【ライブレポート】2023/12/28 O-Crest 20周年 「YEAR END PARTY 2023」-DAY 2-
O-Crest年末恒例のイベントに行ってきた。連日行われるこのイベント、選んだのは12月28日。今年、何度となく対バンしていた板歯目とHwylが揃って出演するというのがその理由。タイムテーブルも近く、その前後にも気になるバンドがいたので、彼女たち中心に予定を組んでの鑑賞。
自分が病み上がりということもあり、無理せず短時間、楽しんできた。特にメモも取らずシンプルに観客として楽しんできたので、なんとなくの振り返りを短文で。
MOCKEN
すでに数曲演奏済みの状況で到着。彼ら目当てと思われる観客だけでなく、フロア後方からも手が上がり、まだ午前中だというのになかなかの熱がフロアに充満している。
これぞギターロックという、ピュアでストレートなロックが気持ちいい。フロアとも言葉やアクションでコミュニケーションを取りながら、イベント序盤という難しいポジションながら、しっかりと場を温めていた。
CAT ATE HOTDOGS
サウンドチェックの段階から、みや(Dr)のハイハットが生むオシャレ感たっぷりなグルーブが最高。
the band apartを彷彿させる洗練されたアンサンブルに、ひこ(Vo/Gt)のエッジが効いたロケンローな歌声が乗り、彼らしか出せないオリジナリティ溢れるパフォーマンスが展開する。
曲中で変化するリズムを自在に操る、巧みな演奏も素晴らしい。今まで音源でしかチェックしていなかったが、ライブも見ごたえあり。年末に嬉しい発見だ。
板歯目
2023年、個人的にもっともライブを観たバンドのひとつ。2年で3枚のアルバムをリリース、今年だけでも配信シングル4曲と、メンバー3人全員曲が作れる利点を生かした多産な活動のなかでも、対バンライブで披露する曲はだいたいレギュラーが固まりつつある印象。
ライブで磨かれ続けただけあって、そのどれもが一級品。どの曲を切り取っても、堂々と人に推薦できる名曲ばかりのラインナップだ。
今日は幸い、かなり前で観られたので、ゆーへーの手元もばっちり。ライブの半分はスラップで弾いてるのでは、と思うほどの卓越したスキルで5弦ベースを体の一部のように扱う。音とビジュアル、両方で華のあるバンドマンなのだが、そんな彼に引けを取らないオーラをまとうのが、ギターボーカルの千乂詞音(Vo/Gt)。ここぞという爆発力はエースの証。表情も豊かで、ライブを心から楽しむ姿が最高。庵原大和(Dr)の絶叫(叫ぶ言葉はライブごとにアドリブか?)に思わず千乂の笑みがこぼれる、そんなちょっとしたシーンからも、板歯目というバンドの楽しさが伝わってくる。
知名度が上がるにつれて余計な雑音も多くなってくるだろうが、自分たちの思う道を堂々突き進んでいってほしい。
そんなことを願いながら、ひたすらにカッコいい音を放ちまくる彼女たちのライブを噛みしめた。
1.ラブソングはいらない
2.Ball & Cube with Vegetable
3.SPANKEY ALIEN
4.オルゴール
5.芸術は大爆発だ!
6.オリジナルスクープ
7.地獄と地獄
ヤユヨ
活動を始めてからかなり早い段階で名前が広がっていった印象のあるヤユヨ。深夜ながら楽曲リリースのTVCMでも見かけたり音源に触れたりする機会も多くあったのだが、ライブは初めて観た。
ファーストインパクトとしては、リコ(Vo)の存在感がすごい。堂々としているうえに、フロアの目と耳を惹きつける不思議な魅力がある。時折ステージ最前まで出てきて観客を煽りながらグッとライブを盛り上げていた。
ステージ上手前で観ていたので、ぺっぺ(Gt)も自然と視界に入るが、彼女もまたギタリスト然とした立ち居振る舞いで魅せてくれる。
今までそこまで積極的には音源を摂取してこなかったが、こうしてライブでその魅力が上書きされると、再び音源に戻って聴き漁りたくなってしまう。ライブにはそういう引力があるんだなとあらためて実感するような時間だった。
1.ここいちばんの恋
2.さよなら前夜
3.愛をつかまえて
4.Stand By Me
5.futtou!!!!
