミングでパン!とスターの両頬を叩く鬼。叩かれてお辞儀をするスター。いい先輩に恵まれて、良かったねえスター。
もういろいろとエモくなって泣けてきました。
『LITTLE GIANT』のラスト、ダゼとイッチャンが楽器交代。イッチャンはドラムを叩き、ダゼはベースを弾いて〆!最高に美しいライブでした。
ライブが終わると3人がステージ前まで出てくる。イッチャンが「3人でやれてwin-winの関係!ということでユタカ!」と振ると「俺、音楽やってて良かった!」と叫ぶスター。心からの、最大級の拍手を送りました。イッチャン、完全に復活したなあ。頼もしい!
01.Delusions of Grandeur
02.Hangover Weekend
03.Luster
04.WAY IT IS
05.WHAT'S BORDERLESS?
06.Snowman
07.LITTLE GIANT
ART-SCHOOL
実はART-SCHOOLのライブを観るのは初めて。関連性の強いバンドのライブは何度も観ていたんですがね…。
STAR STAGEのトリということで、フルカワユタカへと繋ぐ大事な場所…なのですが、ライブ開始時にトディが言うんです。
この人が自信ないって言うから、予定していた1曲目はナシにします、と。
この人とはもちろん、木下理樹くん。なんとなくイメージしていたART-SCHOOLって、まさにこんな感じ!と勝手にテンション上がってしまいました。
そしていざ、曲が始まるとですね。これがまたかっこいいんですよ。まあ、このレポ読もうと思ってくれる方々ならもうとっくの昔から知ってるよ、って話でしょうけれども。うわ、すごい、めっちゃ好き。そんな気持ちでイントロやギターリフを楽しんで、いざ理樹くんの歌声が曲に乗っかる!…そうか、これは好みが分かれるボーカルかもしれないですね…!
MCでぼそぼそと喋る理樹くんを「お祝いなんだからしっかり喋りなさい!」と一喝するトディが素晴らしいな。
スターと大木の対談記事の中で、自分たちをパ・リーグと称していたスター。一方でACIDMANやストレイテナー、アジカンといったバンドをセ・リーグと呼んでいましたが、今日のメンツを改めて振り返るとRIJFでの主戦場がLAKE STAGEだったバンドばっかりな気がする。バンアパ、テナー(ホリエ)、FBY、Base Ball Bear、LOW IQ 01、ドーパン、そしてART-SCHOOL…。そう考えると、なんだか今日のラインナップに対する愛着がわいてきました。ART-SCHOOLも、今日をきっかけにもう少しちゃんと音源をチェックしてみよう。
01.ロリータ・キルズ・ミー
02.real love/slow dawn
03.スカーレット
04.Promised Land
05.FADE TO BLACK
06.あと10秒で
フルカワユタカ
とうとうきました、長丁場のラストはフルカワユタカバンドです。ギターは新井さん、ベースは村田シゲさん、ドラムは神林さん。そしてギターボーカルはフルカワユタカ。
イッチャンのステージまではサラサラヘアでパフォーマンスしていたけれど、自身のライブではキッチリ前髪セットしてきました。
ソロ名義でのアルバムから満遍なくチョイスされたセットリストの1曲目は『僕はこう語った』。少しゆったりめなテンポで歌われる日本語詞の曲がなんだか染みてきます。ドーパン時代にはイメージできない曲。頭から激しい曲でアゲさせる、という構成ではないところも、「フルカワユタカ」バンドならではかもしれません。
続く『too young to die』で一気にテンションアップ。元ロックスターだとか、ロックスターなのか?とかいろいろとイジられてきたフルカワユタカですが、曲の途中で「俺が、ロックスターだ!」と叫んで場内からは大歓声。
ライブ中盤に「用事があってというか、都合が悪くて来れなかったんだけど、職権乱用で、そいつの曲を歌います」と言い、何を歌うのかと思ったらフジファブリックの『ロマネ』。都合が悪くて来れない、なんて言い回しがなんだかスターらしいような気がするなあ。ベボベの湯浅への呼びかけもそうだけど、なんだかんだでいい先輩でもあったんだなと感じました。そういえばフジファブリックもLAKE STAGEを主戦場としていたバンドですよね。今日はホントにLAKEづくしだな…。
今日5回もやってきた『Transient Happiness』ですが、本人ボーカルのバンドでやらないわけにはいきません。フルカワユタカのセットリストの中でも一番盛り上がったかもしれない。ドーパンの曲を楽しそうに歌い、弾く姿にはやっぱり心打たれるものがある。
今日ステージでサポートしてくれたメンバーに加え、5年間フルカワユタカバンドを支えてくれた他のメンバーにも感謝の言葉を捧げるスター。
「LAKEで入場規制とかあって、まわりの大人が作ってくれていたのに自分ひとりでやった気になって。今回、自分で電話して出てもらったライブは、逆にみんなに作ってもらった気がする」
そんなコメントを残すスター。今はまわりの状況もよく見えているし、人やバンドの繋がりに対するありがたみも感じているみたいです。本当に人って変わるんですね。いや、もしかしたら変わるというより、彼の表面を覆っていた"負けちゃいけない"っていう鎧が消えて、本来のスターが顔を出しているということなのかもしれません。
次の曲も僕にとって大事な曲です、という紹介からラストは『サバク』。ドーパンを終わらせてソロへと歩みを進めたスターの心境が綴られているかのような歌詞がとても味わい深くて、このイベントの最後に演奏するにふさわしい一曲だったように思います。この後に起こる奇跡を考えても。
01.僕はこう語った
02.too young to die
03.Beast
04.ロマネ(フジファブリック)
05.I don't wanna dance
06.Transient Happiness
07.サバク
アンコール
あえて項目を分けて書くアンコールの意味、きっとおわかりでしょうね。
大きな拍手でアンコールを求める会場。ステージではスタッフが楽器の配置を修正し、スリーピース仕様にしている。そして流れる、ドーパンのライブではお馴染みのSEで、フロア後方にいた観客たちも一斉に前へ!
