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「高田賢三 夢をかける」展(新宿) レポ

日本的なファッションについて考えていく時間でした。

まずは概要から。2024年9月16日(月・祝)まで、西新宿の東京オペラシティ・アートギャラリーにて開催中の企画展です。
11時から19時まで開館。祝日を除く月曜が休館です。
都営新宿線の初台駅が直結しています。予定を合わせればコンサートも観ることができるというおまけつき。
広い館内は動画撮影禁止、静止画の場合は一部を除きOKです。
私はカメラで200枚くらい撮っていた。

高田賢三氏の足跡をたどって

コシノジュンコ氏と同期であるとか、三宅一生氏とコラボしたとか、経歴が華々しいこと限りなし。恐ろしい才能だと感じました。
あの宝塚歌劇団にも衣装デザインを依頼されるくらいなので、人気の高さが感じられました。普段使いできるアイテムから、舞台映えを考えた作品まで振り幅の広さが氏の魅力と言えるでしょう。
何より「日本の美学」というものをここまで追求・表現したデザイナーは、果たしているのだろうかと考えさせられる作品が多かったです。
私は以前から「クリスチャン・ディオール」展や「ココ・シャネル」展など服飾デザイン関係の展覧会に何度か足を運んでいますが、海外ブランドとは決定的に何かが違うと感じました。
ココ・シャネルは黒を基調とし、モードを追求しました。
クリスチャン・ディオールは女性の魅力を引き出しました。
ならば高田賢三の特徴は? と考えたとき、真っ先に思い浮かんだもの……。
それは「民族衣装」という単語でした。
実際の作品にもデザイン画にも、「日本の感覚」と呼べるもの、その言葉で形容するのがふさわしい気がするものが色濃く感じられました。
終戦ののち、高度経済成長期を迎えた日本。変わりゆく景色と人の姿。
彼が作品制作をする際に何を見たのか、何を感じたのかはわかりません。
それでも私には「日本らしさの復権」を目指す姿が浮かびました。
花のテキスタイルも柄の組み合わせも、エキゾチックでありながら最先端をゆくものとして、日本の伝統をつなぐものとして織り上げられていて、今にその姿を残しているのではないかと考えたのです。
和服を身にまとう感覚に近いデザインもありました。
パリに進出した際には現地の人々に受け入れられるように工夫もしたはず。
それでも彼の人の目に映った「日本の原風景」的なものが、服飾デザインを通じて令和に生きる我々にメッセージを発している。
――何か大事なものを忘れていませんか。
――日本の美しさは魂に宿っているんじゃありませんか。
そう語りかけられるような、見ごたえある展覧会でした。

黒い革製のドレス
デザインされたドレスが一堂に会する

今後の執筆の糧を頂戴できれば幸いです。お気持ちだけで結構です。