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【ライブレポート】2022/3/14 of BLUE LAB vol.4 @ 渋谷WWW

HOT STUFFが主催するライブイベント『of BLUE LAB vol.4』に行ってきた。いちばんの目当てはJam Fuzz Kidだが、IMALABプレイリストにもピックアップされていたSugar Houseも興味津々。

音楽含めて初めて触れるAMERICAN DREAM EXPRESS含め、色とりどりなライブとなった一日を振り返る。

Sugar House

2019年結成、Ren Kobayashi(Gt,Vo) 、Hibiki Uchida(Gt)、Yusuke Aoki(Ba)、Ryosuke Makiyama(Dr)の4ピースバンド。メンバー全員が20代前半でありながら、初期のDIIVやBeach Fossilsなどの2010年代USインディー、またRideやThe Jesus and Mary Chainのような80年代シューゲイザーサウンドを彷彿させる音を鳴らすインディーロックバンド

引用元:Spotify プロフィール

随所にわかりやすいヒキを作ったり激しい展開を用意したりする、といった構成ではなく、まるでループするかのように繰り返されるフレーズが印象に残る。それでいて飽きさせることはなく、むしろ中毒性を帯びたサウンドが癖になるバンドだ。

歌も、歌詞やメッセージを届けるためというよりは音のひとつとして使っているように感じる。

熱を内に秘め、表向きクールに振る舞う演奏はむしろ爆発寸前のエネルギーに溢れているようだ。

ときおり挟み込まれる、ドラムとベースのみによるプレイにも引き込まれてしまう。引き算の美学ではないが、余計なものはそぎ落としながら、芯のあるソリッドな音がWWWを包み込んでいた。

MCも入れ込まず、ストイックに曲と曲を繋ぎ、披露していく。終盤になってようやく、Kobayashiが「ありがとうございます。最後2曲やって帰ります。Sugar Houseでした」と挨拶。

ラストの「Disappears」でこれまでのクールなステージとは打って変わって、内なる熱を遠慮なく放出して肉感たっぷりな演奏で〆ると、音を鳴らしっぱなしのままステージを去っていった。


Jam Fuzz Kid

2番目に登場するのは、Jam Fuzz Kid。先ほどのSugar Houseとは対照的ともいえる、ストレートに自身のパワーをフロアにぶつけていくタイプだ。

いつものように楽器隊が先行し、「Untitled」を演奏するなか、今村(Vo)がゆっくりとステージに登場。ザ・UKロックともいえる、ゆったりとしたリズムの壮大なナンバー「Fringe」を投入し、Jam Fuzz Kidの世界を構築していく。

ドラマーは現在休養しており、サポートを入れてライブを行っている彼らだが、今年に入ってからギタリストが1名、バンドを脱退。ギターにもサポートが入るという、サポート2名体制でのライブとなっている。

微妙な違いかもしれないが、以前観たときと比べ、今日のサポートギターによる演奏は少し軽やかでキレのあるギターサウンドに感じた。

「あらためまして、東京のロックンロールバンド、Jam Fuzz Kidです」と挨拶し、渋谷WWWでのライブは初めてだと明かす今村。その分気合も入ったパフォーマンスになっていることはここまでの数曲でじゅうぶん伝わってきた。

90年代半ば、当時洋楽に触れてきた者にとって親しみを感じる楽曲を、今の20代たちが奏でていることにちょっと胸が熱くなる。

「Tunmbleweed」に続いて披露されたのはつい先日配信リリースされたばかりの新曲「Pluto」。これもまたスケールの大きな楽曲で、遥か遠くまで届かせるかのような歌声を浴びていると、いつか広い会場で聴いてみたい、と思ってしまう。

WWWは目標としていたライブハウスであり、2022年末までにはここをパンパンにするんだと語る今村は、さらに「俺ら裏切んないんで。少しでもいいと思ったら、ついてきてください」と強気なメッセージを放つ。

ゆったりめなスケール感のある曲だけでなく、激しい音の応酬が楽しい「601」や抜群にキャッチーなメロディでライブ鉄板の盛り上がり曲である「Tyler」など、次々と名曲たちをプレイし、フロアを盛り上げていくJam Fuzz Kid。

最後のMCブロックでは、「2022年は上までいく。トップって言ったら嘘になるかもしんないけど…いや、やっぱりトップになります。俺は嘘は嫌いなんで。いちばん嘘のないロックンロールをやろうと思ってるんで」と、再びの強気なトップ奪取宣言。

さらに続けて「今世界でいろんなこと起こってますけど、俺らはやることやるだけなんで。みんなもそれぞれ自由に楽しんだり泣いたり笑ったりしてください」と語った。

今村はその両手やパーカのフードなど、自身そのものを駆使してフロントマンとしての“カッコよさ”をうまく表現している。堂々とした立ち居振る舞いとその言動から、ロックバンドのボーカリストが持つべき華を生み出していた。それは決してスマートなものではなく、泥臭く躍動する姿から生まれたものだ。

時に、観客を試すかのようにフロアに鋭い視線を送りながら、バチバチのライブを見せてくれた。

ラストナンバーとなった「Sunshine Highway」で歌われる《Baby,Rock'N'Roll tonight》の歌詞が、彼らのライブそのものなんだと思う。

01.Untitled
02.Fringe
03.Rovers
04.Tunmbleweed
05.Pluto
06.601
07.consequences
08.Tyler
09.Afterglow
10.Sunshine Highway


AMERICAN DREAM EXPRESS

「多国籍バンド」というキャッチ程度の事前知識でライブ鑑賞となったAMERICAN DREAM EXPRESS、通称アメドリ。日本、アメリカ、ブラジル等々、様々な国をルーツに持つメンバーによって構成されたバンドとのこと。

ステージ上には6人。ギターボーカル1名、ドラム1名、ベース1名、ギター3名。ギターの一人はGateballersの濱野夏椰だ。

すでにその存在から漂うものは感じたが、ライブが始まってその予感は正しかったことを悟る。彼らの音楽はとにかくプラスのエネルギーを放っていた。本来音楽とは音を楽しむことだろう、と言わんばかりのパフォーマンス。自由に楽しく音を奏でるステージに感化され、フロアにはその場で踊りだす観客の姿も。

口笛からタンバリン、あるいはオカリナのような楽器までも使って多様な音楽を披露する彼ら。

ステージ上にいる誰もが笑顔を浮かべながら、まさに“プレイ”するパフォーマンスは今の時代、より一層心に染みてくる。

ちょっとだけコロナ前のライブの空気を感じさせてくれるような、無意識に明るく楽しくなれる音楽に触れた気がした。

WWWにひたすらHAPPYなオーラを振りまいてくれたアメドリ。観ているこちらも思わず笑顔になってしまう、ポジティブなパワーに溢れたライブだった。


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