ステージにはハヤト、そしてタロティの姿が…。なんだかちょっとはにかんでいるようなタロティの表情は、ドーパン時代と変わらないなあ。当時、一緒に同じようなバンドを好きになった友人たちと何度もライブを観たドーパンが、今目の前にいる。
大木との約束、TOSHI-LOWの言う奇跡が、いまここで現実のものになる…。
『he way to you』『GAME』と2曲続けて演奏後、めちゃくちゃ興奮しているスターはまくしたてる。
「やるまでわかんなかったけど、よくわかんねえけど、嬉しい!」
「大木に脅迫されたってのが一番だけど。いろんなことがありましたけど。わかんねえよ、わかんねえ。バンドってすげえなって思う」
「ふたりも20周年だからね、続けてたら」
「この先はわかんないけど、こういうことがあるってことですよ」
うん、3人の雰囲気からして、一夜限りってことはないでしょう。以前のようにアルバム出してツアー回って、というような本格的な復活ではなくても。それぞれの活動と並行して、やれる時に集まって、マイペースに。それでも嬉しいですよ、また観られるんですから、ドーパンが。
今夜、DOPING PANDAは再び息をし始めたんです。
ツイッター情報によると、この日のタロティの衣装は解散ライブの時と同じものだったんだとか。なかなか粋なことをしてくれるじゃないですか。
最後の曲に入る前のMCでは、3人でスタジオに入って自然な流れで繋がった3曲、ということで、「みんなが聴きたい曲じゃないかもしれないけど」と弁明するスター。そっか、それなら納得。好きな曲じゃなくても楽しむよ!そう思って構えていたら、始まったのは『Crazy』!大丈夫です、スター!大好物です!! イントロ聴いてたらなんだか泣けてくる。
"I'm sorry me ミラクル起こしちゃってさ"
なんて歌詞を微妙に変えて歌うもんだからコーストも沸きに沸く!3人とも本当に楽しそうだし、なによりいつもどこか苦しそうにライブをしていた印象のあったドーパン時代のスターが、こんなに笑顔で歌ってるんですから、「最高」以外の言葉が出てきません。
たった3曲でも、宝物みたいな時間。
ライブが終わるや、袖から本日のミュージシャンたちが登場。印刷ミスがあって楽屋に積まれていたという今日のイベントTシャツをフロアにガシガシと投げ込む、そんなお祭り騒ぎの中で、大木がスターに近づいて「感動しちゃったね!」と満面の笑みで声をかけると会場からも大歓声。
そして『Transient Happiness』に関して「本家がやらねえってどういうこと?」とイッチャンからツッコミが入り、コースト中が大拍手。最後にイッチャンが「おまえ、愛されてるってわかった?」なんて言って、ペコリ頭を下げるスターの姿が印象的でした。
ということで急きょ、本日7回目の『Transient Happiness』。タロティのベースがめちゃくちゃ存在感あって気持ちよかったなあ。まさしく本家による演奏!という気がします。
最後にはハヤトがステージダイブしてフルカワユタカ presents「5×20」は終了しました。このイベントの〆がハヤトのステダイだなんて、誰が予想したでしょうね…。
01.he way to you
02.GAME
03.Crazy
04.Transient Happiness
生きてればいいことあるよな…としみじみ思います。KEMURIの再結成もハイスタの再始動もメンバー、そして自分自身が生きていたからこそ見ることができました。ACIDMANの20周年フェス"SAI"出演オファーに対して「生きてたら出るよ」と即答したというTOSHI-LOW、そして細美。生きていたら、きっと何かが起こる。
今日の復活を見逃したメイニアもたくさんいると思いますが、DOPING PANDAはきっとまたどこかで、そう遠くない未来にライブをやってくれるんじゃないか。そう思わせてくれる、楽しそうなスター、ハヤト、タロティ3人の姿がありました。
またいつか、今度は無限大ダンスタイムを全力で踊らせてください。お願いします!