Hwyl
2023年、板歯目と並んで個人的に最も多くライブを観たのがHwyl。この2組は今年後半、よく同じライブに出演しており、自分にとってはお馴染みの組み合わせでもある。
Hwylは今年、大きなフェスにも呼ばれ、来年にはARABAKI出演も決定と大きな飛躍を遂げた。フロアに集まる、“いつメン”なファンの数も増え、その勢いは止まらない。
そんな彼女たちを象徴するかのように、「Hwylです! 新曲やります!」というあきたりさ(Vo/Gt)の、ちょっといたずらっ子なテイストを帯びた挨拶とともにまっさらの新曲「普通の顔」を披露する。
新曲やります、というコメントで本当に未公開の新曲をやるとは。こういうケースでの「新曲」は、最新リリース曲を指すことが多く、てっきり「さすらい」が始まるものだとばかり思ったので、気持ちよく裏切られた。
この「普通の顔」がまた素晴らしい。Hwylには珍しいパンクロックな始まりに続いて、曲途中でレゲエへと切り替える展開に、まだこんな引き出しまであるとは!と驚いた。
2023年リリース曲を中心にセットリストを組んだという今日のステージでは、タケマ(Ba)の見せ場も随所に散りばめられている。Hwylとはりさとクマダノドカ(Gt)のシスターフッドな物語が柱だと思っているが、このふたりを支えるだけでなく、シーンによっては主役を張れる存在になりつつある彼のこれからの活躍も楽しみ。
鮮やかなギタープレイとは裏腹に、MCになると途端にふわふわするノドカ。そしてたまに天然を発揮しながらも、青森弁を交えて堂々と語るりさという好対照なふたりの姿もなんだか微笑ましい。
「普通の顔」の素晴らしさが期待を膨らませてくれる2024年。愛すべき3人をまだまだたくさん観に行きたいと思わせるような、個人的2023年Hwyl納めのライブとなった。
1.普通の顔
2.わからないよな
3.暮らし
4.安全地帯
5.現在地
6.さすらい
7.Treasure
FINLANDS
キャリア10年以上になるFINLANDS。今は塩入冬湖+サポートメンバーでのライブとなっているが、その実績はだてじゃない、と感じさせる強さ際立つステージだ。
声の強さ。佇む姿の強さ。そして何より曲の強さ。正式メンバーとして塩入冬湖の横に立つには相当のポテンシャルがないと難しいのでは、とすら思ってしまうほど、彼女自身の強さが際立つライブ。
途中、衣装に付いたファー的なものが首に張り付いて苦しい、とぼやく場面もあったが、小さなライブハウスで照明を浴びながら、あの冬装備な衣装でパフォーマンスすること自体すごい。
貫禄漂う25分間だった。
1.ウィークエンド
2.バラード
3.東京エレキテル
4.ピース
5.クレア
6.HEAT
ircle
午前中はまだ余裕があったフロアも、さすがに先日活動休止を発表したircle目当てに多数の観客が詰めかけ、規制もかかり大混雑。主催のムロから「一歩といわず二歩、三歩詰めてもらえますか。河内の前は空いてるから笑」というアナウンスに河内(Vo/Gt)も思わず笑ってしまう。そんなムロとircleの関係性が垣間見られる瞬間が、逆に寂しくもあるという複雑な時間。
開演前から熱気に包まれていたが、いざライブが始まれば、興奮パラメータはあっという間に最高記録を更新。
センチメンタルなお気持ち表明などせず、ただこのステージを全力でやり切る、そんな心意気が伝わってくるような激熱ライブだ。フロア中から、といっても過言ではないほど無数の手が上がり、仲道良(Gt)はフロアに降りてギタープレイする場面も。
ラストで「曲追加します」との河内の言葉から「アンドロメダの涙」を披露し、河内がステージダイブした場面はまさに今日のハイライトのひとつ。絶妙なタイミングでステージに戻すフロアとの阿吽の呼吸含めて、実に美しい瞬間だった。
BUZZ THE BEARSという、自分にとってとても大事なバンドが、今年活動休止を発表した。
でも、お互い生きていれば、いつかまた会えるかもしれない。無期限活動休止でも解散でも、それは変わらない。止まってしまうバンドの存在をちゃんと心に留めおきながら、大好きなバンドマンたちの次なるステージを見守っていこう。
BUZZ THE BEARSにも、そしてircleにも、今は「行ってらっしゃい」と声をかけよう。そして彼らがいつか戻ってきた時には、声を大にして「おかえり」と伝えたい。
ircleとも縁が深い、I ROCKSの精神で。
1.呼吸を忘れて
2.セブンティーン
3.ロックンロールバンド
4.あふれだす
5.本当の事
6.アンドロメダの涙