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「白昼夢百貨店」(渋谷) レポ

問題提起することの大事さについて。

まずは概要から。渋谷ヒカリエ8階のイベントスペースにて、6月4日まで。
4名のクリエイターの手による合同企画。
「マイノリティ」をテーマとして制作された架空の商品を販売する百貨店、というコンセプトで商品販売や写真、商品そのものの展示がされています。

マイノリティについて考えること

私はフォトグラファーのAnna Manabeさん(Xでは「のちほど」名義で活動)の作品がとても好きで、Instagramに投稿される愛猫・たまきちゃんのお写真を拝見しては心の中で「こんなに美しい世界があるのか」と感動しています。
ぼんやりとした画面のなかに、郷愁、切なさを感じさせる独特のスタイルが素敵で、本企画展でもその麗しさがビシバシ感じられました。
僭越ながらお話を伺ったところ、この企画展示の根底にあるものは制作陣の「共感してほしい」「社会に文句をつけたい」という想いなのだそう。
この企画展示は「毛を生やすシェーバー」だとか「化学合成物と表記されるグミ」などが架空の商品として展示されています。
それらはすべて「社会風刺」のためのものであり、言葉にできない居心地の悪さを表しているのです。
互いに理解しあうことが前提であり、多様性の社会だとはいえ、「普通」の人から見たら些細なことだとしても苦しい思いをしている人がいる。
というか、その「普通」は何をもってして「普通」なのですか?
そんな強気のメッセージを感じ取れる、エッジの利いた作品群です。
たくさんの商品のなかには人間のエゴを表現したものや、言いにくいことをあえて言葉にしているものなどもあります。
商品のうたい文句にも注目すると、「あ、今私はココに笑ったけれどそれは本当に笑っていいことなのだろうか」と考えさせられます。
マジョリティにとって、マイノリティは脅威なのか?
お互い何も変わらず日常を過ごしているけれど、水面下には何があるのか?
図録を事前購入して、写真を拝見してはニマニマしている私にも、企画者の皆様にも、この記事を読んでいるあなたのなかにもある「居心地の悪さ」をもっと真剣に見つめて考えてほしい。
そんな想いがあふれ出て、白昼夢のように美しく儚く表現された世界。
「わかる、これめっちゃ嫌だよね」と共感して声をあげてみない?
そんなことをおっしゃるAnnaさんの笑顔がとても印象的でした。

今後の執筆の糧を頂戴できれば幸いです。お気持ちだけで結構です。